冬学期も無事終了
なんとも忙しかった冬学期もようやく峠を越して、残すは試験のみとなりました。今年は暖冬と言われており、ここハノーバーの冷え込みも例年に比べると大したことは無く、結局この冬通 してマイナス30℃近くまで下がったのはほんの数日でした。多くの日は0℃からマイナス10℃程度で、バナナで釘を打つ実験を本気で実行しようと思っていた私としては肩すかしを食った気分です。2月のある日などは気温がプラス10℃にまで上がり、街には半袖短パンで歩く人の姿も多数見受けられました(実話です) 。
今学期はオンキャンパスのサマーインターンのインタビュー等もあったので、アメリカで職探しの学生にとっては、実はFall Bよりもキツイ学期だったと思われます。私は今学期最初のスタディグループ・ミーティングで「もう日本でのサマーインターンが決まっているのでオンキャンパスの就職活動しないし、みんなの為にいろいろやれるよ」と宣言していたこともあって、グループ唯一の暇人として皆の期待を背負いつつ勉強する事となりました。
フタを開けると、今学期も多量のリーディング・アサインメント、いくつものグループ・ワーク、「冬学期こそスキーしまくるぞ!」という強い個人的決断などあり、常に時間に追い立てられる学期に。特に皆がリクルーティングで忙しかった2月など、常にグループワークでは「これ、Shigetoやってくれないかな?」という皆の期待の視線を肌で感じつつ、スキーに支障を来さない程度に最大限コミットしていくという方針で対応しました。
しかしながら、予定外の時間ロスなどあるとどこかでキャッチアップせねばならず、結果 としてやむを得ずスキーの時間を減らすという苦渋の決断も何度か迫られる事となりました。ワーク・ライフ・バランスという永遠にして最大のテーマにも取り組んだ学期であったと言えるかもしれません (やや大げさかも) 。
さて、今回は今学期特に増えた、グループワークの様子について語ってみたいと思います。今期与えられたグループ課題は、その日の授業に関連するトピックを授業の最初に3分でプレゼンするもの、いくつかのケースについての分析、プライベート・ブランドに関する分析、パンパースのマーケティングに関するプロジェクト、自由課題の業界分析プロジェクトなど、授業毎に内容は多岐に渡りました。その中から特に、ストラテジーの授業のプロジェクトの様子について紹介します。
ストラテジー・プロジェクト
今学期のストラテジーの授業では、グループ単位の自由課題のプロジェクトが与えられていました。授業で扱ったフレームワークを使って、実際の企業・業界の分析をする課題です。他グループは「ヒューレット・パッカードとコンパックの合併に関する分析」、「フォルクスワーゲンの高級車セグメントへの進出の分析」など、なかなかに興味深いテーマを選んでいました。
もちろん我々のグループも負けてはいません。我々が選んだのは「ICOS社のED薬マーケットへの進出」というもの。ICOSとは、1990年に設立されたワシントン州にある開発専業の製薬会社です。この小さな会社と巨大企業イーライ・リリーが組んで、「シアリス」という薬で2003年にED薬マーケットに参入しました。最強のライバルはもちろん、ファイザー社の「バイアグラ」です。
この微妙なテーマ選定の過程は、実は結構安易だったりします。最初の判断基準は「みんな忙しいし、情報が集めやすい会社」。この判断基準に基づいて、ICOSの会長がタックの卒業生であることを知っていたシアトル出身のメンバーが、何気なく提案したのです。今夏は製薬会社でのインターンをやる予定の私もこの提案に乗りました。「ちょっとこの話題でプレゼンするのイヤなんだけど」という女性陣の至極もっともな主張もありましたが、上手くなだめつつ無事グループでの合意に至りました。
テーマが決定してリサーチに取りかかると、アテにしていたICOSの会長から「ちょっと忙しいので・・・、でも頑張ってね!」と敢え無く情報提供を断られたり(よく考えたら当たり前か)、私もツテを頼って送ったメールに「担当者から連絡させます」というメールが来たきり連絡が無かったりと、情報収集に関してはいきなり暗雲が漂います。特にICOSの会長にはみんなで電話インタビューなどしようと楽しみにしていただけに、やや残念。
しかしながら、短期で仕上げなければいけないプロジェクトなので、気分を切り替えてさっさと別 のソースをあたります。ダートマスの大学病院のお医者さんにインタビューしたり、図書館の検索を使って関連記事を集めたり。このレベルの情報ソースだとやや深みに欠けますが、やむを得ません。幸いなことに話題性のあるトピックだったため、関連記事には事欠きませんでした。
