Campus Report 2004

岩瀬 大輔 to Harvard Business School(全16回)

MBAホルダーへの道

Vol.11 始まってみれば

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不思議なもので、東京を離れるときは、あの雑で大味のアメリカでもう一年過ごすのもかったるいなぁ、日本は美味しかったなぁ、そうちょっとホームシックになっていたりもしたのだが、いざ晩夏のボストンに降り立ち、広がる青い空と緑に包まれた街並みを目の当たりにすると、ここであと一年生活できるのも贅沢なもんだ、そう気持ちもすっかり学生生活に戻ってしまう。

長い夏休み明けというのは、非日常的なバケーション生活から退屈な日常に「戻る」と感じるのが普通 だが、今回は1年弱の「ハーバードMBAのケース漬け生活」という非日常的な生活から、サマーインターンにて久々の職場復帰を果 たし、さらに帰国して東京で友人らとグルメ漬け+夜遊び生活を送ったので、夏休み明けのボストンは日常生活からまるで夢のなかの非日常へ逆戻りするような、そういった感覚を覚える。

(なお、この「非日常的・非現実的な生活への逆戻り」という感覚は、ヘッジファンドというおよそMBAとは無縁の職場(極めて偏重したスキルが要求されるため、MBA的な総合力は必要とされない)で夏を過ごしたことも、この「MBA=非日常」という感覚に拍車をかけているのかも知れない。「正直言って、MBAがあろうがなかろうが我々は関係ないんだよね」。そこまで言い切られると、つらいものがあるが、業務の性質上、同感せざるを得ない。)

振り返れば、去年期待と興奮を胸に始まった留学生活も、あっという間に残すところ9ヶ月弱となり、この日記をつけていなければいかに瞬く間に過ぎ去ってしまっていたことだろうか、想像するだけで怖い。夏の間も感じたことだが、注意深く問題意識を持って毎日を過ごさなければ、いかに時間だけが過ぎていくことか。残された時間を有意義に過ごすためにも、きっちり書き続けていきたいと考えている。

夏から秋に差し掛かるこの季節は、春先と並んでもっともボストンが美しい季節だ。青く広がる空と差し込む光、木々の緑と建物の煉瓦色、その色合いと過ごしやすい空気が、この都市で学生生活を送れることの有り難味をよりいっそう感じさせてくれる。

すべてが必修科目であった1年次とは異なり、今年は自分が特に興味を持っているコースを選べる。時間割も去年と比べてゆったりとしているので、余裕を持って自分の専門性を深めることができるようになっている。

今学期取っているコースは、以下の通り:

■ X-スケジュール (月・火・水*)
8:30-9:50 Entrepreneurial Finance
10:05-11:25 International Financial Management

■ Y-スケジュール (水*・木・金)
10:05-11:25 Creating Value Through Corporate Restructuring
11:40-1:00 Entreprenuership and Global Capitalism
1:30-2:50 Tax Factors in Business Decisions

* 水曜の授業はそれぞれ隔週

一見すると、ファイナンス系が多いようにも見えるが、自分としては「ファイナンス」「グローバル」「アントレプレナーシップ」の3つのキーワードを軸に、興味がありかつ評判がよい授業を、割とバランスよく取ることができたと満足している。他にも面 白そうな授業は山ほどあったし、ストレッチすれば6科目まで追加授業料なしで取ることはできたのだが、去年はとにかく時間が足りなく消化不良の感が常にあったので、今年はある程度フォーカスして一つ一つをきっちり深めていければと考えている。

Xスケジュールの1つめ、HBSアントレプレナーシップの看板教授でもあるSahlman教授の Entrepreneurial Finance。人気でいえば3本の指に入るコースだ。ファイナンスと名前はついているが、実際は1年目のアントレプレナーシップの授業の続編のような形で、いくつものベンチャー企業について比較的アーリーステージの段階でのケースとビジネスプランを読み、将来性を評価し、タームシートを読み込みながら投資ストラクチャーを検討していくというもの。実際のケース当事者もすでに何名も教室に来てくれており、アントレプレナー精神をくすぐられる。

