前回は私のMBA留学の目的に照らして、自分なりのMBA総括をお届けしました。今回は一般 的な日本人学生にとってのMBAの価値について自分なりの見方をお伝えしたいと思います。私の独断で「投資価値」、「オプション価値」、「その他の無形価値」の3つに整理してみました。
MBAの投資価値
ここでは目に見える形での投資リターンについて書きたいと思います。私費で留学される方は特にご自分の投資が本当にペイするのかどうか気になるところだと思います(最初にお断りしておきますが、ここでは休職扱いを含む私費留学の方が海外の2年制MBAに留学した場合を前提としています) 。
正直に申し上げて、短期間でMBA留学の投資額を全額回収することは難しいと思います。MBA直後のキャリアやその時のマーケット環境、またMBA留学前の仕事や給与レベル等によって大きく異なりますが、一部外資系証券会社や起業家を除いて、5年間等の短期間での回収は意外に困難です。MBAの魅力の1つは卒業後の高給にあるだけにこれは少し意外に映るかもしれません。
例えば、留学時の年収が700万前後の方が2年間で生活費を含めて1,500万を投資し、2年分の給与の機会損失を被ったとしましょう。税金やどのみち使う生活費を差し引いても2,000万以上の投資をしていることになります。これをMBA後の10年間の給与UPで回収しようとすると、年額300万以上(額面 )の給与UPが必要となります。MBA直後に年収1,000万円を稼ぐことは十分可能ですが、一方で皆稼げる金額というわけでもありません。ましてや留学時の年収が高い方はそれだけハードルが高いということになります。
私の見方は少し悲観的かもしれません。実際に、多くの方が大幅な年収のUPを実現していることも事実です。しかし、厳しい現実をしっかりと見つめた上で、私費留学の判断をする必要があることを強調するために、敢えて厳しい見方をここではさせて頂いています。
キャリア上のオプション価値
短期間での投資リターンを過剰に期待しない方がいいと述べましたが、一方で、MBAを取得することで、その後のキャリアにおける様々なオプションを手に入れることができると思います。自分のキャリアが会社の業績や会社が決定する異動等に大きく依存してしまうリスクを低減することができるかもしれません。
また、人生のあらゆるタイミングでキャリアを見直したいときにMBAを取得していることがキャリアチェンジをする上で、有利に働くことも考えられます。これらのオプション価値は単純な投資価値の計算の際には考慮に入れられませんが、不確実な今の世の中では、実際には大きな価値があるのではないでしょうか。
その他の無形価値
金銭面でのリターンやキャリア上のオプション以外に、MBA留学をすることによって、さまざまな無形の価値を手に入れることができると思います。前回の内容と重なりますが、私にとって、無形の価値とは「ビジネスマンとして必要となる体系だった経営管理の知識」であり、「一生ものの人間関係」であり、「後悔のないキャリアチェンジ」であり、「外の世界で多くを感じる貴重な自由時間」であったわけです。これらにどれだけの価値を置くかは留学される本人次第です。ご自分のキャリアや海外経験、人生・キャリアに求めるものによっても評価が大きく分かれるかもしれません。
以上、私の独断でMBAという投資の野価値を大きく3つのエリアに分けて評価してみました。特に金銭的なリターンの点では若干厳しい内容を書かせて頂きましたが、MBA留学が多くの卒業生の人生・キャリアに大きなプラスとなってきたのは疑いようのない事実です。また、多くの優秀な方々が金銭的にも非常に高いリターンを実現されていることも念のためつけ加えさせて頂きます。
正直、私自身も9月からコンサルティング・ファームでの新しいキャリアを始める身であり、MBAという投資が自分にとってどれだけプラスであったかが本当に分かるのはこれからだと思っています。むしろ、これからの努力によって私にとってのMBAの価値が決まると言った方が正しいかもしれません。卒業をした現時点ではMBA行きを決断して本当に良かったと思っていますが、今後もそう思えるように日々努力してゆきたいと思います。
このホームページには実際にMBAに行っている学生たちの本音が書かれています。このホームページを見て、1人でも多くの方がMBAにチャレンジされ、実際にMBAを経験されることを心より願っております。
最後になりましたが、キャリア・インキュベーションの荒井社長・武藤さんには2年間大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました!