7月の期末試験、期末レポートラッシュをくぐり抜けて、8月は夏学期だ。夏学期は3~5日間の集中講義で構成され、8月2~6日、16日から20日、23日~27日の3ブロックのうち、それぞれ1講座を受講できる。受講は義務ではなく、実際に派遣元の会社の事情でまったく受講しなかった学生もいた。また「いい機会だから」と国際関係学の講座を取って「貧困とエイズの問題について議論した」と語る学生もいた。
かくいう私も8月を海外の語学研修に参加して過ごすか、夏学期の講座を受講するかでしばし悩んだが、結局単位 取得を考えて語学研修は次の機会に回すこととした。そこで第1ブロックの「ベンチャー企業の株式上場」と、第3ブロックの「組織のオペレーション」の2つを受講することにした。
「ベンチャー企業の株式上場」は新日本監査法人の代表社員である吉村貞彦さんが講師。吉村さん以外にも同法人で株式上場に携わっている会計士が登場、実務に基づいた株式上場の現場を語った。講義の内容は、会計士の方々の熱意は感じるものの、正直言って受講を薦められる内容とは言い難かった。5日間の集中講義でできることは限られているが、だからこそ何か一つにフォーカスを当てるべきであり、この講座はベンチャー上場にまつわる全般 をサラっと撫ぜただけ、という印象が否めなかった。
「組織のオペレーション」は欧州系コンサル・ローランドベルガーの日本社長である遠藤功客員教授による講義。遠藤客員教授の「経営と戦略」は研究科内でも有数の人気講座であり、今回の集中講義も100人以上が詰め掛ける「満員御礼」状態。となるとこの人数では講義形式が中心とならざるを得ない。オペレーションとは何か、現場力とは何かを語る、遠藤客員教授の実務に基づいた講義は面 白かった。ただ面白い講義をいくら聞いたところで、それが実務で役に立つかどうかというと、甚だ疑問だったのも事実だ。
というわけで、2週間の夏学期は少々不満をもって終えた。集中講義、というスタイルの問題もあるし、内容の問題もある。学生の側から見れば、これらの講座を何かを始めるきっかけとするにはいいだろうが、実際のビジネスに役立つかどうか分からないような内容では不満を感じずにはおれないだろう。振り返ってみると夏学期だからこそ、国際関係の講座を受講して、ビジネスから一歩離れて見るのも良かったような気がしている。
こうして夏学期が終わったのと同時に、9月上旬のゼミ合宿の準備が始まった。私が所属する東出ゼミナールのゼミ合宿は2泊3日、親睦を深めるようなイベントはほとんどなく、1年生の発表がギッチリ詰まっている。東出ゼミは社会調査の手法、すなわちリサーチメゾッドをゼミで習得し、修士論文に生かすことを目的としている。そこで今回のゼミ合宿でもリサーチメゾッドの基礎を1年生が発表するのだ。
上級生から渡された参考文献のリストを手に、学内の図書館をはしごして文献を集めたらそのほとんどが英語の文献で、しかも内容がまったく検討がつかず、しばし呆然とした。一難さって、また一難。そんな言葉を胸に、「うちは海外へゼミ旅行」と楽しげな同期を恨めしく横目に見ながら、ひたすら図書館にこもり続けることとなった。