Campus Report 2003

大久保 琢史 to INSEAD(全9回)

MBAホルダーへの道

Vol.9 インシアードMBAプログラムを終えて(最終回)

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7月1日にはパリ市内で卒業式が開催され、INSEAD・MBAプログラムのDEANから一人一人卒業証書が手渡されました。今稿では、一年間のMBA生活を振り返った感想、MBA卒業生の進路、またINSEADでMBAを取得する事を考えている方へのアドバイスを記します。

MBAはかならずしもペイしない

MBAについては、否定的に捉える批判も聞かれます。主には、(1)授業料が高い、(2)MBAで勉強した内容は結局実際の仕事には役に立たない、(3)MBAを卒業しても就職が大変、等が挙げられます。

授業料が高い事は確かです。INSEADの場合、一年の授業料が4万3千ユーロ、その他に生活費、車のリースなどを考えると、現行の為替レートで800万円は下らないでしょう。MBAの内容が実際の仕事に役に立つかどうかは職種にも依りますが、勉強する科目が浅く広くというのが一般 なので、仕事には直接関係ない科目も多いでしょう。またMBAでの重要科目のひとつである組織論(Organizational Behavior、要は人心収攬術)は教室で勉強してもなかなか実地で実践できないものです。

MBAを卒業しても就職が大変というのも真実です。特にITバブル後の2001-2年頃は、MBA卒の主な就職先とも言える金融、コンサルティングが採用を極端に絞り、就職は相当厳しかったと聞きました。私の代では就職事情も回復し、足元では金融が特に積極的に採用しているようですが、それでも7月卒業時点で15%程度はまだ卒業後の仕事が決まっていなかったように見受けられました。

またMBAに行ってキャリアチェンジというのも実際には困難です。友人でエンジニア出身から金融、また別 の友人は金融出身から消費財のマーケティングなどを希望していましたが、とても苦労していました。

ですので、MBA取得が経済的にペイするかどうかについては明確には肯定できません。反対に、"平均的には"ペイしないというような研究結果 をエコノミスト誌などで見た覚えがあります。

ただし、MBAで得られるものは経済的性質のものばかりではありません。(1)異なった環境に住む経験が得られる、(2)友人の数が増える、また幅が広がる、(3)MBAでの勉強から知的満足を得る、(4)旅行する機会が増える、(5)遊べる(?)などが挙げられます。

私の場合にあてはめて言うと(1)シンガポールや、フランスに長期間住む機会というのはINSEADに行っていなければたぶんなかった、(2)これまで米国人が主だった海外の友人の幅がヨーロッパ各国、中東、インド、中国またアジア各国にも広がった、(3)MBAで勉強した科目のうち、マーケティングや生産管理等の科目は内容が新鮮で、授業が楽しくてたまらなかった、(4)私はMBA仲間の中ではあまり旅行をしなかった部類ですが、それでもINSEADに通 った10ヶ月の内に私が旅行した国を数えると10以上に上り、クリスマス休暇には10日間パキスタン、卒業直後にセネガルで8日間、どちらも学友の実家を訪ねる形で過ごせました、(5)INSEADではNational Week という、学生が自国の文化イベント&パーティを開催するイベントが年間10回ほどあり、それ以外にも毎週末ホームパーティなどの機会がたくさんあります。

結論としては、純粋にキャリアアップしたい、もっと給料の高い仕事につきたいという目的からは、MBAは必ずしもお勧めできません。明確にMBAに行けば?とお勧めできるのは、(1)MBA後の就職が確保できる、(2)私が挙げましたような経済面 以外の利益が本人にとって大きな意味を持つ場合に限られると思います。

それでもMBAに行く

MBA受験の際のアドバイス

第一稿で詳細に述べましたので、詳しくはそちらを参照願います。一般 的にあまり見ないアドバイスとしては、以下の通りです。
(1) GMAT、TOEFLは、MBAに行こうと決めたら、その日に試験日を電話予約し、まったく勉強していない状態でもいいからとりあえず受ける。1000万円近い投資をするわけですから、数千円の試験料をけちらない。実際に一度試験を受けるとその後の勉強にも役に立ちます。

(2) 行きたい学校を観光がてら見に行ってみる。訪問する場合は、事前に学校に連絡し、在校生に会ってみる。数百万円のお買い物を考えているお客様にはMBAの事務局もしっかりサービスしてくれます(例外はあるかもしれませんが)。授業も見学してみる。会社も、MBAの学校訪問という理由なら休暇をくれやすいでしょう。

(3) 推薦状はとりあえず自分で書く。推薦者もその方が書きやすいです。

(4) エッセイでは、学校を訪問し、在校生に会い、授業にも出席し、その内容をとても気に入った事をアピールする。

MBAが決まり渡航前でのアドバイス

(1) 学生ビザの準備を早めにする。米国、欧州の場合、ビザ取得の準備から実際に下りるまで、5ヶ月かかったという話も聞きました。無犯罪証明書とか、今まで聞いたこともないような証明書を求められ、またその証明書を取得するのにまた別 の書類が必要になったりして、いい加減にしてほしい、、、、とため息が出るくらい時間がかかります。行き先が決まり次第すぐ取り掛かりましょう。

(2) 勤め先はなるべく早めに辞めさせてもらって、語学研修、そうでなくても1ヶ月くらいの旅行に行く。人生、こういった機会でないとなかなか1ヶ月というような長期の時間は持てません。ぜひ活用しましょう。またMBAでは授業の際も、また社交生活上も語学は極めて重要です。もし英語に自信がそれほどなければ、ぜひ現地で語学学校に通 いましょう。語学学校は、似たような状況の人たちが集まっており、すぐ友人ができ、とても楽しい時間が過ごせると思います。

(3)住居探しですが、一つのストラテジーとしては、学校と同じ都市の語学学校に事前1-2ヶ月通 う、その間の住居は語学学校に世話してもらう、その間に長期的な住居を探す、というのがひとつのやり方です。

(4) クラスメートと住居をシェアする事を勧めます。社交生活が重要な位 置を占めるMBAでは、とりあえず同居している人をバディ(一緒に行動する相手)として確保できるといろいろ都合が良いでしょう。同居人選びの基準としては、若い人(20台前半とか)は避けましょう。またこれは好み次第ではありますが、アジア、中東出身者の人たちの方が日本人とはやはり合うと思います。最終的にどういう人となるかは運ですが、同じMBAに通 う学生なので、それほどハズレはないと信じましょう!

(5)MBAに行く直前に結婚するというのはよく聞く話ですが、反対にあせってMBA準備中にいろいろうまく行かなくなりダブルパンチという話も聞きます。成功すると1-2年間のハネムーンですが、ぜひ慎重に!(=これは半分冗談です=)

私の近況

最後に私の近況を簡単に記します。私はこの9月からスペインのバルセロナにあるポンペイ・ファブラ大学という学校で経済学を勉強する予定です。コース自体はPHDのコースなのですが、一年目の課程で取得できる修士号をもらいこの2年間の学生生活は終了する予定です。大学の授業は英語ですが、日常生活のために今はバルセロナの語学学校でスペイン語入門中です。バルセロナは安全で、パリなどと比べても物価は安く、また人も親切な人が多く、とても親しめます。ぜひみなさんも遊びに来てください!

これまで私のMBA体験記を読んで頂いてありがとうございました。INSEADに関する事でご相談がある場合は、可能な限り対応したいと思いますので、こちらまでご連絡ください。それでは!

大久保 琢史

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