Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.13 インターンシップパート1終了

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慌しく10週間のインターンシップが終わった。最後の3週間位は鬼のような忙しさで平均睡眠時間が3時間を切る毎日だったが、気合と栄養剤でなんとか切り抜けた。私がインターンシップをやった銀行では、実務として与えられる仕事の他に、各々個人に与えられるファイナルプロジェクトというものがある。私にとってインターンシップの中で一番苦労させられたが同時に一番勉強にもなった経験であるので今回はその体験について触れてみたい。

ファイナルプロジェクトでは、我々インターン生は、想定するクライアントと、大雑把なテーマだけを指定され、後は自分の思うようにクライアントに対する提案書を作成し、実際にプレゼンテーションを行う。プレゼンテーション自体はクライアントが立ち会うわけではなく、社内のシニアバンカー達をクライアントと見立てて発表するのだが、もし提案の内容とプレゼン資料の造り込みの出来が良ければ、後で本当にクライアントへ持って行く可能性もあるので、単なるエクセサイズとして捉えるわけにもいかない。

提案内容の方向性からスコープまで全て個人の自由で決めて良い代わりに、情報収集から財務モデルの構築まで全て自分一人で作成しなければならない。プレゼンテーションの相手が実際のクライアントでないという以外は実際のバンカーの職務と何ら変わりなく、逆に全て一人でやらなければいけないという点では実際の仕事よりも大変である(普通 クライアント向けの提案書準備は3-6人程度のチームで行われる)。このファイナルプロジェクトで出す結果 が、実務的な仕事での私のパフォーマンスと同等かそれ以上の評価の対象となるので、フルタイム採用のオファー(内定)がこれに掛かっているといっても過言ではない。

今回私に出された課題とは、某大手日系IT企業の、米国における事業戦略という本当に大雑把なものだった。クライアントの置かれている状況や業界における位 置付け等は自分で調べ、それに対しての提案書を提出。M&A、資本提携、事業拡大から事業売却及び撤退まで何を提案するのは自由、正し業界の動向や現在の状況を踏まえてその提案を実行するのが最適なオプションであるという説明がしっかりできていなければ、例え分析内容が素晴らしくても評価はゼロ。

課題を渡された時私はまだインターン暦1ヶ月で、企業の問題に対して投資銀行として提供できる付加価値すら良く把握していなく、提案内容の方向性についてかなり悩まされた。戦略立案ならコンサルティングがやるべきではないのかしら等と訝りながらとりあえず仕事の合間に一般 的な論理的戦略思考を描いたプレゼンをまとめ、周りの先輩バンカーに見せてみると、何故その案なのか、何故今やらなければならないのか、そもそもそのようなことをする必要があるのか、といった点で全然考え抜いていない、とあっさり論破されてしまい、また一からロジックを練り直し、プレゼン資料を作成し直すという作業を3回ほど繰り返した。

私は個人的に、クライアントがこういう問題があるので、それを解決して下さいと具体的に言ってきていない状態で何かを自分から提案するということにかなり抵抗があったが、毎日業界レポートや競合他社の事業報告書などを読んでいくうちに、段々とそのクライアントの企業価値を向上させる為には何が必要なのかという方向性が頭に思い浮かんでくる。時間に余裕があれば考えれば考えるほど良いものが出来上がるのだが、やはり実務の仕事と兼務でやっているとファイナルプロジェクトの為だけに費やせる時間がなかなか取れず、ずるずると引き延ばして最後の3週間は本当に寝る間を削る羽目になった。

毎日実務担当の仕事が終わった後、夜の11時頃から明け方の4時頃までファイナルプロジェクトをやり、家に帰って数時間寝てまた9時に出社をするというハードなスケジュールが何日も続いた。プレゼンの流れを決めた後も、情報収集、提案の流れから最終的な詳細の財務分析まで、数字やグラフ、言葉まで全部自分で作成するのはファイナンスの経験と知識が浅い私には非常に時間のかかる作業になってしまう。しかしそうやって納得行くまで練り続けたお陰で、内容的には最終的にはかなり考え抜いたものになった。

