Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.8 Future of Entertainment Conference

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今日はFuture of Entertainment Conference(以下FOE)について。FOEは私の所属するArts Media Entertainment Clubで毎年企画及び主催するコンファランスである。テレビ、映画、音楽に始まり、出版、広告、デジタル・メディア等も含めた幅広い意味での「エンターテイメント」にまつわる業界人を呼び、学生がExploreしたいトピックをパネルディスカッション、講演、或はセミナーという形式でプロデュースし、エンターテイメントの将来の行方を占う。

聞こえは格好良いが、実を言うとHBSやColumbia、UCLAのビジネススクールでも似た様な名前と趣旨のコンファランスを毎年やっている。さらに、他校でもそうであろうと思うが、Stanford GSBでは、Entertainment以外にも「コンファランス」というタイトルの付くイベントが、実は山ほどある。

Entrepreneurship、Healthcare、 Education、 Social Innovation等、興味のある学生が何人か集まるとすぐコンファランスになってしまうので、大体1ヶ月に1つ位 は何かのイベントが企画されている具合だ。こうなると「コンファランス」というコンセプト自体ある意味マンネリ化してくる訳で、参加者が本当に価値と意味を見出せるイベントにできるかどうかというところでプロデュースする側の企画力が問われる。

私はこのFOEの中で、"Future of Motion Picture"と称する1時間のパネルディスカッションを企画する役にたままたはまってしまった。実はそんな大役をこの忙しい冬学期の時期にボランティアするつもりなど全然なかったのだが、12月に行なわれたクラブメンバーでの企画ミーティングの場でふと、何故テーマがEntertainmentなのに映画に関するパネルが一つも企画されてないのかと質問したところ、ではあなたがそれをリードして下さいとあっさり任されてしまった。

私は特に映画業界についての知識も業界へのパイプも持ち合わせていないのだが、クラスメートみんな協力してくれるよと言われて話がまとまってしまい、結局5クラス20単位 の上に、パネル・トピックの議題作成からパネリストの招待と当日のお世話までを仕切る、イベントプランナーみたいな仕事をまかされることになった。

ちなみに最近しみじみ思うのだが、ビジネススクールには企画好きと行動好きの人間がうようよしているので、ちょっと面 白い話など出ると話がどんどん進んで行ってすぐやろうということになるので、アイデア話をする時は要注意である。

パネルの話に戻るが、パネリスト集め、これが実に大変だった。ナイーブな私は企画の初期段階ではスピルバーグとアイズナー(元ディズニーのCEO)でも呼ぶかなんて大口をたたいていたのだが、実際に招待状を準備する段階になると、参加者を招待するのがかなり至難の業であるということが判明した。現在業界で活躍中のエグゼクティブに、水曜日の午前中にハリウッドから飛行機で飛んでわざわざスタンフォードでの学生主催イベントに参加してもらうようお願いするというのはかなり気が引ける話である。

さらに非営利目的のイベントなので、パネリストには金銭的なお礼はTravel Expenseすら出す事ができない。それでも果敢に私はハリウッドのメジャー企業のエグゼクティブのメールアドレスを調べて招待状をメールで送ってみたが、やはり面 識もコネクションも無くして突然メールを打ってもレスポンスは芳しくない。多分メール自体が秘書か誰かにスクリーニングされているのだろう。

次に卒業生やクラスメートのつてを使い、何らかの形でスタンフォードとつながりのある人をターゲットにして、同じように招待状を送った。今度は割と高い率でレスポンスはあったが、スケジュールが合う人がなかなか見つからなく、結局ぎりぎりまで参加を承諾してくれる人は決まらなかった。また承諾して貰った人でも間近になると仕事の都合でキャンセルになるというケースが相次ぎ冷や汗をかいた。

最終的には、
1. Adam Fogelson, President of Marketing, NBC Universal Pictures
2. Eric Muhlheim, Senior VP of Strategy Planning, The Walt Disney Company
3. Thomas Trenker, Founder/Chairman, Institute of International Film Financing
というかなりHigh Caliberな3人のパネリストに加えて、moderatorには Dan Singer, Principal, Media Entertainment Practice, Micksey & Co. という、淙々たるラインナップが揃った。議題も彼らのバックグラウンドに合わせて、映像コンテンツのデジタル化によってのConsumerの嗜好の変化と映画産業の行方といった感じのトピックにした。

コンファランス当日は、学生30ドル、一般65ドルという法外な値段にも拘らず立ち見がでる程の盛況振りで、しかも嬉しいことに学生だけではなく、シリコンバレーの投資家やサンフランシスコのメディア企業のエグゼクティブなど、業界人の参加者も多く、パネリストに遠くからわざわざ来てもらっても恥ずかしくないイベントとなった。

私の企画したパネルでは、ハリウッド大企業のエグゼクティブであるFogelson氏とMuhleim氏とは対照的にインデペンデント・フィルムのサポーターであるTrenker氏とが繰り広げる、デジタルエイジにおいての映画のprofitabilityに関する熱い議論が繰り広げられた。

インデペンデント映画はヒット要素が計算されつくした大衆向けのメジャー・フィルムに比べて、投資としてはリスクが高すぎるという意見に対して、投資が回収できたケースを見ると、実はメジャー映画に比べてインデペンデント映画の方がバジェットに対する平均的な回収率は良いので、選りすぐればインデペンデントも立派な投資の対象になるという意見等。特にディズニーのストラテジー担当Senior VPで元経営コンサルタントのMuhlheim氏が説明する統計学に基づく映画のヒット論には会場全体が聞き入っていた。

パネルディスカッション終了後は関係者以外は退出してもらう筈だったが、パネリストが終るや否や壇上はあっという間に学生に取り囲まれてしまい、控え室に誘導もできない状態になった。アメリカでは日本みたいな公のルールに乗っ取った就職活動プロセスはないので、個人のネットワーキングが就職活動の全てである。

特にあまり一般公募していないエンターテイメント業界の仕事を目指している学生は、滅多に会えないハリウッドの業界人と直に話せるチャンスを逃すまいと必死になる。自己紹介をして握手をするとすぐさま履歴書を取り出して渡す。パネリストは嫌な顔一つせずに一人一人の話を聞き、私は採用担当でないが、履歴書は渡しておきますと対応している。

結局その後会場を出た後もパネリスト達は外で1時間程学生の相手をしていた。このやりとりを見ていると、MBAにとってネットバブル時期のベンチャーキャピタルなんかよりもハリウッドでの就職の方がよっぽど倍率が高いのではないかと思える。アメリアのメジャー輸出産業の一つであるハリウッドの経済パワーを目の当たりにした風景だった。

そろそろ2学期も終わり、来週から春休みに入る。来月のレポートは選択科目の様子をレポートしていこうと思う。それではまた来月。

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