Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.44 Tepper Schoolを振り返って

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5月1日の期末試験をもって、Tepper Schoolでの全授業工程は終了しました。これまで延べ40回以上にわたって、本校やビジネススクール一般 について思ったところを独断と偏見でご報告してきました。今回はそれらへの補足・総まとめをお届けしたいと思います。4月後半のレポートになります。

■Tepper School を振り返って - 「噂の検証」

一般的にカーネギーメロンの強みは「オペレーション、IT、数量分析の分野」にあるとされ、また特徴として「カリキュラムが非常にハードであること」、弱みとしては「戦略などの分野で知名度が低い」といった点が挙げられる。これらの「噂の検証」を、私見ながら率直に述べたいと思う。

カーネギーメロンの強み:

カーネギーメロンの一番の強みは、ある特定分野における知名度やブランドというよりも、「学生がみなハードに勉強する校風」だと思う。具体的には、学生の「ハードなカリキュラムをこなす地道な姿勢」と、それをバックアップする「ミニ・セメスター制」という制度だと思う(ミニ・セメスター制とは、1年を通 常の学校の倍の数である4学期で構成するもので、授業数も倍履修できるが、試験数なども倍になる)。

特に1年目のハードさは顕著で、学生は猛勉強を強いられる。私のような英語に難がある学生は、1年目は「ソーシャライズ」(飲み会やイベント)に割く時間はほとんどないほどだ。しかし、猛烈な課題量 のなかで学生間の協調関係やグループ意識が自然に芽生える。「ハングリー精神」と「チームワーク力」が同時に育成されるような校風である。個別 の分野より、こういった雰囲気全体がカーネギーメロンの強みであり、特徴であると思う。

Quantitative, IT, Operationsに強みがあるのか:

では次に「個別分野ではどうか」となるが、私の個人的な意見では、Quantitativeなアプローチへの注力はやはりカーネギーメロンの強みであると思う。授業での数量 分析の力の入れようはやはり目立っているし、そもそも数字に強い学生が極めて多い。どんな議論も数量 分析が必ずといっていいほど付きまとう。1年目カリキュラムの前に、ほぼ全学生がQSRPという数学プログラムを受けることを求められるのも珍しいケースだろう。ただ、「数字に力を入れすぎる」あまり、定性的な議論が十分でないケース(教授側と学生の準備面 の双方で)があり、そこは改善が必要なところだ。

ITに関して言えば、まずカーネギーメロン大学という「本体」がとにかくITで著名であるため、やや噂先行している部分があるかもしれない。Tepperレベルで考えるなら、実は今年までMSEC(Master of Science in E-Commerce)のコースがTepper内にあったのだが、ITバブル終焉と受講者数減少によりコースが今年でなくなってしまったのだ。だから、これまでほど「ITに強い」と言いにくくなってしまった部分がある。ただ、それでも他学部のIT授業を履修できるメリットや、プログラミングを多用するOperationsやFinanceの授業が設けられていることに鑑みれば、IT分野への注力も相対的に高いといえるのだと思う。ITへの関心が特に強い方は、MBAとMSE(Computer ScienceのDegree)のDual Degreeを考えられてもいいと思う。

Operationsの分野は歴史的にかなり高い評価を頂いているが、目立っているのは、Operationsの授業の数だ。一学年200名ちょっとの小規模校であることを考えると、Operationsの授業はかなり多く設けられている。COO的観点から大局的に分析するものから、Operations Staffとしてプログラミングをする授業まで多様だ。ただ、日本人学生でOperationsの実務経験をつんだ人から話を聞くと、さほど「目からウロコ」的なものは少ないと言う人もいる。ここは在校生や同じようなバックグラウンドをもった卒業生などからよく話を聞いてみるといいかもしれない。

StrategyとFinance はどうか:

この2分野はある意味でMBAの「花形分野」であると思う。どこに強みをもとうとも、この2分野はある程度充実している必要があると思う。しかし、まずカーネギーメロンで私が感じたのは、残念であるが「Strategyの弱さ」だ。そもそもStrategyを教える教授の数が少ないと感じるし、また感動したような授業も残念ながら少なかったと感じる。これはそもそも一般 的なStrategyという分野がもつ性格なのかもしれないが、形式というか深みに欠けると感じることが多々あった。

他方、実は Financeが非常に強いことに驚いた。教授陣・授業数ともに最も充実しており、評判の非常に高い授業が多い。私が履修したもの以外にも、デリバティブ、投資、税務工学などに関連する授業が沢山あり、このレポートでお届けできないのが残念である。おまけに、Tepper内にMSCF(Master of Science in Computational Finance)という、内部でも"恐れられている"超数量 アプローチ重視のファイナンスのコースが設けられており、MBAの学生も受講自由だから、恐らく米国ファイナンスの「最先端の理論」が学べることは間違いないと思う。Financeに関心のある方は、是非Tepperも考慮していただきたいと思う。

