Campus Report 2002

山中 里織 to The University of Chicago Booth School of Business(全28回)

MBAホルダーへの道

Vol.28 Stretch Yourself-ビジネススクール生活回顧- (最終回)

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大変ご無沙汰してしまいました。ついにシカゴAlumniになりました、山中です。卒業後、Vacationはあっという間に過ぎ、8月中旬から新しい職場にて、外資系金融機関の、個人金融ビジネス部門のコンシューマー企画の仕事を始めました。

最後のレポートとなる今回は、卒業後しばらくたった今感じる、ビジネススクールでの経験についての率直な感想や、今後MBAを目指される方に対してここはポイントだなと思うところ、そしてぶっちゃけ自分にとってのMBAの価値はなんだったのかといったことについて、レポートさせていただこうと思います。

<MBAで感じた"ぜひやってみるべきこと"、"気をつけたいこと">
1. 最初はとにかく、輪を広げること

ビジネススクールに入ってぜひチャレンジするべきなのは、面倒くさいと思っても、とにかくNetworkingの場に出て行くことだと思います。入学して最初のころというのはその後とくに群れがち(?)なアメリカ人学生も、新しい環境で新しい友人を作ろうという意欲が旺盛で、留学生であっても、英語がカタコトであってもかなり寛容に接してくれるので、自分の知り合いの輪を広げる絶好のチャンスだからです。反対に、この時期にネットワーキングをしないとその後広げていくのはかなり難しいのではと思います。

もちろん、相性や性格のFIT、目指すキャリアの方向性といったところで、結局仲良くなっていく友人というのはある程度の時期がたつと決まってくるものです。ただ、最初の時期にAccessibleな友人をたくさん作っていると、その後仲良くなる友人の数もおのずから増えてきますし、しばらく音沙汰がなくても何らかのきっかけ、たとえばGroupを組んだりとか、同じ業界に興味があるということで協力し合うことになったりとか、何かと絆を深めていくチャンスも増えると思います。

ということで、最初の1,2学期は、たとえうるさいPubでの飲み会が"うざい"と思っても、とにかく顔見知りを作っておくことはとても重要です。以前もレポートしたとおり、私も本来はHome Partyや静かなバーでしっぽり飲んだりおいしいレストランで適度な人数でゆっくり語らったりするのが本来自分のスタイルに合うのですが、最初のほうはかなりがんばっていろいろなイベントに顔を出すようにしました。そして、そういった中から、気の会う友人と出会い、その後はじっくりとお互いを知ることで、単に"利用できる人脈"、といったビジネスライクな関係を超えた、一生付き合っていきたいと思える信頼できる友人関係を持つことができたのではと思っています。

2. Stretch Yourself

この台詞は、入学式にて学長のTed Snyderが私たちClass of 2004にむけてのスピーチの中で言ったものですが、本当に、そのとおりだと実感しています。私たちビジネススクールの学生は、ほとんどのケースにおいてキャリアを中断し給料なしで、しかも高い授業料を払ってビジネススクールで学ぶことを選んでいます。その貴重な時間を有効活用するためには、「このくらいがちょうどいいだろう」「とりあえず自分がHandleできそうなクラスからはじめよう」というような、自分のキャパシティー内のカリキュラムをとるのは非常にもったいないのではと思いました。

人間の限界は、ぎりぎりのところに置かれて広がる、ということをこの2年間実感しました。たとえば、最初の学期はある程度自分が知っている分野で履修したのですが、今思うとすでに知っていることにわざわざお金を払って復習するということになりRedundantでもったいないことをしたとおもいます。逆にかなりきつい、といわれる授業をとったときは、最初はつらかったのですが、終わったあとの達成感や、使用前使用後(?)の自分の違いはかなりDrasticで、本当に履修してよかったなと感じることができました。

メッセージとしては、人間の限界というのは自分が思っている以上に高いということです。つらいと感じつつも、しばらくたつとそんな状況になんとか慣れて、ついていっている自分がいて、そんな成長ができることこそがMBAでの醍醐味だと感じました。

3. 日本のExpertになろう

アメリカのビジネススクールにおいて特に顕著なのかもしれませんが、アメリカ人学生が7割近くを占めていることもあり、American Standard=世界のビジネスの基準、というムードになりがちです。そんななかで、ほかの国では、まったく視点を変えたSolutionがあるということを伝えることが私たち留学生の存在意義であり、勇気を持って話してみると意外と興味をもって聞いてくれたりします。

もちろん、日本人だからといってすべての業界の詳しい見識を持っているわけではないのですが、アメリカに行く前に、日本で今何が起こっているのか、何が問題となっているのか、ということに関し、事実を把握するだけでなくそういった問題、現象において自分の意見を持っておくというのはとても重要だし、同級生に伝えてあげるべきことなのだと思いました。

たとえば、少し前に日本でなぜ不良債権が膨らんだのか、といった問題に関しても外国人、アメリカ人の友人のほとんどは単に日本の金融システムが稚拙できちんとリスクアセスメントを行うスキルがなかったのだ、といった一刀両断の意見で終わってしまいます(もちろんそれも事実に違いないのですが)。ただもう一歩踏み込んで、銀行業界が構造上競争にさらされていなかった横並びの状態であったとか、高度成長期が続き、右肩上がりの経済情勢が続きバブルを迎え、ビジネスが停滞するということを想定できなかった、などなど、細かい背景なり見解なりがあり、そういった考察をDiscussionに持ち込むと教授、生徒ともとても興味をもって聞いてくれました。

