Campus Report 2003

王 夏亮 to Columbia Business School, Columbia University(全22回)

MBAホルダーへの道

Vol.18 所感

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よく読書の秋と言われますが、なぜか秋ではなく、冬季に入ると、私は無性に本を読みたくなってきます。理由の一つはNYの冬が結構長く、しかも東京と比べものにならないほど寒いので、結局外にいけず、家にこもるしかないから、本を読むしかないという事情があります。

また、年を取ったせいなのか、昔先輩によく言われた「王君、本は読み足りていないよね」ということを思い出し、大学時代での不摂生を多少なりとも取り戻そうという衝動的な意欲があったのも事実です。

恐らく決定的だと思われるのはインターネットの発達です。私はかなりのチェック魔だと思います。何か分からないことがあると、無性に調べたくなってきます。性格なので仕方がありませんが、インターネットの発達のおかげで、以前はどうしてもあきらめるしかなかったことでも、今は簡単にネット上で調べられます。

その上に、中国語のウェブサイトに行くと、相当量の情報を得ることができます。ネットの発達と同時に、E-commerceも発達しているせいで、これはまだ簡単にAmazonで買本ができ、読みきれていない本が山積みになり、結局妻に睨まれる羽目になってしまいます。

いずれにせよ、去年の冬から僅か3ヶ月あまりで、私の蔵書はたくさん増えてしまいました。どうしようもない本もあったりしますが、いい本もたくさんあります。

例えば、つい最近読み終わった「大国の興亡」という本があります。エール大学のPaul Kennedy教授による力作ですが、出版されたタイミングがちょうどプラザ合意後であり、アメリカの衰退は素人の目にもはっきりと分かっていた時期でした。また、冷戦が終わっていたわけではなく、アメリカにとっては、地政学上でもイデオロギー上でも日本が重要なパートナーであった時期にもかかわらず、あちこち少しずつではありますが、ジャパンバッシングが起きていた時期でもあります。

ともかく、この本の中で最も重要なメッセージとは、一国の軍事力(覇権)が密接にその国の経済力とつながり、経済力の発達により、後進国が一躍先進国になりえますが、グローバルの覇権を保つために、過度な出費が結局その大国の経済力を弱め、衰退の道をたどっていきます。一見して非常にシンプルで、言い方が悪いのですが、小学生でも言えることですが、Paul教授が紀元後1500年以降の歴史を紐解き、膨大な歴史データを用い、そのシンプルなテーマをサポートしました。

振り返ってみると、歴史が常にそのまま繰り返されるわけではありませんが(もし、そうであれば、予想などが要らなくなり、私の生活はだいぶ楽になります)、歴史の常はやはり変らないと私は思います。そういった意味で、いずれアメリカ覇権の最後がくるかと思いますが、それが今かどうかは慎重に見極める必要があるかと思います。

また、Paul教授のもう一つの貢献は彼がこの本に当時の歴史をたくさん紐解いたことです。「大国の興亡」を読むことによって、我々、少なくとも私が後知恵的に物事を見るのではなく、当時の歴史コンテキストの中で(英語でいうと、put myself into their shoes)、当事者の立場に立ち、物事を再考することが出来ました。恐らく誰にもいえることだと思いますが、物事を違う視点で見ると、今まで想像すらつかないような新しい発見ができ、表面 的なものだけではなく、その底流にある真の意図や事実が分かります。

例えば、第一次世界大戦の発端がオーストリア・ハンガリー帝国の皇儲フェルデイナンド大公がサラエボでセルビア人の急激派青年によって暗殺されたことです。その後、各帝国が戦争に巻き込まれました。それは通 常の歴史教科書、少なくとも、私が教育を受けた教科書ではそうと書かれていました。勿論、それにあたる事実があったのは確かですが、よく考えてみると、当時欧州では、フランスを除き、王室の権力あるいは影響力はまだ絶大です。しかも、当時の欧州の王室は親戚 関係に当たり、お互いの君主となったりします。そのようなコンテキストの中で、簡単に帝国列強が世界勢力の争いで戦争を始めたと簡単に片付けられるかと私が疑問を抱きます。

また、第二次世界大戦前のドイツの暴挙は少なくとも一部当時の英仏政府の無能などに起因すると言われましたが、「大国の興亡」をよく読むと、当時の英仏政府が抱えているジレンマはよく分かります。特に、民衆の意向(気分ともいえるのでしょう)がどのぐらい恐ろしいパワーを持っているのかはよく分かりました。

話が逸れますが、民主主義の進歩というのはある意味では両刃の剣で、エントロピー増大を防ぎ、常にシステムの進化を促す一方、主観性を持つ主体が客観世界に影響を与え、システムをより複雑にし、不安定にさせる恐れが常にあります。Princeton大学のKent Calder教授が彼の著作の中で指摘したように、民主主義の確立と外交への一般 大衆の関与がことを複雑にし、より根本的な点を見逃してしまいます。皮肉的にも、それは今となって、情報伝達の発達によって、改善するどころか、一層悪化してきました。

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