Campus Report 2004

相野 勇雄 to Hitotsubashi University Graduate School of International Corporate Strategy(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.14 夏学期-期末のグループ・プレゼンテーション3連発

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夏学期の終盤は、プレゼンテーションの準備に終われる毎日でした。学期修了から少し時間が経ってしまったので、日記をベースに、後日修正・加筆したものをキャンパスレポートとして出してみたいと思います。

【特別講義(戦略的経営者論)】
6/1 (水) ミスミの役員の講演 (とケーススタディの限界??)

(株)ミスミグループ本社の取締役である江口さんにプレゼンをして頂く。この授業では三枝社長による授業に加えて、ミスミの役員の方が講師団として編成され、それまでの仕事について語ってくれる。三枝さんの3冊の著書をベースにした「熱き心を持った集団」と「クールな戦略」についての組み立て方など、戦略とそこで働く人々を動かす独特の経営理論(経営哲学?) についての講義には迫力がある。

一方で、役員クラスの講師はミスミの事業について実際に起きたことをそのまま語ってくれるので、リアリティーという面 からまた別の迫力を強く感じる。もっとも、期末の課題として、三枝さんの講義してくれた経営理論を使って「ミスミの経営戦略への提言」を要求されている現状を考えると、聞く姿勢にも身が入ってしまうもの自然なことかもしれない。

その課題を念頭に置いて授業に聞き入っていると困ったことがあることに気付く。それは、ミスミの事業について何か新しい提言をしなければいけないのに、戦略のアラが見えず、既に何もかもがうまく組み立てられているように聞こえてしまうことだ。もちろん、自分達の思考が足りてないと言うのも一因かもしれない。ただ、それ以上に大きいのではないかと感じられるは、外部に公表されている資料をベースに提案を作るというケーススタディの限界なのかもしれない。

自分達のグループはミスミの中国進出に際して、どのように現地で部品を調達するかについてのポイントに絞ってプレゼンをすることにしている。だけど、グループワークで中国進出のプランを煮詰める過程で、"コレでいいかどうかは、実際に顧客に聞いてみないと分からないなぁ...。"とか、"(商品カタログを見ていて)現物を見てみないと、何とも言えないなぁ"という言葉が何回も聞いている。それで、毎回の講演後に社員の方に中国進出の進行状況を聞きにいくと"実はさ、..."なんて話が良く出てくる。それで、自分達が前提としていた条件が変わって、提案する内容が2転、3転するというのがいつものパターンだ。

実際にミスミの中国進出の際に現地でサプライヤーを技術供与によって育成し、そこから調達するという案を自分達は思い描いていた。ただ、今日江口さんから聞いた話では既にミスミはその案を過去に検討済みで、実際に進めていたものの、うまく行かなくて、日本のサプライヤーを中国に連れて行くという方向に切り替えたというではないか(もっとも、どうして中国の現地サプライヤーからの調達案がダメになったのかは聞けなかった。。) 。

詳細は忘れてしまったが、別の講師である高家さんに質問した時にも、新しい内部情報を教えてもらって、同じように提案の方向性がガラリと変わったことも考えると、やはり企業を外部情報だけから社員を唸らせるのは難しい気がしてしまう。もっとも、企業内で働いているともっと細かい情報を入手できる分だけ、収集の手間と、より多くの情報を処理する別 の難しさが加わるのだろうけど...。

7/6(水)  特別講義(戦略的経営者論)のプレゼン当日

今日は、ミスミ本社でプレゼンの日。昨日の晩も23時近くまで学校でグループワークをしていたのに、今日も朝の9:30集合。昨夜、皆で意見を出し合った修正案がPowerPointにちゃんと反省されているかどうかを確認してから、商学研究科の事務室へ行き空き教室の鍵を借りに行く。実際にプロジェクターを使いながら、プレゼンテーションの練習をするためだ。昨日は技術戦略/日立製作所の工場見学の後、先生と一緒に呑みに行き、更に今日のプレゼンのためにグループワークで終電近くまで学校にいたはずなのに、不思議に疲れを感じなかった。緊張感のせいだったのだろうか。

プレゼンはミスミ本社で、役員と各部門のリーダー50人ぐらい(?)を前に行なった。正直なところ、それだけの数のテーマ対象企業の社員の方を前にプレゼンをするのは、貴重な機会であることを認識する一方、かなりの緊張感だった。プレゼン後のQ&Aも含め、チームを代表していろいろ喋ったはずなのに、その時のことは既に殆ど思い出せないのが何よりの証拠だ。

