今月は繰り返しになるかもしれませんが就職活動についてご紹介したいと思います。先週某資産運用会社を訪問し二日掛かりのインタビューを終えてロスに帰ってきました。全体的な印象としては、バイリンガルに甘い日本の就職活動に比べて、アメリカでの就職活動はとにかく「きつい」ということです。ある程度のインタビューをこなした時点から慣れも備わってくるため、処理速度は速まっていくのですが、普段は楽観的な私も相当気疲れしました。なぜか。
フルタイムの就職活動では三次選考の時点から全米MBAが集結するオールスター戦になります。一次選考(書類)を通過するとオンキャンパスで二次選考(面接)となります。金融関連についてざっくりまとめると50人の応募者から10人面接し、二次選考は学校全体で数名程度。二次選考を通過すると会社の指定する都市まで足を運んで(通常東海岸、若しくは本社所在地)オールデイ・インタビューとなります。最初は会社のお金で旅行ができて、宿泊代も出るのでよいかもと考えていたのですが、やはり考えが甘かったようです。とにかく疲れます。
到着すると早速会社主催のレセプションとなるのですが、フレンドリーな態度を心がけても競争相手となる他校MBAの壁は厚く、なかなか会話も弾みません。ボストンの学校から来たきれいなお姉さんからは挨拶もなし。冷たい空気が流れます。三次選考では15名程度から5名程度の採用になりますが、西海岸からは私も含めて二名のみ参加。このような場になると、西海岸は学校の規模が小さいため肩身が狭いのが通例です。
三次面接においても依然として狭き門ですが、会社側の対応もここまで来ると豪華になってきます。海辺のマリオットホテルに到着すると、部屋には巨大なギフト・バスケットが届けられます。レセプションも優雅なフレンチ・ディナーです。但しここで思いっきりおいしいワインを飲んでしまうとオファーはまず間違いなくもらうことはできません。レセプションでは会社側の代表者とインフォーマルな会話を楽しむこととされています。オイル・プライスからチベットの政治情勢まで話題は及び、翌日朝8時からのインタビューに備えて早めの解散。翌日は朝から30分おきのインタビューを計12人とこなすことになります。
6時間も何を話すのか?志望動機などの当たり前の質問は事前に書面で提出が求められているため、論理的不整合が認められない限り、面接ではほとんど問われません。問われる内容は専門的な知識と頭の回転の速さをチェックするためのものがほとんど。会社側は質問リストをあらかじめ用意しており、正答が得られれば次の質問に進むことができます。時間内に質問がすべてこなせれば担当者にこちらから質問をすることも可能ですが、逆に間違い続ければ時間切れで会社に対する質問もまともにできません。ここでまた間接的プレッシャー。ではどのような内容が聞かれるのか?
・120十億の1ベーシスポイントはいくらか?
・(ターム・ストラクチャーのグラフを提示)ボラティリティを買うとすればどこの年限を買うのか?
・ネガティブ・コンベクシティとは?
・もしあなたがグリーンスパンであったら3つの主要な政策目標は何か?
・オイル・プライスの10年間見通し。
・中国経済におけるインフレの影響は?
・現在の市場環境において最も有効と思う投資戦略は?
・300億ドルあったら何にどう投資するか?
・倫理的葛藤について例を挙げてください。
・なぜアンダーセンを選んだのか?
・映画のキャラクターでは誰になりたい?それはどうして?
36人が参加した二日間にわたる二次面接を経て、二~三週間後には三次面接が行われます。基本的にはは実際に働くことのなる拠点(私の場合アジア・パシフィック)での面接となるため、再び移動が必要となります。例えばニューヨークオフィスで働くのであれば、ニューヨークで面接といった具合です。この面接はリージョナル・ヘッドと一時間以上に渡る個別面接になるのですが、私の場合はたまたま彼が米国出張に来ていたついでに面接をしていただきました。オファーが出たのは三次面接の約二週間後です。プロセスが長かっただけあって、決まったときの喜びも大きかったです。
就職活動に一段落がついたと思えば、そのまま期末試験へとなってしまいました。とはいうものの、週末友人が遊びに来ていたので、かなりの人数でライバル校USCとのフットボールゲームに行ってきました。スクール・スピリットを示す年内最大のイベントとなるため、試合会場となるコロッセウム(元オリンピック会場)はUCLAのスクール・カラーであるブルーとUSCのワインカラーに包まれた3万人のファンで満員です。USCのキャンパスでUCLAのスクールマスコットであるブルンベアがつるし首になっていたのが大ショックでした。試合の結果は何かの間違いだと思うのでご報告は控えさせていただきます。
では皆さん、よいお年を!また来月。