実際のプレゼンテーションだが、熟練者のシニアバンカー20人近くが虎視眈々と見つめる中、一応頑張って胸を張って喋ったものの、やはり質疑応答では、考えが及ばなかった部分やファイナンス的に理解が足りない部分を突っ込まれ、たじたじとなった。毎年恒例の行事なので、バンカー達もかなり厳しい質問を浴びせ、こちらの対応を見ているようだ。

私は先輩にどんなことがあってもひるむ様子を見せては駄目だという忠告を受けていたので何を突っ込まれても飄々としていたが、あるディレクターに、その買収案件の本来の価値というものは君は何通 りもの手法で分析しているが、現実的に値段の交渉が始まったら一体いくら位 まで払うのが妥当と思うか、値段を言ってくれと言われ、さすがに答えきれなくなってしまった。

いろいろな見方を考慮する為何通りもの方法でバリュエーションをしていたのだが、それぞれ違った数値が出る中、果 たしてどれが一番適切な数値かということは自分の中では決めていなかった。咄嗟に自分が一番よく知っている手法で出た数値をメインの結果 として通そうとしたが、ここぞとばかりにその手法の弱みなどを突っ込まれ、たちまち私は分が悪くなった。

もともとそうやって撃沈するまで突っ込むのがインターン洗礼の儀式らしいのだが、前職でも社内マネージメントに対するプレゼン等は相当な回数をこなした私は、新しい業種とは言え自分の経験不足を感じた。しかし逆に言うとそれだけこのファイナルプロジェクトは貴重な経験だったと思う。プレゼンテーション後のQ&Aでの攻防も含め、最初から最後まで一つのアイデアを考え抜いて自分でディフェンドするという経験は非常に勉強になったし、MBAで学んだスキルをアプライする総集編としては自分の能力を測る良い機会になったと思う。

私は来週からまた新たな会社でインターンシップを始めるのだが、一つ目のインターンを終えた時点でこれまでのMBAで取得したスキルと経験を振り返ってみると、やはり自分でも成長した部分は大きかったと思う。私は今回前職での経験を直には生かしきれない新しい業種に挑戦したわけだが、この経験で自分なりの成果 を出せたのは、MBAで身に着けたスキル及び考え方が大きかったように思う。10週間という短い間で新しい分野を理解し自分の付加価値を出す為には、実務的なファイナンスの知識もヘルプになるが、一番MBAの経験からプラスになっているのは短期的学習能力と、物事の全体像を掴むマクロ的な視野ではないかと思う。

それと、これは実はプラスになっているのかマイナスになっているのか分からないが、MBA経験者は仕事の「意義」や「やりがい」を追求するという上でとにかく仕事熱心になるという傾向があるが、私もこの夏3時間睡眠が苦にならずにインターンシップを楽しめたのには一重にMBAで培われたこの「仕事マニア」的な思考回路と集中力があったお陰だと思う。もっとも今後これが逆に仇となって本当にWorkaholic(仕事中毒)にならないよう仕事とプライベートのバランスにも気をつけなければならないのだが...

来週からは大手企業を相手にしたグローバル投資銀行からは180℃転換して、スタンフォードから20分程北にあるサンマテオという町にある小さなインターネット企業でマーケティング関連のインターンシップをする。ウェブサイト上の消費者のクリックによる行動パターンや心理的な特性を分析し、ネット販売における売上の向上につなげるウェブアナリティクスというツールを開発している会社である。スーツとネクタイ着用のコーポレートワールドからT-シャツとジーンズで商談が成立するシリコンバレーへの転身で私の仕事に対する価値観がどう変化するのか、自分でも検討がつかないゆえに楽しみである。

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