2つめは、若手教授のなかでも圧倒的な人気を誇るDesai教授によるInternational Financial Management。1年目に学んだファイナンスの諸理論をベースに、複数の国で事業を営む多国籍企業が直面 する様々な実践的な問題に取り組んでいくもので、為替の議論から始まり、クロスボーダーのM&Aや途上国への投資、国際的な資金調達などについて取り扱う。スムーズな語りからは噂に違わぬ センスのよさが伺えて、今後が楽しみ。

YスケジュールのCreating Value Through Corporate Restructuring (CVCR)は、PE志望者にとっては必須、事業再生のコース。米国のチャプター11案件を次から次へと見ていく。モデル回してバリュエーションやったり、タームシートを読み込んで議論したり。リップルウッドではシーガイア以降、ディストレスのイメージが着くのを嫌って、倒産案件には手を出さないことにしていたので、僕自身はこの点の案件にはかかわったことがなかったのだが、上手にやればかなり高いリターンが出せそう。この点、以前から「どうやって倒産した企業の再建可能性を見極められるのか?」と疑問に思っていたのだが、先日お伺いしたMKSのパートナーの方が、それは(1)強いブランドが存在すること、(2)基盤となる事業(ディストレスでない部分)の売上がある程度あること、だそうだ。なるほど。

Entreprenuership and Global Capitalismは、世界経済がグローバル化していく様を、各時代のアントレプレナーに光を当ててみていくというもの。去年の夏にやったModern Capitalismのコースと同じ系統である歴史モノなのだが、これまで取り扱ったケースもスコットランド人が香港で阿片貿易をやっているケースや、スウェーデンのミシン会社、スイスのローレックスなど、19世紀後半から20世紀初頭にかけて反映した様々なグローバルビジネスを見ることができてとても面 白い。個人的には、このような歴史観や時代を超えたアントレプレナーシップやビジネスの本質を理解することはとても重要だと思っており、意欲的に学ぼうとしている。

Tax Factors in Business Decisionsはビジネスにかかわる税法を学んでいくコース。「人生において唯一確実なのは(「逃れられないのは」だっけ)死と税」というコトバではないが、これから一生つきあっていくことになる税金(授業では「(あなたの稼ぎを一生を通 じて共有していく)your business partner」という言い方をしていた)のことを、アメリカ税法についてだが、この辺で時間を使って学んでおくのは有意義に違いないという考えのもとで、とった。アメリカ特有の事柄が少なくない、との指摘もあったのだが、本質においてはどの国もさほど変わらないはずでは?これまでは、こちらの判例を次から次へと読んで議論しており、元法学部生としての血が騒がずにはいられない。といっても、さすがはHBS、実際には長い判例を、数ページのHBSケースにまとめてくれているので、とっても要領がよかったりするのだ。「公共の福祉」とか「諸般 の事情を総合的の考慮し」とか言っていると、懐かしい大学時代が思い出される。

ところで、昨日は1年目の成績優秀者が発表された。First-Year Honorsといって、1年目の成績の4割以上がカテゴリーI(要するにABCのA評価)を取った学生に対する表彰で、学年の上位 15~20%にあたる150名近くがリストに名を連ねた。スタディグループで一緒のDanielと一緒に名前が入ってたけれど、なかには「うん、さすがあいつだ」という人間から、「え?あの人そうだったの?」という人まで、リストを眺めていると色々と発見があって楽しかったりもする。

そして、2年間を通じてカテゴリーIが7割以上、上位5%に対して与えられるのがよりpresigiousなタイトルであるBaker Scholar(ベイカー・スカラー)。要するに、最優等賞。ボクは1年目のガリ勉と、大人げない挙手と発言しまくりの甲斐あって、1年目を折り返してカテゴリーIが11科目中9個、単位 ベースで8割弱。うーん、十分射程圏内。日本人はこれまでBCGの堀さん、御立さん、あとマッキンゼーの名和さんしかいないそうなので、取れたら彼らの仲間入りができて嬉しいなぁ。もっとも、一度狙ってしまうと、2年目といえど最後まで集中してケースを読んで発言し続けなければならない、そんな道にずるずるはまっていってしまうのが長く辛いベイカーへの道なのだが、今年はバランスよく、よく学び、よくブログを書き、よく遊んで、お土産代わりに優等賞取って、職場復帰したいものだ。2年目の抱負と致します。

そんなわけで始まってしまった2年目、あと正味8ヶ月弱かと思うと、勉強にも身が入るというものだ。今年も昨年に負けず、実り多い1年間とできたらと考えている。

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