■フリークアウト
学校では常に誰かが"I'm so stressed out."(とっても精神がまいっちゃってる)とか、"I'm freaking out today."(てんてこまいなの~)だとか叫んでいるのが聞こえる。たしかに授業、宿題、職探しにクラブ、学校内外でのアルバイトだとか、みんなとっても忙しい。でも私は最近まで、何でこの人たち、毎日大変だ、大変だ、って言うのだろうと思っていた。
もちろんここはビジネススクール、超頭のいい子の中には、グループワークの自分の分担が人より多くならないようにだとか、あまりグループに貢献しなかったことの言い訳にこれらの言葉を使っている向きもちらほら見受けられる。
でもそうじゃなくって、ただただ"忙しいの~"って毎日言っている学生たちも多い。 謙遜が美徳(?)の日本人に生まれ、父も母も「忙しい」も「疲れた」も滅多に口にしない家庭に育った私にとって、つい最近までこの言葉はあまり耳障りのいいものではなかった。どうしてこの人たちは忙しい、忙しい、って言う前に要領良く物事を片付ける努力をしないのだろう?なんて思っていたのだ。
でも二年生になって、最近、本当に忙しいのだ。クラスメートに最近どう? なんて聞かれると、つい、「忙しいの。」って言ってしまっている自分に気づく。忙しいのは、授業の中間試験とプレゼンテーションに加え、職探し(学校でのインタビューは平日、授業の合間に行われる)と、掛け持ちしているクラブの行事の準備がいくつも重なってしまっていること、さらに教授の手伝いをする、Teaching Assistantの仕事のせいだ。
普段お休み3秒の私は、ストレスも疲れも一晩眠れば忘れてしまえるし、眠れない、なんてことは滅多にない。でもここのところ、一晩ちょっと多めに眠ると、どんどん物事が遅れていってしまうのだ。大好きなプールにもあまりいけない。私の人生には今までありえなかった事態である。
風邪を引いて、これは2,3日よく眠れば治るだろうな、と思っても眠る暇がないし、薬を飲むと眠くなってしまうので、薬も飲めない。週末も、ボストンでのキャリアフェアがあったりして、あまり休む暇がない。キャリアフェアに行ったら行ったで、色々な人とお話をするチャンスだと思ってしまい、欲張って面 接をセットしたり、ディナーに出かけたりしてしまうからだ。風邪はビタミンCの錠剤を一瓶ぜ~んぶ食べることでほぼ解決したけれど。
人間の物事を処理する能力には個人差があり、努力は才能のうちに含まれる。けれど、とんでもない忙しさを経験するうちに、物事を処理する能力はアップしていくという。この嵐のような日々が過ぎれば、スーパーコンピューター並みの処理能力が身につくかもしれない。睡眠不足も慣れれば平気という人もいるが、眠ることでストレスを解消し、泳いでいる間に考え事を済ませている私にはちょっと辛い。今はただ、スーパーウーマンになった自分を夢見て毎日をフリークアウトしながら過ごしている。