Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.45 総括(1) B-School留学して何が変わったか

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「振り返ると短かった」とはよく言いますが、この2年間は私にとっては非常に長く感じる期間でした。社会人として仕事をしていたときには1年間の短さに驚いたものでしたが、その頃から時間の感じ方が随分変わったものです。今回・次回の2回にわたって、「B-Schoolに来て自分の何が変わったか」、「これからMBAを目指される皆さんへ」と題して、愚見ながら本MBAレポートの総括とさせて頂き、お届けいたします。

■変わったこと (得たもの)
アメリカで「最先端」と言われるビジネス理論に触れられた

日本にいるとき、自分は書店やTV、有名なコンサルタントなどが並べるアメリカの様々なビジネス理論を「とにかくすごいもの」だと感じていた。中身はよく分からないが、聞こえがいい。内容さえわかれば、すぐに使えそうだ、と感じていた。反面 、実感として触れたことがなく、本を読んでもイマイチしっくりこない、といったもどかしさを感じていた。「最先端のビジネス理論ってどんなもんなんだろう」と疑問や不安を感じていた。

ビジネススクールにきて、この疑問は完全に解消されたと思う。もちろん、自分が知らない理論はまだ山のようにあるはずだが、少なくともアメリカのトップビジネススクールで「重要理論」、「最新理論」として教えられているものには、2年間どっぷりつかることができた。「なるほど」と思うものから、「?」と思うものまで、様々だった。何より、「こういうもんだったのか」というこの実感を得られたことは、今後の仕事人生のなかでも貴重な財産になると思う。自信にも繋がるし、いらぬ 不安を抱くこともなくなるだろうと思う。

自分のいた環境、日本をより客観的に見ることができるようになった

日本のメディアが偏っているとはよく言われることであるが(日本に限らないかもしれないが)、外国に来て、外国の新聞やTV、外国人を通 して日本を聞き、語ることによって、より日本を客観的に見ることができるようになった。自分の育ってきた日本の環境、教育、仕事が、どうアメリカや他の国と違うのか、曲がりなりにも考えさせられる機会に恵まれた。

こちらにきてから眺めた日本という国の個人的な印象は、思いついたところを挙げるなら、例えば「自信がなさすぎる」、「物事の進行がとにかく遅い、何も変わらない」、「結果 より過程を重視する美学がある」といった点だった。どれも歴史的・文化的・政治的要因が複雑に絡んだものだと思う。最初の2点はとにかく直さなければいけないと思う。日本の経営にも文化にも強みも優れた点も山のようにあると思うし、適切な自尊心なくしては、恐らく相手をフェアに見て、また尊敬することも難しいと思うからだ。また、物事の進行の遅さは顕著だ。1年ぶりに帰国しても、1年前と同じニュースがやっていたりするのには改めて驚くし、落胆する。アメリカではたぶん、まずあり得ないと思う。

3点目である「過程を重視する美学」は、あえて日本人として保持したい特質と感じる。特にビジネスの場では「結果 を出す」のは当然とされ、どうしても至上の目的となる。しかし、「結果 =ハッピー」かどうかは、実は大いなる疑問でもあると、こちらで勉強して改めて感じるようになった。効率主義、合理主義が重視されるなか、「結果 」のみがひたすら求められる傾向が特にビジネスの世界では強力だ。ここであえて、結果 を出すことを必要条件としながらも、むしろ過程を最重要視するといったメンタリティを醸成する価値を感じるようになった。

仕事に対する視野が広がった

私は税務事務所でたった4年半という仕事経験しかなかったため、およそ世の中の仕事というものに対する視野は極端に狭かったように思う。しかし、今回の留学を通 して多種多様なバックグラウンドをもつ人間と話して、「目からうろこ」という経験を何度もした。自分のいた世界、もっていた視野と考え、感覚が如何に限られたものであったかを痛感する機会に恵まれた。人と出会えたことが何よりも貴重であるし、また自分のいた環境・仕事から一度距離を置くことができたことも重要であっただろうと思う。この感覚は、何事にも変えがたい財産であると感じている。

自立心と機動力が高まった

慣れきった日本での生活、サービスの質は恐らく世界でも最高峰と思われる日本での生活では考えられなかったような機動力、積極性、自立心が、こちらにきて求められた。海外での生活の立ち上げ、日々の雑務、学業と家庭のバランス、すべてが人生初めての経験ばかりで、失敗も学ぶことも本当に多かった。まさに無形の財産という部分で、多少なりとも成長する機会を与えれたように思う。この感覚も、日本で仕事をしていては恐らく得られなかったか、あるいは得るのに相当時間がかかったものであったと思う。

■変わらなかったこと (得られなかったもの)
文化的相違を意識・比較したビジネス理論

「ビジネスはグローバル」であることを当然の前提にしながら、ビジネス理論の多くはほぼアメリカの事例を基礎として作られているように見受けられた。アメリカの学校なのだから当然と言えば当然なのだが、世界中から学生を集め、半数近く(学校によっては7割以上)の学生が海外から来ている状況のなかで、ややアメリカ事例・理論に偏った講義内容に対して、率直なところ不満がないわけではなかった。特に非英語圏のケースの数はかなり限られていたり、限られた英語資料を基に作成されているため、深みの欠けるものとなっていたことがあった。

ビジネススクールに来る前には、まさに「国際的な」ビジネス感覚を身につけられるのだと思っていたが、むしろアメリカで主流となっている見方を学ぶという色彩 がより強かったと思う。

感動するような戦略論

ビジネススクールにはとにかく日本でも流行の「戦略論」に最も大きな期待をしていた。「戦略」という名前にも相当なインパクトがあるし、「戦略のつくり方がわかれば、企業の方向性もだいぶ決められるんじゃないか」と期待していた。とにかくその手法が学びたかった。

しかし、実際にきてみると、ポーターのFive ForcesやBCGのPPM理論を中心として、いわゆる「フレームワーク型」あるいは「ポジショニング型」の戦略論を事例にあてはめて分析する程度であった(もちろん、そのほかにもあらゆる戦略理論を学んだが、授業のアプローチの仕方は同じである)。率直な感想は、「この手法を使って、従業員や顧客、もっと言えば自分の家族の生活を賭けて、本当に意思決定できるか?」というものだった。正直言って、自分にはこの程度の分析で前に進むことはできないな、と思う。恐らくは自分の学び方が浅かったというのが第一の理由であると思う。が、実際にこれらの戦略理論が現実的にどこまで適用性があるのか、これには未だに疑問を感じている。

実は就職活動のとき、コンサルティングファームの方々とケース討論をした。そのときに担当者の方々は一度たりともポーターその他の有名な理論を使用しなかった。むしろ強烈とも言えるほどに筋の通 ったロジックに依拠し、解決策を無数にあげていくアプローチを存分に見せられ、驚いた。抜け漏れのないアプローチ(いわゆるMECE)に、「これだ」と思わざるを得なかった。残念ながら、このような内容はビジネススクールでは全く学ぶことができず、「学校で学ぶ戦略」 と 「戦略系コンサルファームがとる戦略」の間に乖離があると感ぜざるを得なかった。

以上、留学で得られたもの、得られなかったものを簡単に述べた。しかし、重要なことは「得られたもの」だと思う。日本で仕事を続けていては、たぶん得られなかったものばかりだった。かなりの時間とお金、家族への負担をかけてしまったが、一言でまとめるなら、「留学して本当によかった」 と感じている。

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