ビジネススクールのプログラムが終了した。MBAという学位を得たわけだけれども、あらためてこの2年間を振り返ってみたい。
2年間は決して期待していたことの全てが現実になったわけではなく、夢がどこかに行ってしまったり、また見つかったり、大切にしていたもの、大切だと思っていたものはどんどんその価値を失ったり、手の中から逃げていってしまったりと、何かと失ったものも多かったが、やはり来てよかったと思う。ここでしか出会えない人々に会え、様々な世界を垣間見、様々なことに気づいた。
まず勉強。あれこれ他と比較をして、沢山文句も言ったけれど、まず期待していたもの、求めていたものが得られたと思う。ビジネスを様々な側面 から眺められるようになったし、またそれとは別に一番大きな図を描くには、どこと、どこと、どこを押さえればよいのかわかるようになった。これはビジネススクールのカリキュラムの成果 であるとともに、コンサルティング会社の面接のためにあきるほど繰り返したケースインタビューの練習の成果 によるところも大きい(実際の図が描けるかどうか、ということはまだまだこれから経験を積むことが必要なのだが)。
様々な学問をかじったわけであるけれど、どれも私には新鮮で面白かった。特にファイナンスのクラス、"Corporate Finance," "Equity Valuation,""Restructuring Firms and Markets,""New Venture Financing"はどのクラスも素晴らしい教授でレベルが高く、人生でもっともたくさん学んだような気になる授業であった。私のこれからの人生には多分必要な知識以上である気がするが、だんだん忘れて丁度良い分量 が残るのであろう。ファイナンス自体が好きなわけではないが、何かとお金とその回り具合、それとお金による価値判断で物事が明らかになることは多い気がするので、今までまったく知識のなかった私に丁度よかった。
他のクラスもどれもよかったが、中でも印象に残っているクラスが二つある。
まず最初に、"Competitive Strategy in Marketplace." このクラスはマーケティングとストラテジーのクラスの中間で、企業で言えば、ブランドマネージャーとブランドフィナンシャルマネージャーを兼務したような感じの仕事であろうか。自分のプロダクト、もしくはポートフォリオのマーケットを定義した上でそのプロダクトのSustainable Competitivenessを見つけ出し、戦略を定義していく、というもの。
目新しいフレームワークも、何もないのだが、今まで学んだストラテジー、マーケットリサーチ、ファイナンスの全ての知識をどのようにこの仕事に活用するか、ということを学んだ。今までばらばらだった知識が全て繋がる、という経験はこのクラスで一番強かった。
次にブランドプランニング。ブランドの魔力を改めて認識した。このクラスでは様々なブランディングの手法を実例を踏まえて学ぶとともに、実際のクライアントを持ち、ブランディングのコンサルティングを行う。学んだブランディング、分析から実際に建設していくところまでを実践していくのはとても、とても楽しい経験であった。
私たちのクライアントはHRコンサルティングファームで最初は本当につまらないイメージの会社だったのだが、私たちのブランディングを通 じて、本当に生き生きとしたイメージが出来てきたと思う。最初は気難しかったクライアントも大変気に入ってくれ、実際に私たちのブランディング戦略を行ってくださることになった。
賞品はおそろいのリストバンド
チームにも恵まれ、私たちも楽しんだが、クラスのコンクールでも2位 になり、賞品も頂いた。クライアントで苦労した分、本当に嬉しいことだった。 チームメンバーと。
このほかにも、プライシング、宿題をまともにやると、何日も考え込んでしまうことになるデシジョンモデルというエクセルモデリングのクラス、大嫌いだったシナリオアナリシスは、慣れるのに随分手間取ったけれど、どれもこれも私の中で糧になっていることと思う。いつか実際に出番が来るまで、私の中で眠っていることでしょう。忘れてしまう前に使ってあげなければ。