プレゼン後は、そのまま社員との懇親会になった。嬉しかったのは、役員の方(江口さんと高家さん?)がプレゼンの詳細まで覚えていてくれていて、コメントをくれたことだろうか。中国での競争相手の進出状況についてだったと思うが、自分達のプレゼンをかなり聞いていないと聞き落としてしまいそうな小さなポイントだけに、よく聞いてくれていたんだなぁというのがわかって嬉しかったのを覚えている。

追記...後日、全6チームの中から2チームほどが選ばれ、取締役会で再度プレゼンを行いました。また、その他のチームにも参加して頂いた社員の方一人ひとりから、後日簡単なフィードバックを頂きました。このプレゼンの機会の他にも、先生と一緒に教室でワイン片手に懇親会を行なったり、株主総会にオブザーバーとして参加させていただいたりと盛りだくさんの授業だったと思います。

[技術戦略]
7/5(火) 日立の研究所見学

日立製作所(株) 中央研究所見学に行ってきた。期末の最終プレゼンテーションのテーマである、開発中の技術、音声合成と、センサネットについて、直接説明を聞かせてもらうためだ。

研究所は学校から30分ぐらいの距離にある国分寺にある。純粋な研究開発の拠点だが約900もの人員がいるという場所だ。かつて勤めていた会社の最大の事業所が研究開発だけでなく、製造も含めてその人員数にも満たないぐらいだったので自分には想像できないぐらい大きな研究開発拠点ということになる。しかも、日立製作所には本日訪問した中央研究所を含め、基礎研究所、システム研究所等が大きな研究所が全部で6っ箇所もあるらしい。

ビックリしたのはその事業所の規模だけではない。時間軸についてもそうだ。10-20年先を見据えた長期的な研究を行なうのだそうだ(実際に本日説明をしてくださった方は、同じ技術の開発に20年以上携わっているとか。しかもその技術はまだ本格的に商用化されていない...。)。確かに現在の日立の原子力事業等の礎を築いてきた研究所だから、日立にとっては重要な拠点なのだろう。

しかし、そんなに長い期間研究を続けて、果たしてペイするのだろうかと不思議に思う。総合電機メーカーが昔日の勢いを失っている現在、基礎研究を行ない続けることはかなりの負担になっているに違いない。その性質からして基礎研究を行ない続ける価値は、短期的な視野で判断するべきでないのは分かってはいるつもりだ。だとしても、この規模の基礎研究を続けることが果 たして企業価値を向上させるのに貢献しているのかどうかという疑問は強く残る。

この研究所見学の感想が課題として出ているが、かなり研究所という存在に冷たくあたった文章になってしまうに違いなだろう(※後日、基礎研究の存続の意義について疑問を投げかけた辛辣な感想文を書いたのですが、それが日立の研究所へと転送されるこになっていたことを知り、冷汗をかくことになりました。先生は、それほど気にする必要なないとおっしゃっていましたが...。) 。

7/16(土) 週末のグループワーク

やはり、予想通りと言うべきかプレゼン直前の週末にグループワークを入れることになってしまった。週末にグループワークというのは、自分は嫌いではない。ただ、日立の人に紹介してもらった技術がうまく世に出て行けるような戦略を、しかもこの技術戦略の授業で習ったコンセプトを使って立てるというのはかなり苦しい。"ドミナント・デザイン""破壊的技術""経路依存性"等、いろんな概念を使おうと考えるが、どれもボツになっていく。直前の週末まで食い込んだグループワークがその産みの苦しみを象徴している気がする。

7/19(火) 技術戦略/プレゼン当日

当日のプレゼンは、1年生の方(といっても、自分より年上だが...)にお願いする事になった。やはり、営業を経験されてこのコースに来ているだけあって、随分舞台慣れしているなぁという印象だった。おかげで自分達が苦し紛れに作った内容が、それなりに自分には聞こえた。

内容は音声合成技術のアーキテクチャの組み換えを自らが積極的に行うことによって技術と顧客ニーズを蓄積して、他社との差別 化を図ろうというものである。具体的には、現在クローズド・インテグラルで行われている音声合成の技術を、一度文字認識、文脈認識、音声再生などの機能別 にモジュール化を行って、他社製品のパーツも利用できるようにしたうえで、自社製品のパーツと他社製品のパーツのインテグレーションのコンサルティングを日立が請け負って顧客ニーズを蓄積する。その上で、蓄積された顧客のニーズ情報をベースに製品開発を行なって再度クローズドモジュールの製品をリリースして、モジュールの一部しか作らなくなった他社をマーケットから排除することによって一気に市場を握るという戦略であった。