特に改善が求められるところは:

私が個人的に求めるのは、優秀な教授の流出の防止である。これはどこのビジネススクールでも同じかもしれないが、特にカーネギーメロンのような小規模校が人気教授や知名度のある教授を給料で引き止めておくのはかなり難しく、他校からの引き抜きもどうしても生じてしまう。ここは何とか施策を練ってもらいたい。昨年度から授業料が大幅にアップしたことは、私費学生には辛いニュースだが、このような背景もあったのだろうと思う。

次に求めるのは、カーネギーメロン独自のケースをたくさん創出すること。現状はハーバードを中心とした他校作成のケースをメインに用いている。これはこれで十分勉強になるが、少しさびしい気もする。Operations、Finance、IT何でもいい。強みを磨きたいと思うなら、その分野でのケース資料をどんどん創出して、学校で用い、また他校に売ればいいと思う。学生の士気もあがるし、教授の姿勢もさらに積極的になるだろうと思う。

最後に「定性的アプローチ」の見直し。数量分析に力を注ぐあまり、先述のとおり、「ソフトな議論」がやや欠けるときがある。教授側の姿勢としても、また学生に求める準備段階でも、よりソフトな面 を強調していくバランス感覚が必要であろうと思う。

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4月に入り新緑が増えてきたTepperビル

最後に:

以上がTepper Schoolを振り返って思う率直なところであるが、最後に付け加えたいのは、これまでのレポートをご覧になってカーネギーメロンを「見た」とは思って頂かないでほしい点である。私見であることは当然だし、授業の履修形態や生活スタイル、関心事などは人によりけりだからだ。私のレポート(&生活)はかなり授業の解説や就職活動など「堅い話」に偏ってきたと思うため、もしより全般 的な情報が欲しい方、他の在校生の意見も聞きたい方がいらっしゃれば、Tepper Schoolの日本人サイトをご参照いただき、そこから直接Emailにて在校生に質問頂ければと思う。

■授業総決算!- ご関心のある方へ

これまでの2年間、計8学期にわたり、さまざまな授業紹介をしてきた。個人的な意見を述べさせていただくと、教授のレクチャーの質に違いはあるものの、おそらくビジネススクールで教えられている様々な分野の内容は、学校ごとにさほど大差のあるものではないと思う。ぶっちゃけた話、同じようなテキストを使い、同じようなケースを使い、また同じようなレクチャーメモをもとに討論するわけである。

ここでは 「それでもこれはお勧めである!」 と言える授業を、Tepper Schoolにご関心のある方、あるいは進学を決められた方のために紹介したいと思う。授業内容の詳細はこれまでお伝えしてきたので、過去のレポートをご参照いただきたいと思う(なお、同じ授業でも教授が違うと全く質が違うため、要注意である)。

●Managing Organizations (Prof. Krakhardt) 興奮と目からウロコの組織論でした。
●Management Game (Prof. Lamont) とにかく経験できることがすばらしいです。
●Responsibilities & Perspectives of the CEO (Prof. Simmon) 超貴重な授業スタイル。
●Interpersonal Negotiation (Prof. Weingart) 知らないことだらけだった交渉術の授業です。
●Studies in Corporate Finance (Prof. Dammon) ファイナンスと正面から勝負・・という感じです。
●Corporate Restructuring (Prof. Dammon) 企業再編の理論と実務を体系的に学べます。
●International Finance (Prof. Telmer) 簡易な本質論が多いです。
●Corporate Financial Reporting (Prof. Koch) 基礎から応用・税務まで、素晴らしい会計の授業でした。

以上は自分が実際に履修した授業だが、これ以外にも評判が高い授業が複数ある。ご関心のある方は先述の日本人サイトから直接連絡をとっていただければと思う。

■International Festival

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台湾チームの民族舞踊の模様

4月後半、毎年恒例のInternational Festivalが行われた。各国の生徒が集まって、自国文化などにまつわる出し物をするイベントだ。当日は各国の料理も盛りだくさん振舞われ、かなりの盛況振りをみせる。

日本チームは毎年 「一番人気国」の一つだ。毎年、自国文化の紹介にからめながらも、どうしてもお笑い路線を突っ走ってしまう。今年も期待を裏切らない吉本級(?)のお笑い寸劇&クイズで、聴衆を笑いの渦に巻き込んでいた。1年生の皆様、お疲れ様でした。

さて、いよいよ次回からの5月前半・後半レポートをもって、2年間にわたったMBAレポートも終了します。最後の2回は「MBA総括」と題して、私が留学を通 して感じたこと、学んだこと、学べなかったことなどをレポートしたいと思います。

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