Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.16 2年生秋学期の授業内容とNet Impact

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二年生のクラスは面白い。全てのクラスに共通するのは、今までビジネススクールのコアの授業で学んだ知識やスキルをフルに活用して事業全体、或いはマネージャーが直面 するビジネス上の問題を分析するということ。マネジメントとはいろいろな人間的要素のIntegrationの上で成り立っている職業であるということを実感させられる。

マクドナルド教授のInvestment Managementのクラスでは毎回パブリック及びプライベート・エクイティの投資家をゲストに迎えケースディスカッションを行う。例えば先週はBrentwood AssociatesというPEファンドがFilsonという100年以上も続く伝統あるハンティング用アパレルブランドの会社に投資するべきか、FilsonをInvestmentとして評価し、投資判断をするという問題。

評価といってもファイナンシャル・バリュエーションのことではなくて(勿論それもしなければならないのだが)、この会社のブランドはどれくらいの価値があるのか、プラントの生産効率はどうか、生産量 拡大の余地はどれくらいあるのか、既存のDistributionはフルに有効活用されているのか、マネージメントの能力はどうか、セールスフォースのクオリティはどうか、といった様々な観点から事業の現在の事業価値と改革による成長のポテンシャルを分析し、投資するに値するかを見極める。こういった場合の「評価」プロセスにはファイナンスの知識より、むしろ業界に特化したマーケティング、セールス、ストラテジー、オペレーション等の知識の方が重要だ。

授業で飛び交う発言も、ハンティング系へのブランドアピールをレバレッジしてアパレルからハンティンググッズへのブランドエクステンション、カナダ、ヨーロッパへの海外展開、プロダクションのオフショア・アウトソーシング等、ビジネスアイディアの是非を論議するものが多い。クラスメートはみんなアパレル事業の経営経験など無い筈なのに、まるで自分がその会社の経営者であるかのように議論をする。

私は去年はこういう自分の経験外の分野で知ったように意見を述べることに抵抗があったが、最近は知らない人の意見にも価値があるだろうという観点から積極的に議論に参加するようにしている。MBAのケースディスカッションとは要は井戸端会議だ。もし本当に経営者だったら言えないようなことも、クラスルームでなら言える。

よくMBAの学生は経験の無さと態度の大きさのギャップにおいて実業界からシニカルに見られることがあるが、私はそこがMBAの強みではないかとも思う。確かに経験こそ無いが、アナリティカルな頭脳を武器に、知らない業界でも恐れずに意見を言う。間違っていても発言をすれば誰かが意見を言ってくれるし、やはり言うと言わないでは言う方がプラスになることの方が多い。

いろいろな意見を聞くことによってPerspectiveも広がるし、常に意見を述べる事を強いられることによって自分のコミュニケーション能力も磨かれる。勿論実社会にでたらクラスルームのようには行かないことも多々あるだろうが、実際にビジネスを経験する前の準備としては、こういうPeer learningは非常にValuableだと思う。

Formation of New Venturesの授業ではCRMソフト大手のSiebel Systemの創業時をケーススタディで学ぶ。テクノロジー系企業にしては珍しくベンチャーキャピタルを使わずに、しかも業界参入と同時に急成長を成し遂げ業界トップに踊りでるという、シリコンバレーの歴史上においてももっとも驚異的なスピードで成長したベンチャー成功例の一つだ。

ケースではそのパートナーシップを活用したセールス手法と営業組織にスポットライトを当て、Siebelがセールスチームをどのように立ち上げ、育てたのかを分析する。ケースには当時のSiebelが実際に面 接したアカウントエグゼキュティブ職への応募者のレジュメのサンプルが付いており、当時のSiebelのカルチャーと会社の状況を想定して、そのどちらの人材を起用すべきかをクラスで議論した。

一人はIT企業で複数のポジションについたことがあるKellogg出身のMBAホールダーで、もう一人は営業一筋20年のセールスマン。面 白かったのが、あるクラスメートが、MBAホールダーではない方を採用すると言う意見を述べ、「MBAなんてあっても役に立たないでしょう。それよりは実績のある人の方が必要でしょう」と付け足した。当然クラスは大爆笑。確かに営業職におけるMBAの価値には私も疑問を抱くが、同時に採用側から見たMBAの扱いづらさが分かり、就職活動をしている身としては微妙な気持ちになる。

この授業の終わりにSiebelのCo-founder及びVice ChairmanであるPat Houseがゲストスピーカーとして登場し、彼女の経験をクラスにシェアしたくれた。Patはやはりビジネスパーソンとしてのオーラを感じさせる人で、それまで1時間半続いた学生のディスカッションで出てきたポイント一つ一つに対してのフィードバックとInsightを1度も止まることなくよどみなく喋った。20人以上は発言した筈だが、彼女は驚くことに誰が何を言ったかを全て覚えており、すらすらとそれに対する意見を述べて行く。やはりFortune's 50 Most Powerful Womenに選ばれただけのことはある人である。

彼女のスピーチの中で印象的だったのは、Siebelを成長させて行く過程において相当な数のHiringをこなしたので今ではどんな人間でも1回会っただけで採用するべきかするべきでないかが分るということ。彼女は最後に「このクラスディスカッションを聞いているだけで、この中で今私が即採用したいと思わせる人間が少なくとも三人はいます」と言いながら、MBAは役立たずと発言したクラスメートに向かってウインクした。

クラスの外では、先週はスタンフォードでNet Impact Conferenceというコンファランスがスタンフォードで主催され、私もイベント係員としてお手伝いに借り出された。Net Impactというのは「Using the Power of Business to Improve the World」というビジョンを元にビジネススクールの学生が中心となって結成されたNPOで、現在1万6000人以上の会員がいる。毎年、各地のビジネススクールが交代でホストになってコンファランスを開くのだが、今年はスタンフォードが主催地に選ばれたというわけだ。2日間のコンファランスでは60ものパネルディスカッションやセミナーに加えてキャリアフェアやワークショップなども開催される。

普段は700人しか勉強していないスタンフォードビジネススクールの校舎で、1500人のセミナー参加をホストするというのは結構大変な作業だ。交通 整理や案内係をやりつつ、余った時間に個人的に興味のあるセミナーに参加する。Renewable Energyのパネルディスカッション、Social ventureのワークショップ、そしてAl GoreのKeynote Speechを聞くことができた。

私は全てのビジネスは社会的な目的及び存在意義を持っているべきだと信じているので、こういう場所でSocial Missionをおびたビジネスが成功しているのを目の当たりにすると非常に刺激になる。またこのコンファランスを通 じて、様々な他校の学生と出会うことができた。NonProfitや慈善団体をリードする為にMBAでマネージメントを勉強している人もいれば、Social Ventureを既に立ち上げた人もいる。ビジネスとは資本主義という枠の中でいろいろな目的を達成する為のツールであり、決して金儲けの手段だけではないということを再認識させられた。

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