アメリカのビジネスを学ぶことも重要ですが、それと同じくらい自分が身を置いてきた環境について知っていることは大事です。そしてそういったことは意外と日本国内にいると見逃したり流して、じっくり真剣に向き合うことが少ないのではと思います。日本人として当たり前と思っていることがGlobalのビジネスシーンでは驚きの対象になることも多く、そのような情報をどんどん提供していくことで、ビジネススクールのコミュニティーに貢献し、またそういった意見に対する反応とのコミュニケーション自体を通 じ学ぶことがたくさんあると思いました。

4. なんとなくぴんとこないことを知ったふりをする、納得いかないことをそのままほっておくのは、NG

最初は知らないことやわからないことを質問するのはとても勇気がいりました。また、言葉の壁もありあまりにベーシックではないかと及び腰になることが多いのは仕方がないことだと思います。

でも、ある程度教授、クラスメートが言っていることを把握した上でそれでも自分が知らない、ぴんとこないことは、ほかにもそう感じている人がいるはずだと思ってどんどん聞いていくことが大事だと思います。実際は数字やFinanceに強いといわれるシカゴ大にいるアメリカ人でもFinanceの基礎的なところを理解していなくて、平気でばんばん(失礼な言い方ですが)しょうもない質問をしていたりするものです。もちろん、度が過ぎるとひんしゅくですがそういった質問も教授は案外我慢強く対応してくれます。

もちろん、授業で聞くのは気が引けるというのであればすぐに友人に聞く、Office Hourで教授やTA(Teaching Assistant)に聞く、というので十分だと思います。大事なのは、せっかくの学びの機会を逃し、わからないことをそのままなんとなく流してしまうことがないようにすることだと思います。

<MBAの価値は?>

ここで、価値というのは何かというのがまず問題なのですが、もし価値=お金、給料といったことで話すと私個人のGuts Feelingでは、MBAで学ぶという選択肢は必ずしもROIが高いとはいえないと思います。2年間キャリアを離れるという機会費用、高いTuitionを考えると、その後の給料がたとえ上がっても飛躍的に上がるかどうか保証もないですし、MBAホルダーという高い期待値が課せられ、当たり前ですが一生職の保証があるわけではないですし、いわゆる仕事人的な、不安定な立場なのかもしれません。もちろん、このご時世ぜったい安定な職というのはもうどこにも存在しないのかもしれませんが。

しかしながら、人生における経験値?であったり、世界中に散らばるBusiness Expertや先端の研究を行っている教授とのアクセス、といった目に見えない価値というのはかなり大きいのではと思っています。そういったMBAで得られる財産はそのインパクトを計るのが難しく、また個人差も大きいので一概には言えないかもしれませんが、自分次第の持って行き方で非常に価値の高いものになるのではと思います。

たとえお金の面でPayしなくても、自分が納得いくわくわくする仕事をできる、だとか、自分の持てるOptionが広がる、といった面 での価値を考えるとMBAはやはり魅力的な選択肢だと思います。一方で、そういったネットワークが築けるか、あるいは築いても本当に生かせるかどうかはわからないというリスクもあります。

よって、転職で新しいスキルや経験を積む、国内のMBAで国内でのネットワークを深めるということももちろんとても魅力的な選択肢であり、結局は自分がどういったスタイルで、どういったキャリアを構築していきたいのか、ということをじっくり考えた上で、海外MBAが(たとえお金の面 でRewardingでなかったとしても)やる価値あり、と思えるのであればぜひチャレンジされるべきだと思います。その点を確認したうえで進んだ道であれば、後悔することは絶対にないといえます。自分がストレッチすればするほど、目の前に広がるオプションは無限大。ほかではなかなか見つけることのできない経験や、絆を創造することができると思います。

最後に個人的なところかもしれませんが、わたしにとってもうひとつMBAに行ってよかったと思えることは、Managerの視点を自然と持てるようになったことです。それまでは自分の仕事をいかにProfessionalにこなすか、それでビジネスマンとして十分だと思っていたような気がします。でも、ビジネススクールで学ぶうちに、自分が経営者だったら、もし自分が起業をするんだったら、という疑似体験を叩き込まれたせいか、どんなビジネスの事象においても、主体的に、リスクや責任も負う感覚を持ちながらものを考えるようになりました。

もちろん実際まだそういったポジションにいるわけでもなくビジネスを背負う立場ではないのでこうやって簡単に言ってしまえるほど楽なものではないということも感じています。ただ、Managerとしてどうあるべきか、自分だったらこうするだろうな(それがあっているかどうかはともかく)、という視点をもつことができるようになったことで、それが実際当たっていたり外れたりすることもあり、そのつど自分の感覚を磨くことができるようになったと思います。これは自分にとって意外と大きな変化でした。

今後は、自分でビジネスを創造し、しっかりと回していけるようになるのが目標です。そうなるまでに、これまでにビジネススクールで学んだことを実践で吐き出し、検証し、Tune Upするなど修行を積みながら、自分なりの、自分らしいManagementのアートを作り上げていきたいと思います。

以上、長くなってしまいましたが私の率直なMBA、ビジネススクールに対する考え方、感じたことを伝えさせていただきました。これまで、私の長いようで短かったMBAでの生活を綴った本レポートを読んでくださった皆さま、お付き合いいただきありがとうございました。私でお役に立てること、相談に乗れることがあればぜひ、Career INQの皆さんを通じ、あるいはGSBのHPなりを通じてぜひご連絡いただければと思います。これからも何かの機会でお会いできること、楽しみにしています。

最後に、今までお世話になったCareerINQの皆様、とくにこのレポートを書く機会を与えていただいただけでなく、キャリア面 での相談に乗っていただき、貴重なアドバイスをいただいた荒井社長には本当に感謝の念に耐えません。今後ともぜひ、末永いお付き合いをいただき、いずれは一人前のBusiness Mindとして恩返しをさせていただければと思っております。ありがとうございました。

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