Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.4 ケーススタディその他いろいろ

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晩秋のパロアルトで期末試験やプロジェクトの提出にやきもきしている今日この頃です。今はこちらは夕方から小雨が降っています。

Albert Hammondという人の曲で、"It Never Rains in Southern California"という歌がありますが、私が以前8年間住んでいたロスアンゼルスではその言葉通 りまったくと言って良い程雨が降らなかったので、「カリフォルニア=雨が少ない」というイメージでパロアルトにもやってきたのですが、今の季節になるとここBay Areaではかなり雨が降り、ちょっと期待はずれの気候にがっかりしています。

反対に良い所としては、ロスでは全く見ることのなかった紅葉が見えてきたことでしょうか。それでも季節の移り変わりや秋の色彩 はやはり日本に比べるとモノトーンに感じられ、こうして離れてみるとどれだけ日本の四季が素晴らしかったかを思い出し、多少日本が懐かしくなる今日この頃でもあります。

さて今回はクラスの内外での模様をランダムにいろいろ紹介してみようと思います。まず先週のMicro Economicsの授業からお話を一つ。トピックは「Incentiveベース」の給与体系について。

アメリカのとある地方銀行が上限40%のパフォーマンス・ベースのボーナスを導入してから4年目、それまで右肩あがりだった業績が初めて悪化する。ファームを取り巻く市場の状況を踏まえて、パフォーマンス指標の組み方とボーナス配給の仕組みがファームの長期的ビジョンにとコーポレイトカルチャーに相応しいかを議論するというテーマです。

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ディスカッションが始まると、まずアメリカ人のクラスメートから口々に、「インセンティブ報酬が給与の大半を占めるような給与体系は社員のモチベーションを上げるように見えて実は逆にProductivityを下げてしまうのではないか、なぜならば社員はそのインセンティブを最も左右する毎年の指標のゴール設定にこだわり過ぎて、あまり仕事をしなくなるからだ」といった意見が相次ぎました。

例えば、わざとコンサーバティブな数値に設定したがる現場の社員と、アグレッシブなゴール設定を目指すマネージメントの間に摩擦が発生し、時としてその押し問答が必要以上に長続きして実務の時間に食い込んできたりすることがある。これを言ったのはインベストメントバンクのブティックファーム出身のピーターです。

次に広告代理店の営業をやっていたキャサリンも、いかに彼女の職場の同僚達がインセンティブの指標設定に固執して時間を無駄 にしていたかというエピソードを話し、いっそのことマネージメントが設定した業績の目標に基づいて、現場レベルに有無を言わさず毎年の指標基準を作るべきではないかと言います。

私は個人的にこれらの意見に非常に疑問を感じました。確かに指標の設定についてああだこうだ言っているだけでオフィスでの一日が終ってしまう職場というのは良くないとは思うのですが、しかしそうは言っても指標を決める為に経るプロセスというのも実は結構大事で、同じ数字でも、そうやって上と下が議論してみんなで賛同した最終的な数字と、ただ一方的に押し付けられた数字とでは、社員のそれに対するオーナーシップとコミットメントが全然違うのではないかと思ったのです。

マネージメントは現場を知らないから上作って一方的に下に押し付ける指標は現実味が薄い。しかし現場は目先の事が忙し過ぎて長期的羨望やビジョンの事を考えている暇が無いから、現状維持を越えたチャレンジを自分に課す事が難しい。だから押し問答になっても上と下が摩擦を乗り越えて一つのゴールにAgreeするっていうのが重要なのではないか、組織のチームワークの基本ってそういう所じゃないのかい、と最後は純日本的なプロジェクトXのノリでクラスに対してかなり熱く語ってしまいました(説明は英語でしたが)。

実際私の四年間のFedExでの経験では、そうやって時間をかけて設定されたゴールに対して現場の見せるコミットメントと気合いの入れように、いつも社員ながら感心していたので、こういうトピックに対しては個人的思い入れが深く、私は3分位 興奮して喋ってしまいました。

しかし、その後プロフェッサーが「なるほど、タカシはこう言っているけどそれに対して誰か意見はあるかね」と言ったら誰も何も手を挙げず、そうこうしているうちに時間切れでクラスは終了になってしまいました。私は誰でも反対意見のジャブを打ってくるのを迎え撃とうと身構えていたので、自分の言い方では上手く伝わらなかったのかしら、と多少ガッカリして教室を出ました。

しかし、その後カフェテリアでランチを食べていると、今まで一度も話した事の無かったクラスメートの一人が寄って来て、実は私もあなたの意見に賛成だったのだけど、あなたが上手くまとめてくれたから手を挙げるのは控えたけど、と教えてくれて、それまで落胆していた私の気分を爽やかにしてくれました。そんなコメントに一喜一憂しているケース・ディスカッションなのでした。

