Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.1 留学前の試練の日々

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今年の九月から、Stanford Graduate School of Business (以下略GSB) のMBAプログラム及びキャンパス・ライフについてレポートしていく藤本崇です。簡単に自己紹介をさせて頂きますと、現在28才、映画の大好きなA型の牡羊座です。生まれは千葉ですが、父親の仕事の都合で1歳から3歳の2年間と、12歳から24歳の12年間をアメリカで過ごしました。過去4年間の東京生活で少しは日本語を取り戻したものの、社会人歴5年目にして未だに丁寧語と謙譲語の違いも分からない怪しげな日本人に育っています。

留学のきっかけ

今回は会社を辞めて私費で留学しますが、仕事と会社は、個人的にはかなりエンジョイしていた方なので、いくらMBAが将来の為に良いと言っても、順調に進んでいるキャリアを一時中断して二年間学生生活をするというリスクの高い選択肢を自分の中で正当化するのにはかなり悩みました。

フェデックスは最近成長戦略が功を成してアジアでの業績が順調に伸びており、キャリアを磨くのには悪い場所ではなかったし、また私生活の面 でも結婚を控えながらわざわざ巨額の借金を抱え込んで無職になるというのには少しためらいもありました。

しかし結局私が留学に踏み切る決断に至った最大の理由は、就職してからも常に頭の片隅にあった、「今まで自分がやってきた仕事と分野は本当に自分が人生でやりたいことなのだろうか」という疑問でした。その疑問に答える為に、いろいろな世界を見て見聞を広げ、自分が本当にやりたいことを探しに行きたいという強い思いが、かなり前からあったのですが、この長年のWishful Thinkingを今年、思いきって退職+MBA留学というかなりハイリスク・ハイリターンな具体策に踏み切るきっかけは、実は結構些細なことでした。

一つはスタンフォードMBAプログラムのホームページ。このホームページには"CHANGE LIVES, CHANGE ORGANIZATIONS, CHANGE THE WORLD"というスローガンがページ一杯に書いてあり、卒業ガウンを着て拳を空に振り上げている生徒の姿が映っているのですが、初めて見た時、私はこの「世界のリーダーに成れ」みたいなメッセージに痛く感動してしまいました。

ビジネスを金儲けの手段としてではなく世界を変える手段として表現するところなど、このスローガンにはスタンフォードの校風がよく表れていて、今でもあー良いメッセージだなーと口に出してつぶやいたりなんかしてしまいますが、もともとこういう熱いメッセージに感化されやすい性格の私は、これを見てからというものMBAにはまってしまい、冗談抜きで確かこれを見た日にGMATの本を買いに行ったような気がします。

もう一つのきっかけは妻の言った一言。去年の夏私は一度外資系企業の経営企画の中途採用枠に応募して、仕事内容に対して職歴が不十分だという理由で不採用になったことがあるのですが、その面 接の後、当時婚約していた妻に、MBAを持ってたら採用されていたさと負け惜しみを言ったのですが、私の期待していた慰めの言葉とは裏腹に、彼女はあっさり「だったらそれ取りに行ったら」と返してきました。

後から聞いた話では彼女は私が受かるとも思っていなくて単なる返し言葉として言ったらしいのですが、私の方は、その一言で彼女が全部を理解した上で二年間貧乏学生になっても私は付いて行きますと言っていると理解し、100%行く気になってしまいました。

受験エピソード

そんな軽い気持ちで私が受験を決意したのは、既に8月中旬で、通常の出願予定者なら受験も中盤にさしかかっているべき頃でした。元々何をするにも「思い立ったが吉日」というパターンで行動する性格なので、当初は準備期間の短さについてもあまり深く考えず、むしろ自分の気が変わらないうちにさっさと受けてしまおうというスタンスだったのですが、周りは無謀だと思っていたらしく、上司、同僚、家族共々から異口同音に、無理せずに一年遅らせて余裕を持って準備してから受験した方が良いのでは、というようなアドバイスを受けました。

私が入社当時から育ててきた大規模プロジェクトが、四年の年月を経てやっと立ち上がった後大詰めに入っていて、さらに同時に私は結婚の準備も進めていたので、今から考えるとこの無謀受験プランで合格を貰うことができたのは、偏に周りの人のサポートと後は運に尽きるのではないかと思います。

エッセイについては一つ強烈なエピソードがあります。私は最初スタンフォード出願のエッセイの推敲を、スタンフォード卒業生でその丁度頃タイミング良くクリスマス休暇で日本に帰省していた姉に頼んでいたのですが、あまり何回も読み直しを請う私に疲れた姉は、最終的な文法や構成のチェックはプロに頼んでくれと、彼女のスタンフォード時代の同級生でアプリケーション・エッセイのEditingを専門にやっているというアメリカ人の友人を紹介してくれました。

ところが、ちゃんと電話で出願期日などを説明してお願いしていたのにも関わらず、そのEditorが添削したバージョンを私にメールで送り返してくれたのは、約束の日から5日も遅れた出願提出期限の24時間前でした。

その週私はシンガポール出張の真只中で、毎日社内業務システムの詳細設計を煮詰める会議に缶 詰になっていたのですが、夜解放されてホテルに戻ってEditorから届いたメールの添付ファイルを開けると、二度目のビックリが待っていました。