なんとか無事終了
途中、並行して走っていたマーケティング・プロジェクト、マクロ経済学の試験、コーポレート・ファイナンスの課題などコースの負荷が重かった事に加え、ミーティングの非効率性にキレるメンバーが出たりと、グループは一時険悪な雰囲気に。結局負荷の重いストラテジーのプロジェクトとマーケティングのプロジェクトでチームを2分割する事に決定。両方やりたかった自分としては残念な展開ですが、他のメンバーが私ほどはグループ・プロジェクトにコミット出来ないのも理解出来たので、最後は譲歩しました。私はストラテジー組に。
ストラテジーのプロジェクトのプレゼン前の最後の土曜日は、3人のメンバーが集まってロジックの最終打ち合わせ。普段は仲の良いメンバーの一人が、いくら話しても私の説明を全く理解してくれないので、最後は私も相手もキレる寸前になる場面 も。また、プレゼン前日である月曜日の午後になっても、用意した内容が全く制限時間内に収まりません。
その上、マーケティング・チームとして途中から分離したメンバー相手にリハーサルを行うと「ポイントが不明瞭。面 白味に欠ける」とダメ出しをくらって、結局前日だというのにプレゼン内容の大幅変更に踏み切るなど、最後までバタバタとしたプロジェクトとなりました。最終的にはプレゼンは無事成功。教授からもお褒めの言葉を頂きました。私も用意したジョークで笑いを取るなど、何とか形になりました。
さて、このストラテジーのプロジェクト以外にも様々あった今学期のグループワークについて、少し感想を述べたいと思います。上述のストラテジーのプロジェクトに関しては、与えられた時間にしてはそれなりのアウトプットが出せたと思います。一方で、一般 論の範囲から抜け出せたかと言うと、残念ながら決してそうでは無いようにも思います。
今学期のグループワーク全般を通じて感じた事ですが、様々な理由で時間的制約が強すぎて、ディスカッションを楽しんだり、物事を深く考えたりする余裕がありませんでした。リクルーティングの事を考慮すると、ちょっと課題が多すぎたのかもしれません。もちろん学べた事はたくさんあって、真剣にやっているが故に時には熱くなった自分を後で反省したり、自分にとって自明なことが相手にとってはそうではない事を改めて認識させられたり。個人的には、全体として良い経験が出来たと思います。
そして結果:Peer Feedback
秋学期に続いて2回目のPeer Feedbackが本日帰ってきました。みんなで協力して乗り切った9週間における、自分への評価が判る瞬間です。
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就職活動のプレッシャーもあって、秋のスタディグループに比べてメンバーの結束は弱かった今期のグループでしたが、フィードバックの中身は概ね好意的。要改善点は秋から共通 して「もっと積極的にイニシアチブを取れ!」ですが、内容はよりポジティブになっているように感じられます。言葉への慣れはまだ必要ですが、皆との作業の進め方の勘所が掴めて、より能動的にグループワークに参加出来たのが良かったのかな。グループワークがより増えた今期のこの評価は、なかなか嬉しい結果 です。春学期には実際の企業へのコンサルティングを行うプロジェクトに参加することになっていますので、また張り切って頑張りたいと思います。
日本語HPリニューアル
カリキュラムとは別で進めていたプロジェクトも、無事一段落。昨年の12月からゆっくりと進めてきたTuck日本人在校生による日本語の学校紹介ホームページのリニューアルが、いよいよ完了しました。出来上がったホームページはこちらです。実際の制作には日本人同級生のパートナーの方が協力を願い出てくれて、私はあれこれ注文を付けているだけの立場でしたが、制作者サイドの私も惚れ惚れするような出来映えです。なんだか我が子のように愛おしく、時々用もないのに覗いています。やっぱり自分は何かを作るのが好きなのだなあという事を実感。
リニューアル版のコンテンツの目玉は、3月から始めるBlogとパートナーの方へ向けた情報です。Tuckに興味のある方、是非ご覧になって下さい。今後も可能な限り更新していく予定です。既に今年の合格者の方からもヘルプを申し出て頂いているので、とりあえずあと3年間は安泰の様子です。