あっという間に2年目の学校が始まってしまいました。ダーラムにほぼ3ヶ月ぶりに帰って来た!と思った翌日にはMBA2年目のオリエンテーションがあり、また慌しい日々の始まりです。時差ぼけには強いほうなのですが、疲れがたまっているのかオリエンテーション中は眠くてしかたがありませんでした。
5月のテストが終わった日(木曜日)に2年生の送別会BBQを行い、帰宅後パッキング、そして翌日早朝5時に起きて空港へというハードスケジュールでした。月曜日からは医療機器会社のマーケティング部門でサマーインターンとして仕事開始です。朝9時に出社すると、私のスーパーバイザーとなるマーケティング部のマネージャーがお休みとのことで事業部長自らが私の担当する医療機器が対象とする疾患についての基本知識をレクチャーしてくださり、少し緊張しました。
その後、オフィスのフロアを端から端まで働いている方のほぼすべてを紹介してもらいましたが、年々記憶力の低下に悩まされているため名前を覚えるのにはかなり苦労しました。夏休みが明けて学校に戻ってきた時に名前を忘れてしまっていた同級生がいたくらいですから(笑) 。
その後は、その事業部が扱っている製品の基本知識および疾患についてのレクチャーを教育部門の人から受けました。これらの知識に対して医師と対等、もしくはそれ以上の知識を持つことを要求されるため、主に営業の人に向けてこういったレクチャーを行う専門部隊が存在するのです。難しい用語や英語の略語の嵐でこの先どうなることやらと思っていましたが、耳にしたことのある病名が起こる原因や仕組みを深く知ることができて、なるほどー!と思うと同時に健康の大事さを改めて思い直すきっかけにもなりました(全ての情報をここに記述することができないため、少しわかりづらい記事になっていることをご了承ください)。
プロジェクトのお題が書かれた用紙を渡され、用意してもらった席に腰掛けじっくりと読みながらどうやって情報を集め、分析し、成果 を出すかに考えをめぐらせました。お題は「秋に上市予定の新製品の昨年の市場規模、競合他社のシェア(数社は既に製品上市済み)、製品のサイズ別 シェア、そして新製品発売後の予想シェアの分析」というものです。
1年間も実際のビジネスの現場から離れていたため、サマーインターンとはいえ久しぶりの仕事、そして全く未知の業界ということで非常にワクワクしていました。その反面 、ビジネススクールの学生ということで当然期待される成果レベルも高いと思われ、絶対にそのレベルは達成しなくてはいけないというプレッシャーみたいなものは常に感じていました。
このサマーインターンの目標としては、
(1)与えられたプロジェクトで期待されている以上の成果を残すこと
(2)全ての部門の人にインタビューしてこの会社のビジネスの仕組みを理解すること
(3)他インターン生との交流
を掲げました。
最初の1週目でプロジェクトの進め方および必要となるデータを洗い出し、スーパーバイザーと別 のマネージャーに説明し、概ねOKをもらう。その際に医師(100名)へのWEBアンケートを実施したいとお願いしたところ快く了承してもらった。後で聞くとこのアンケートには結構な金額がかかることが分かり、インターンのプロジェクトにそこまでコミットしてくれる"本気さ"を感じ、気が引き締まりました。
さてこのサマーインターン中に最も印象に残ったイベントとして、「動物実験」があります。動物実験とは、新製品の性能を動物を実際に使って医師に確認してもらうという形で行われました。この実験のために、首都圏と東海地方から1名ずつ有名な医師が参加してくださりました。この実験施設の至る所に豚のぬ いぐるみが飾ってあり、所長が豚好き?など能天気なことを考えていたのですが、実験室で仰向けになっている豚を見て、納得・・・という感じでした。
実験は血管造影装置を用いて造影剤を豚の血管に流してX線で造影して、血管の様子を観察しながら行いました。X線を使用するため手術着(ドラマで手術中の医師が着ている服)の上に被爆防止の鉛入りエプロンも装着です。話は変わりますが、日本はこういったX線の扱いは割と厳格な規則によって隔離された部屋で行われていますが、アメリカで歯医者に行った時は診察台に座ったままレントゲンを撮られました。日本だと別 室での撮影ですよね。この様な違いを知ることができるのも海外生活の楽しみ?かもしれません。
この動物実験で2名の医師からの製品使用に関するフィードバックを受けると同時に、その医師達が現在どの製品を使っているか、そしてその理由、今後どういった性能の製品が欲しいか等の情報も仕入れます。どの病院も同じ機能の製品を何製品も置いている訳ではなく、せいぜい2製品を症状によって使い分けていることが多いので、このような経験豊富でしかも製品の選択決定権を持つ医師の意見は非常に参考になります。医師からの否定的なフィードバックを基に、R&D部門とどのように改善していくかのミーティングも実施し、実際に設計を変更する方向で話が進みました。
来月はインターンの後半についてのレポートをしたいと思います。