秋学期の授業も無事全て終わり、明日からはTuckの海外コンサルティング・プロジェクトであるフィールドスタディに出発する。フィールドスタディの3週間は、ポーランドを中心にチェコ・ルーマニアを含めた東欧三カ国を訪れる予定。そしてその足で一旦北米でトランジットして、そのままチリへ観光旅行へ行く事になっている。ポーランド国内を毎日のように飛行機で移動したり、プラハ~シカゴ~サンチアゴ~イースター島とぶっ続けで移動したり、なかなかハードな5週間になりそうな見込み。ちなみに新年はサンチアゴの空港で迎える予定だ。
就職活動に関する考察
今年の2月にピークを迎えた1年生のサマーインターンの採用活動と違い、フルタイムの就職活動は秋学期が主戦場であった。フィールド・スタディのミーティングにも、面 接のために欠席する同級生も多かった。この秋学期の就職活動模様は本当に様々で、サマーインターン先で無事希望のオファーを貰って左うちわの人、インターン先での仕事に幻滅して急遽志望業界を変える人、インターン先からはオファーが出なかったが当初からの希望業界に向けて再チャレンジする人などなど。
自分は早い段階でいくつかの企業からの採用のオファーを頂けて余裕があったこともあって、日本人も外国人も、色々な人からの就職活動の相談を受けていた。素晴らしいオファーを貰い過ぎて悩んでいる人から、希望のオファーがなかなか出なくて悩んでいる人まで、悩みのレベルは様々であった。
そしてこの相談の過程で、ちょっと気付いた事がある。どうもオファーをたくさん貰って悩んでいる人の相談は人生哲学的な話も多く、自分自身の価値基準とそれらの仕事がどのように結びつくかについて色々な人からの客観的アドバイスを求めているケースが多い。一方でオファーがあまり出ていない人は、面 接の技術や会社情報などのテクニカルな話をしたがる傾向があるようで、会話の中身が哲学的な要素を帯びる事は滅多に無いようだ。肝心の志望動機やキャリア・プランを聞いても、その仕事を得たい熱意と裏腹に、一般 論を抜けきれない話になってしまう。
この傾向に関しての解釈は様々あろうが、自分としては「仕事選びに自分の人生哲学・価値観と正面 からぶつかるような人であるからこそ、結果として良いオファーが揃う」という見方をしている。トップMBAの学生であれば知性の部分が採用の問題になるケースは少ない。バックグラウンドは当然見られているが、ある程度多めに見てもらえるケースも多い。しかしある程度の教養と知性を持った学生プールの中から採用のオファーを得るためには、限られた時間内により深い志望動機とコミットメントを示す必要がある。この点自分の価値観と対峙するクセのある人は自ずと面 接の中でも説得力のある話をして、自分自身を魅力的に見せることに成功しているのではないか、というのが私の予想である。
MBAの2年間は長いよう意外と短い。日々の課題や迫り来る就職活動に追わているといつの間にか時間が経ってしまうので、意識しないと仕事について深く考える時間が足りなくなってしまいがちなのは確かだ。その意味では志望動機を深めきれずに就職活動に臨んでしまう人の事情も判る。でもやっぱり、滅多にない就職の良いチャンスに、漠然とした仕事内容と金銭面 や世間の評判しか尺度が無いのはあまりに勿体ない。これを読んでいるMBA受験生の人や1年生の人、「自分は大丈夫」と思う人も多いでしょうが、気を付けて。私自身も自分の価値観と将来の仕事についての考えがある程度まとまってきたのはつい最近。就職活動時期に滑り込みセーフと言った感じであった。こういう話は色んな方面 から何度も聞いていたけど、自分なりに消化出来るようになるのはなかなか難しい。
フィールドスタディの準備
そしてグループの半分近くがまだまだ就職活動を続ける中、フィールドスタディで現地に飛ぶ期日は着々と迫っていた。よく聞く話として、一般 的にクライアントが先進国の大手企業などの方がプロジェクトが難しいらしい。こういう会社は社内にMBAホルダーをたくさん抱えているし、本職のコンサルタントを雇ったケースも多いので要求事項も内容も厳しいのだとか。一方で途上国のクライアントはやや期待値が甘いので、満足してもらえるレベルのアウトプットを出すのは比較的簡単だそうな。
Tuckのフィールド・スタディの場合、Tuckはクライアント企業からしっかりとお金を受け取っている。我々のフライト代、ホテル代はもちろん、日当もそれなりの金額が出る。従ってコンサルティング内容のクオリティ・コントロールに学校側はかなり真剣で、少し前にあったフィールド・スタディの説明会では「学校の名に恥じないアウトプットを出せるようにコミットしてください。旅行気分で参加しようと思っている人は、今すぐ辞退してください」といった具合だ。アウトプットの質が低いと来年からプロジェクトの依頼が来なくなってしまう構造なので、当然と言えば当然か。
私のグループのクライアントはとある北米の大手小売業者で、今回は東欧での製品の購買に関してのプロジェクトだ。果 たして噂通り、要求のレベルはかなり高い。検討すべき中身が広すぎて雲を掴むようで、グループのメンバーがなかなか集まれない中でなんとかミーティングの時間を作り出して、プロジェクトのスコープ決めがつい先日終わったような状況だ。これから3週間、かなり勤勉に働かないと結果 は出ないだろう。身の引き締まる思いだ。