送られてきたその添削バージョンでは、スペルや文法の添削どころか、オリジナルの文面 がめった切りに分解されてまったく違う風に組み変えられていて、それによって内容、特にエッセイの最終クライマックスでの結論が、私が元々言いたかった主旨とはかなり食い違った方向性へと軌道修正されていたのです。

私の書き方がおぼつかなかった為か、Editorの人はエッセイの主旨を違う方向性で解釈し、好意でその方向性が濃く出るように書き換えてしまったようでした。これはかなりショックで、よっぽど添削バージョンを無視してオリジナルをそのまま出すか、或いはいっそのこともう出願を諦めようかとも思いましたが、あまりの悔しさに最低何故そのような解釈をされたのかを理解しようと、ホテルの大理石の洋式バスに浸かりながらこの添削バージョンを何十回も読み返しました。

これが結構功を成し、その後残された6時間余りで気を取り直して新しいバージョンを一から書き直すことに成功し、出願期限の10分前にSubmitできました。結局Editorが送ってくれた添削バージョンは出願には使うことはなかったのですが、ただこれによる解釈の違いを経験したことにより、読み手に上手く伝わるよう自分の文章表現を見直すことが、結果 として本来の自分を表現することのできるエッセイにつながったのだと思います。それにしても2ヶ月かけて練り上げたエッセイを捨てて、6時間で書いたもので出願するのはかなりの勇気が必要でした。

合格通知のハプニング

スタンフォードの合格通知は私の人生の中でも忘れられないエピソードになると思います。丁度スタンフォードから合格の知らせが来たとき、私は妻と1週間モルディブに新婚旅行に行っていました。

スタンフォードGSBのAdmissions Officeは合格すると丁寧に、電話、メール、入学書類の宅急便配送と、三手段で合格のお知らせをしてくれるのですが、私はインターネットも国際電話も出来無い小さな離島のリゾートに泊まっていたので、合否は旅行から帰ってから確認するつもりでした。

ところが留守中に入学書類のパッケージを受け取った両親が私に無断で開封してしまい、「Acceptance」という文字確認すると、興奮して私の宿泊しているリゾートのフロントの番号を調べて連絡してきたのです。したはいいのですが、英語が通 じなかったのか、フロント係りに「URGENT」と言う不穏な一言のみが伝わってしまい、普段は安穏な小島に緊急事態を発生させてしまいました。

リゾートのスタッフは、私の家族に不幸でもあったかと思って、その時沖の方にシュノーケリングに行って不在だった私と妻を島中(と言っても1周するのに徒歩10分とかからない島ですが)血眼になって探し回ってしまいました。

この誤解は私が両親と電話が繋がって解けたのですが、私にとってはさらに紛らわしいことに、連絡が来た日というのが4月1日で、しかも書類がフェデックスで送られて来たということもあって、合格の知らせを両親から聞いた後も、私は社内の人間が誰か会社の梱包材を使って私にいたずらでも仕組んだのではないかと思ったりして、本当だと信じられるまでにかなり時間がかかりました。

さらなる試練

普通の人が合格してから入学までは、安心して留学の準備をしたり知人との別 れを惜しんだりするのに比べて、私と妻には合格した後も実は多くの苦労が発生し(というか合格してからの方がよっぽど多かった)、一時期本当に誰かが私のMBA留学プランを嫌がらせでサボタージュしようとしているのではないかと思った程でした。

例えば、MBA Admissions Officeが合格を出してから生徒に実際入学を許可するまでに一応出願書類内容が真実かどうかVerifyするというプロセスがあるのですが、私が職務経歴に書いたユニバーサル・スタジオ時代の上司や人事担当者が辞めてしまっていて学校側が私の職歴を確認できるすべが無いと言ってきたのです。

私は長らく音信不通だったユニバーサル時代の同僚や先輩の連絡先をインターネット等で必死に探し出し(幸い知名度の高いクリエイティブ系の人が多かったので調べたら簡単に出てくる人が多かった)、私が働いていたということの証人になってもらうようお願いして、大学側がその人達に私の情報を確認してやっと入学許可がおりました。

次に起こったのがビザ問題。私はグリーンカードを持っているのですが、配偶者経由で妻にグリーンカードを申請すると最低5年待ちと言われ、やむなく妻に語学学校に登録させ学生ビザを申請させたらそれも却下され(配偶者が永住権保持者の為、彼女は非移民の対象とは見られない...らしい)、やむなく最終手段として私がグリーンカード放棄して夫婦でF-1・F-2ビザを申請することになりました。それも法律事務所等に相談すると危険だから辞めた方が良いと言われ、一時は新婚早々2年間の別 居生活を強いられる覚悟まで強いられました。

会社でも、ずっと自分でリードしていたプロジェクトが大詰めを迎え、プロジェクトチームの士気を下げないよう渡米ぎりぎりまで退職することを社内で言えず、仕事と留学の準備とビザ問題で、本当に八月はハラハラドキドキでした。 そんな波乱万丈な一年も何とか終わり、ビザ、MBA入学、退社の引継ぎ、そして妻との同居が無事解決した今、後一週間でSunny Californiaへと向かえるのが夢の様です。

長々と私事を書いてしまいましたが、次回からはちゃんとMBAプログラムについて詳しくレポートしていくつもりです。請うご期待!

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