ただ、先生からは技術戦略の用語を表面的に使っているだけで、本質を突いていないと厳しいご指摘を受けることになった。課題の対象となった技術と授業の中触れたコンセプトを使うという厳しい制約条件の中、必死に捻り出した案で、ロジックとしては苦しい部分があるのは自分でも分かっていただけに余計に苦々しかった。 ただ、この授業を通して自分達のプレゼンのベースとなった"モジュール化"をはじめ、新しい考え方/コンセプトに触れることがでたし、個人的には興味を持って勉強できたから授業としては良しとしよう (仕事でこの程度だったら、マズイが...)。

【人材マネジメント】
7/21(木) GE人事担当者インタビュー

ようやく40分程度の時間をもらって、お話を聞くことができた。幸か不幸か、最終プレゼンテーションの対象企業と、期末のゲストスピーカーで来ていただいた企業が重なったので、企業にインタビューに行く手間は省けたかもしれない。ここまでは、他のチームの進行状況を聞いていると若干遅れ気味だったと思うが、少しは挽回できたかもしれない。インタビュー自体は、事前に下調べをしてから質問を絞り込んだ上に、聞く順番まで決めておいたので、スムーズに進められた気がする。

ただ、ゲストスピーカーが当該企業の人事制度全般について既に喋ってしまっていて、この授業に出席している人はGEの人事一般 の話は分かっているはずだ。来週、興味を持って聞いてもらうためには、この会社の特徴の一つであるM&Aというイベント前後の人事政策というポイントにどれだけ焦点を絞ってプレゼンを作れるかどうかがポイントになるに違いない。そのベースとなる質問の絞り込みがうまくいっているといいのだが。実際にはグループワークで話の流れをもう一度整理してみないと分からないと、質問事項のモレが確認できないのが難点だ。。

7/28(木) 人材マネジメント/プレゼン当日(夏学期最終日)

今日、なんとかプレゼンが終わって、当該授業の打ち上げまで参加して帰ってきた。徹夜は慣れっこになっているものの、さすがに学校に泊まって朝方までグループワークを続けたのは初経験だったので、いつもとは何だかカラダの疲れ方が違う気がする。(学校の中の)MBAルームの床で仮眠したのがマズかったのだろうか...。それでも救われたのは、自分が予想していたより先生の反応が良かったこと。

人材マネジメントの中でもM&Aという特定のイベントに絞って、それなりに調査・分析が行なえていたことが評価された理由のような気がする。GEは成長戦略の中に明確にM&Aが組み込まれて、人材マネジメントは財務的成功のための一手段という位 置付けでしかないとしても、Post M&Aのための組織文化のインテグレーションまでのプロセスがしっかりとできているところはさすがだと思った。と、同時にコンサルティングファームや投資銀行からM&Aに対する知識があり、且つ給料が多少下がってもM&A後のフォローに興味のある人材を調達してきてM&AとPost M&Aのためのインテグレーションマネージャーとして採用したりと、人材面 でもM&Aに対する準備態勢はかなりきれいに整えられていると思った。

もっとも、一般の事業会社がそういった人材を調達して、かつ常時そのような専属のチームを保持し続けられるかという点を考えると、真似をしようとしてもそれができる企業は限られるのではないかと思った。つまり、GEのようにM&Aをかなり積極的に行なっている会社でないとM&Aだけのための人材を常に置いておくことの費用対効果 が悪いし、そもそも自分が在籍していたような中堅どころの会社ではコンサルティングファームや投資銀行からM&Aに対する知識のある人材を採用できるかどうかにも疑問が残る。

加えて、多くのM&Aの成功の秘訣としてGE Valueという会社文化の浸透が挙げられるのだろうが、Performanceよりも会社の持つValueに則した行動を重視するということを明確に打ち出している会社も珍しい。それ以前に会社としての統一のValueを明確に人事評価の軸に加えようという姿勢のない会社が世の中の大半ではないかと思う。

結局何が言いたかったかといえば、M&AにおけるGE流の対処は素晴らしいところも多数あると感じたが、同時にそれはGEだからなしえる点も多くあるということ。つまり、自分がかつて所属した会社などから想像するには世の中の大半の企業には真似をするため準備をするのにすらかなりの手間と困難を伴いそうだということ。だからこそ、それがGEの強みになっているんだろうけど...。

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