Campus Report 2005

能村 康弘 to Samuel Curtis Johnson Graduate School of Management, Cornell University(全15回)

MBAホルダーへの道

Vol.2 学校が始まった

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8月8日、ついに学校が始まった。といっても本格的にコアカリキュラムが始まるのは2週間後から。はじめの2週間はJohnson School of Managementでの心構えやスピーチ、Johnsonカルチャーの共有など、オリエンテーション的な位 置づけのカリキュラムが中心だ。今回はこの2週間のオリエンテーションの中で、特にJohnson School of Management固有のカルチャーに基づいたカリキュラムについて紹介していきたいと思う。

Johnson School of Managementはリーダーシップの教育に重きを置いた学校だと言われている。受験の際には、過去のリーダーシップ経験、チームワーキング経験などが事細かに評価される。2週間のオリエンテーションでは、まさにこのリーダーシップに対する考え方の体得・実践を目的とした授業・課外活動が組まれていた。

カルチャー、宗教、性別、人種など、多様性に富んだグループにおけるメンバーの巻き込みの失敗がどのようにして起こり、結果 として個々人の能力を削ぎメンバー間の不和が起こるかに関するメカニズムを、具体例を交えながら詳しく説明する"Managing Inclusion"という授業が8月9日にあった。

この授業では非常に興味深い実験が紹介された。青い目をした子供5名、茶色い目をした子供5名をクラスに集め、初日に「青い目をした人の方がより知能指数が高い」という研究結果 を報告した後にテストを行う。そして次の日には、反対に「茶色い目をした人の方がより知能指数が高い」という結果 を同じ子供たちに報告し、同様に子供たちにテストを受けさせるという実験だ。

初日、茶色い目の子供に比べ約1.5倍のパフォーマンスを発揮した青い目の子供達は二日目、茶色い目の子供達の半分以下のパフォーマンスになってしまう。また、初日は固い結束で結ばれていた青い目の子供たちは、二日目、茶色い目の子供たちから離れるようにグループをなし、グループ内不和を起こし始める。このような具体例を通 じて、グループ内での無関心、謙遜、敵意、隔離など、一般的にありがちな行動が如何に個々人の能力、ひいてはチーム全体の能力低下をもたらすかについて理解を深めるとともに、チームを取りまとめるリーダーが避けるべき行動について学んでいく。

8月16日、17日の2日間をかけて、The JGSM Leadership Simulationというシミュレーションが行われた。このシミュレーションでは、その場でアサインされたチームの中で、ファイナンス役員担当、セールス役員担当、マーケティング役員担当、オペレーション役員担当、R&D役員担当に割り振られる。そして、5チームが参加した仮想市場の中で自社製品の方向性を決め、市場へ商品を導入するシミュレーションを行うのだ。

このコースでは2日の間に商品生産計画、営業スタッフ雇用計画、マーケティング計画、R&D投資計画及びファイナンス計画立案を行う作業を計6回行う。参加者は、非常に限られた時間の中でチームの方向性を決め、役割を瞬時に果 たすのは非常に難しいという現状にさらされることとなる。

たとえばこんな状況だ。マーケティング担当役員だった僕は、革新的な商品導入により市場におけるシェアを拡大したいと考えた。R&D担当役員と話をして革新的な商品を生み出す投資依頼をする。ところがその間にオペレーション担当役員は旧来の商品の大量 生産計画立案をしてしまっており、セールス担当役員はその計画に応じて営業スタッフの増員計画を立案している一方で、ファイナンス担当役員は資金が足りないと叫んでいる。方向性が決まらないまま終了時間も迫ってくる。結局セールス、マーケティング、オペレーション、R&D均等にコスト削減を行って1回目のゲームが終了。

結果を見ると案の定、市場におけるシェアが非常に低い。2回目は、各自が自部門を中心とした成長戦略論を主張し出し、意見がますます纏まらない。足並みがそろわないまま2回目が終了。結果 を見て愕然。市場シェア率5%。今度はグループ内で誰の投資が間違っていたかという個人攻撃が始まる。そんなフラストレーションの溜まるチーム作業が進んでいく。この授業の目的は市場シェア率を上げることではない。市場シェアをあげるというために、リーダーシップを発揮してチーム作業を実践することが目的なのだ。

作業中に、各自が全チームメンバーに対してフィードバックを行う機会が与えられる。良い点に加え、悪い点についてもオープンに話し、フィードバックすることが求められる。シミュレーション終了後には、チームリーダーによるフィードバックの重要性及びフィードバックの生かし方に力点が置かれた講義が提供された。

オリエンテーションは、J.O.E(Johnson Outdoor Experience)というイベントで締めくくられる。このJ.O.Eは、新入生250名のうち9割以上が参加する1泊2日のキャンプで、集合地と解散地以外何も知らされない秘密のカリキュラムだ。朝8:15、Johnson School of Management前でバスに乗り込み揺られること1時間、Cayoga Lakeの湖岸にある美しい緑に囲まれたCasowascoキャンプ場に到着した。ここがJ.O.Eが開催される場所である。

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このJ.O.Eではファカルティと2年生が中心となって、Johnson式リーダーシップの実践を目的としたアクティビティを設計する。1年生は2年生の指導の下、アクティビティを通 してJohnsonのリーダーシップ思想を体現化していく。

たとえば、チームで1名を持ち上げすばやく安全に360度回転させるにはどのようにすればよいのか、目隠しさせられた僕らがロープで正方形を作るにはどのようにすればよいのか等、一見単純だがチームで実践してみると意外と難しいタスクが割り当てられる。自己主張が強い欧米人が共通 の意見を持ち、皆で同じ方向へ動くことがいかに難しいか、瞬時に実感できる。持ち上げた人を半時計周りに回すのか時計回りでまわすのかといった単純なことについて5分以上もディスカッションしたり、正方形を作るためにロープを結ぶのか結ばないのかについて目隠しをしたまま10分以上もディスカッションし、中には激怒するアメリカ人が現れたり。そんな経験を通 してインターナショナルな環境でのリーダーシップのあり方を学んでいくのだ。

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夜になると今度はまた新たなチームにアサインされる。今度は1時間準備した即席のチームプレゼンテーションをする。お題は自由。我々のチームはアメリカのTV番組を真似たトークショーを実施。終了後、2年生から発表の良かった点、悪かった点についてフィードバックが与えられるとともに、チームリーダーとしてどのように纏めればチーム発表の質が最大化できたかに関して議論が取り交わされる。

2日目は今までの集中カリキュラムの締めくくりとして、皆同じJohnson School of ManagementのTシャツを着て記念写真。そして帰路へ。

このようにJohnsonでは単純なシミュレーションや講義を通じてではあるが、ビジネスリーダーとして必要なリーダーシップのあり方とチームワークについてみっちりと刷り込みが行われていく。

さて、来週から本格的なコアカリキュラム、Accounting、Microeconomics、Marketingが始まる。次回はこれら講義の特徴と、特筆すべきJohnson School of Managementの特徴についてご報告していきたい。

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