<ケロッグ生活はパツパツ!>
11月末、ケロッグの秋学期も終盤に近づき、final-examに向けて緊張感が高まってきました。ケロッグは一つの学期が約3ヶ月続き、その間にmid-termとfinalの2回の試験が設けられますので、高校生の時より頻繁に試験を受けることになります。予習・復習と、グループワークに追われ続けて、最後に試験勉強と全く息つく間もなく3ヶ月間が過ぎようとしています。
しかし、ケロッグは勉強だけの学校ではありません。ケロッグでは勉強以外の様々な課外活動が学生によって運営されており、それに参加したり、運営主体者になることによって、まさに日々「パツパツ」な状況に身を置くことができます。僕も例に漏れず、パツパツな秋学期を送ることになりました。
ケロッグでは毎週金曜日、Atrium(学校の建物の中心の吹き抜けにある学食兼イベントホール)にて、各クラブ主催によるパーティー(通称TG)が開催されます。どのパーティーも趣向を凝らしており、企画、スポンサー企業集め、食材調達、会場装飾、宣伝・チケット販売などにかなり力を入れて準備します。パーティーごとにテーマ設定があり、例えば毎年一番盛り上がるのはGay & Lesbian Management Associationというクラブによる女装コンテストだったりします。
僕が所属するアジア系学生の親睦クラブであるAsian Management Associationでは、毎年10月にAsian Food Festivalを開催しており、僕も会場設営担当チームの一員として、数週間掛けて準備に従事しました。また、日本人学生グループも、毎年日本食ブースを出しており、そちらの準備もかなりのワークロードになりました。大変でしたが、普段他のパーティーに参加し大いに楽しんでる身としては、時には自分が主催側に回ることで恩返しをしないとという気になるものです。こういった風潮が学生全体を巻き込んで好循環となっていく事で、消化しきれないほどのアクティビティ(パーティー類だけでなく、無数の講演会・勉強会や企業訪問旅行など)がケロッグに生み出されているのだと強く感じます。
秋学期には、冬休みに日本で開催する学校説明会(これも学校からはガイドラインが与えられるだけで、会場調達、告知、運営は全て学生主体)や、来学期に開く日本人学生によるJapan Nightというパーティーの準備もあり、常に何かのイベント企画に携わることになりました。また、ロレアル社の主催する世界規模のマーケティングのケースコンペティションにもチームで参加を始めました(このケースコンペについては後日レポートします)。
こういった活動はもちろん全て参加自由ですから、個人の意思次第で勉強に集中したり、大都市シカゴでの娯楽に時間をつぎ込むのも可能です。しかし個人的には、ビジネスにおいて求められるタイムマネジメントや、他者と一緒に物事を進めていくセンスを学生生活でありながら磨くことができるのも、ケロッグという環境で可能な学びの一つだと思っています。
<必修科目:会計学について>
ケロッグで必修科目になっている会計学の授業は、レクチャー中心で簿記の基礎から手取り足取りで進められ、BSやPLを初めて見るレベルの学生にもついていける内容になっています(事前知識のある人は試験を受けて受講免除することができます)。
・BS/PL/CFの作成と理解
・売上計上の考え方
・在庫の考え方(LIFO, FIFO)
・資産の考え方(時価会計)
・債務の考え方(債券、リース)
・株主資本、ストックオプションの考え方
・投資の考え方
・財務諸表分析の基礎
という内容を、本当に丁寧に習っていきます。実際の財務諸表へのエントリーを手で計算する方法を習っていくので、財務諸表に対する恐怖感がかなり解消されるのと、単に理屈レベルを理解した気になって実のところ良くわかっていないというような危険はやや回避されるのかなと思います。ケロッグ名物のチームワークも計2回あり、ケースに書かれた企業の経営状況を分析します。成長産業における架空の中小企業を扱ったケースでは、よく言われる「資金繰りの重要性(経営が順調でも資金繰り次第で会社が倒産することもある)」について、当事者の立場で分析することができ、結構腹に落ちた感がありました。
授業中でも実際の企業の財務諸表の分析が度々行われますが、経営者や投資家の視点に立った経営分析というレベルにはこの授業だけでは達し切れていない感があるので、今後の選択科目で補完していく必要があると思いました。ちなみに会計の選択科目としては、「管理会計(マネジメント向け)」「財務分析(投資家向け)」「複雑な財務ストラクチャ(M&A実務者向け)」などが用意されているようです。
<必修科目:意志決定論(確率統計)について>
意志決定論というもっともらしい名前が付いていますが、要は確率統計の数学の授業で、今後の専攻の授業で必要な基礎的数学知識を学びます。秋学期については、
・確率
・場合の数
・二項分布
・正規分布
・標準偏差
・相関
・サンプリング
・区間推計
・区間検定
などを、これまた手取り足取りで学んでいきます。エクセルを使うところが高校などと違い実用的なところでしょうか。確率統計の授業は来期も続き、回帰分析などを学びます。この科目についても、試験を受けて受講免除することができます。また、数学に自信がある人に向けて、「Turbo」という、内容が2,3割り増しの深掘りコースも用意されており、僕はそちらを受けているのですが、このクラスではインド人を中心として外国人の比率が圧倒的に高く、アジア諸国の数学教育のレベルの高さを表していました。
数学のコースに1単位何十万円も払うのももったいない気がしますが、実際のところ確率統計はもともと不十分な知識しか持っていなく、今後ストラテジーフォーミュレーションやマーケティングリサーチの専攻科目を取得する上で必須の知識なので、割り切って勉強しています。理解が進めば数学も面白いものですし、かつて仕事で行ったアンケート分析や計数管理でも、習ったことを活用して一ひねり加えることもできたと思うこともしばしばです。
では次回は、来夏のインターンシップに向けた就職活動についてお話したいと思います。