Campus Report 2005

小林 大祐 to The Kellogg School of Management, Northwestern University(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.4 秋学期始まる

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<必須科目について>

ケロッグでは、1年をFall, Winter, Springの3つの学期(Term)に分け、それぞれ12週で1つの授業を完了していきます。2yearMBAの学位を取得するためには、各学期約4つの授業を受け、6学期合計で24.5単位を取得することになります。なお、1年生のWinter Termからは、授業を5つまで同じ学費で受けることが可能で、学習意欲の高い方は最高30.5単位分の授業を受けるか、あるいは最後の1学期を遊んで暮らしたり卒業を早めることも可能です。

多くの日本人学生の場合、最高の30.5単位まで授業を受けている人が多く、必修科目となる以下の9.5単位分の授業以外は、たっぷり21単位分の選択科目を受講しています。5-7単位程度で取得できるMajorが多いため、多くの日本人学生が、Strategy, Marketing, FinanceにOrganization, Entrepreneurshipなどを加えた3-5つのMajorを取得して卒業していきます。

逆に言えば、「M&A」「ターンアラウンド」「成長戦略」「ファミリービジネス」などの個人テーマを決めて、それに対応した授業をMajor横断的に取得すれば、自動的に複数のMajorが取得できるともいえます。とにかく選択科目が多いので、徹底的に1つのMajorの科目を取りまくるか、テーマに応じた横断的取得をするかは柔軟に決めることができます。

必修科目:
・組織におけるリーダーシップ(MORS:入学後のCIM weekの集中講義で取得)
・ストラテジー
・マーケティング
・オペレーション
・ファイナンスI
・ミクロ経済論
・会計学
・意志決定における確率的方法論
・意志決定における統計的方法論
・企業倫理と危機下の意志決定(2年生の秋学期前の集中講義で取得)

<秋学期の授業>

上記の科目のいくつかは、大学時代の単位を証明し、試験を受ければ免除(Weave)にすることができます。私の場合は一つも免除にしなかったので、秋学期の授業は以下の4つになりました。
・ストラテジー
・マーケティング
・会計学
・意志決定における確率的方法論(Accelarated)

選択により、マーケティングの代わりにファイナンスを秋学期に受けることもできますし、ファイナンス・確率・統計については、経験者や数学に自信のある学生はTurbo/Accelaratedという、通常より進度の速い科目を選択することもできます。僕は文系卒なのですが、数学が得意なはずの日本人として確率をAccelaratedにしています。

今回と次回の2回のレポートに分けて、上記の4つの授業をご紹介していきたいと思います。

<ストラテジー>

戦略論の基礎的フレームワークを一通り押さえるための授業です。
・PorterのFive Forces Analysisによる市場分析
・RBV(Resource Based View)による企業分析
・ネットワークの外部効果、ロックイン効果、エクスペリエンスカーブ
・ゲーム理論
・戦略的ポジショニング
・バリューチェーンの垂直統合、水平統合
・投資戦略

といったトピックスを、それぞれ約2-3回の授業でカバーしていくのですが、そのうち1回をレクチャーに、1-2回をケースのディスカッションに当てています。

ビジネス書を読むのが好きな方には、フレームワーク自体はおさらい的な内容になってしまうかもしれませんが、この授業で使用されるケースはなかなか面白い物が多く、ディスカッションの中でビリビリ脳みそが刺激され、自然と戦略脳(ぶっちゃけ言えばビジネスが儲かる条件、儲からない条件の見極め)ができあがっていく感じがします。その脳みそのままで奥様と話されたり合コンに行かれると、ウザがられること必至なので要注意ですが(笑)。

なおケロッグはマーケティングで有名な一方、ストラテジーの分野でもBW誌の評価ではHBSに次いで2位にランキングされるなど、優秀な教授陣と独自のディシプリンを備えているように思われます。有名な『戦略の経済学』を書いているDavid Besanko教授を筆頭に、ミクロ経済学をベースとした戦略論の研究者一派がケロッグに集まっているようです。授業にもそれが反映され、きちんと経済学的分析をベースにおいた論理展開がされるところに特徴があると思います。

ケースは必修科目らしく、ビジネス書でも比較的よく引用される有名企業のケースを多く扱います。例えばサウスウエスト航空、デル、アップル、デビアス、エンタープライズレンタカーなどです。サウスウエスト航空については、NYをベースとした新興キャリアで今最も勢いのあるジェットブルー社のケースを合わせて読むことで、両社とも低コスト運営をベースとしながらも、得意とする航路開発の違いで棲み分けをしていたり、雇用ポリシーの違いがあっりなどと、一見似たもの同士でありながら異なった戦略的ポジショニングしていることが分かってくるという、個別のケースからは見えてこないディープな比較が授業で展開されました。

ケロッグらしく、ストラテジーで2週間に1回の割合でグループワークがあります。与えられたケースに対する分析をグループで行い、プレゼンテーションを作成します。言語の壁のある日本人学生にはなかなかつらいところですが、この学校はなかなかいい奴が多く、議論が速すぎてついていけないと思っていると、「じゃここでダイスケの意見を聞いてみようか」などと振ってもらえるので、そこで練りに練った重みのある意見を一席打つことで自分の存在感を発揮できたりします。

<マーケティング>

ストラテジー同様に、マーケティングのフレームワークを一通り押さえるための授業です。私の解釈では、ストラテジーとマーケティングは大変良い補完関係にあると思っています。「ストラテジー的観点から魅力的なポジショニングが見つかっても、そのベースとなる顧客バリュー創出ができなければ絵に描いた餅である」一方で、「マーケティング観点から顧客バリュー創出ができていても、他社と同じポジショニングでは利益を生まない」からです。この二つの授業を同時に受けることで、世の中によりよい価値を提供しながらも、競争環境において利益を生んでいくという企業活動の本質を、より腹に落ちる形で理解することができました。

マーケティングの授業は実例を多用したレクチャーとケース中心で授業が展開されていきます。有名な3Cと4Pをもう少しソフィスティケートしたモデルをベースに、プロダクト戦略、サービス戦略、プライシング戦略、チャネル戦略、コミュニケーション戦略などを学びます。ケースはケロッグの教授陣が書いているものも多く、ポルシェの「カイエン」、アップルストア、HDDレコーダーのTivo、衛星電話のイリジウムなど、最近の興味深いネタもある一方で、マーケティングでは古典となっている、コカコーラ社が大失敗したNewCoke導入のケースや、リーバイス社がスーツラインを導入しようとして失敗したケースなども扱われます。

マーケティングの授業では、ストラテジーよりもハードなグループワークが課されています、一つの企業のケースを読んだ上で、その企業のマーケティング戦略をグループで考え出すという課題が2週に1回の割合で出されます。オープンクエスチョンである上、与えられたデータが少なく推論をベースにした論理展開になるため、議論が紛糾し何時間たっても話がまとまらないことも多く、相当の時間と精神力を投資することになります。マーケティングというややソフトな意志決定課題において、できるだけ多くの観点を出すところからはじめて、最も適切と思われる解に向けてチームの考えを集約させていく事の難しさとテクニックを実地で学ぶことができます。

ケロッグでは特にマーケティングの科目が強調されているわけではなく、ストラテジーやファイナンスに対してむしろ控えめすぎるぐらいの位置づけなのですが、マーケティングに必須な感受性とコミュニケーション能力の高い学生が多いという点で、やはりマーケティングに強い学校なのかもしれません。

では、次回は残り二つの授業である「会計学」と「確率」についてレポートします。

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