ケース・ディスカッションには、頭の中にあるいろいろな言いたい事をどれだけ簡潔でポイントを押さえたしかもインパクトのある発言にまとめることができるかという自分に対するチャレンジがあり、私は自分の発言力を客観的に見直すいい場だと思っています。

ある時は、言おうと思ったことを頭の中でまとめようとしているうちに、先に違うクラスメートにそのコメントを奪われてしまい悔しい思いをすることもあり、また、せっかく手を上げて得意げに発表した後に根底を覆されるような鋭いつっこみをクラスメートから食らってめげたりすることもありますが、こうやっていろいろなバックグラウンドの人と意見を交わして切磋琢磨するというプロセスはやはりビジネススクールという設定で学ぶことの醍醐味なのではないでしょうか。

ではもう一つ、クラスの外の話題から。MBAではよく「Reciprocity」という言葉が使われます。日本語で言うと「相互性」とでも言うのでしょうか(間違っていたらすみません)。これはつまり、人間のコミュニティを一つのネットワークとみた場合、ネットワークの一部である一人一人が、互いに相手に取って有力な情報を交換しあうことでネットワークの価値を高めるということで、最近日本でも時々耳にする「ネットワーキング」という言葉に当てはまる行為だと思います。

私は最初、損得勘定で人との付き合い方を決めるというのは倫理的に見ていかがなものかと訝っていたのですが、スタンフォードGSBに来て3ヶ月が経ち、最近ようやくコミュニティという設定におけるこの「Reciprocity」の意味が分かってきたような気がします。

些細な例ですが、例えばワイン。私は日本に居る時から食べることは好きだったのですが、ワインだけは何故か苦手で、勉強してみたいと言う気はありながら、どれを飲めば良いのか良く分からず、どちらかと言うと敬遠している方でした。しかしこちらでは、場所柄周りにワイン好きが多く、彼らの影響で勧められるままに安いものから飲み始めていると、自然とワインを美味しいと思うようになりました。

勿論私費留学生でありながら毎日ボトルが買える身分であるはずが無く、むしろまだ自分で買ったことは数回しかないのですが、教えて貰うと自分で調べる手間と時間を無駄 にすること無くワインに対する興味も湧いてきます。一人だったら多分こういう方向には行かなかったのかなと思うとこういったコミュニティで恩恵を被っていることは多いなと感じます。

そう考えだすと本当にきりが無いのですが、先週も私はエンターテイメント企業について調べたいのだと友人に話したら、別 のクラスメートを紹介されて、その人のお兄さんが某有名メディア企業で働いていて紹介して貰えることになったので、悩んでいたリサーチを一気に解決できることになるという事件がありました。

スタンフォードGSBのコミュニティは本当に助け合いの精神が旺盛で、こういうコミュニティの中にいると、自然にやはり自分もどこかでコミュニティの他のメンバーの役に立つことはないかなというスタンスになるし、人の役に立つ事に喜びを見い出すようになったような気がします。

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グルメの話に戻りますが、これから毎回最後にスタンフォードで食べた美味しいものを一つレポートしてこうと思います。今回は、クラスメートのマキシムのお宅にお邪魔して頂いたロシア料理。私は本格的なロシア料理をあまり食べたことが無かったのですが、このディナーはかなり美味しくて、レポートする必要があると思いました。

まず前菜から。ビーツとタマネギのビネグレットソース。これはビーツとタマネギをビネガーでマリネしたもので、サラダとピクルスの間の子みたいなディッシュです。非常に美味しい。続いてピロシキ。キャベツとひき肉の二種類のピロシキが出されました。続いてマキシムの奥さんのスベットラーナが「ロシアの家庭料理の究極」と呼ぶロシアン・サラダ。マヨネーズとサワークリームで和えたポテト・マカロニ・サラダといったところでしょうか。味付けは日本のマカロニサラダとそっくりです。

更に「シ」というボルシチみたいな(だけどボルシチとは違うので、間違えてはいけないよと念を押された)スープ。キャベツを中心とした野菜がメインに入っていて、これもとても美味。最後に「ピルメリ」というロシアの水餃子みたいなパスタ包み料理(っていうか味がまるっきり水餃子です)。一貫して味付けがどれも日本人好みだったのが非常に印象的で、やはりロシアとアジアは大陸で繋がっているのだと納得させる大満足の全六品ロシアンコース料理でした。

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なんだかMBAのレポートでは無くて「世界ふしぎ発見」のレポートみたいになってしまいましたが、こういったビジネスの勉強の間に体験できる異文化との交流も、自分の視野を広げる土台になっていると私は思います。

今回は本当にランダムにいろいろ書いてしまいましたが、次回もキャンパス内外のことを織り交ぜながら、本題のキャリア・リサーチについても書いて行こうと思います。乞うご期待。

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