大変遅ればせながら、皆様新年明けましておめでとうございます。
思い起こせば昨年2005年は私にとって、変化に満ちた1年でした。1年半に渡る受験生活の末ようやく合格を得、渡米、進学。ビジネスを根本から学びたい、そんな想いでここまで来ましたが、ここRossでの授業は予測をはるかに超える面 白さで大変刺激的です。日々、第一線で活躍する教授陣や世界中から集まった同級生達にエネルギーをもらいながら学ぶことのできる喜びを実感しています。まさに、今しかできない、そしてここでしかできない経験を満喫しています!
2年間のMBAカリキュラムの4分の1が早くも終了しましたが、昨年の最終学期Fall BではMarketingの看板教授Prof. Christie Nordhielmに習うことができました。昨年Kelloggから引き抜かれてきたこの教授がRossに来た理由は、「Big Picture(彼女の主張する理論)を主流にしたMarketing教育をしたいと考えていたがKelloggではコトラー等の大御所の存在ゆえになかなか思うようにいかなかった。Rossなら自分の方針を強く打ち出せる可能性があったから。」ということです。そんな時にRossに入学でき、私は運が良かったと思います。
今まで私自身が知る限りでは、巷のマーケティングの書籍は4PやAIDMAなど断片的なマーケティング理論に終始することが多かったように思います。それ自体は納得できても、その理論を使って現状を改善していくことのできるツールとしては実用性の乏しいものばかりだと感じていました。しかし、この授業ではBig Picture(このタイトルで教授が実際に本をだしています。)という大枠でマーケティングを捉え、それぞれの理論を有機的にリンクさせたものとなっています。顧客ターゲットを絞るだけでおのずと全てのマーケティング戦略は決まる、というのです。
「既に古いトピックを扱った既存のケースに基き、教授側はマニュアルと答えを持って指導するなんてナンセンス」という教授の主張により、授業では6人のグループに分かれミニケースを学生自ら作成しプレゼンテーションをすることになっています。私達が選んだトピックは・・・何とFemale Health Companyという会社の唯一の商品"Female Condom"。特許を持ち、STD(Sexually Transmitted Disease、性感染症)予防には最も効果があると言われているにも関わらず収益が上がっていない、その問題点をマーケティングBig Pictureの観点より分析しました。
私の「How many of you have an STD?」の出だしで始まったプレゼンテーションは大ウケ。教授からは「My favorite group!」とのお言葉を頂きました(この時のグループメンバーの一人Leiと今学期はConsumer Behaviorの授業で再度グループを組みます。昨年のグループワークがよほど楽しかったのか、何とまたCondomをトピックに顧客心理を扱うプロジェクトをやろうと声をかけてきました。1年生が終了する頃には避妊具の専門家になっていそうな予感です・・・。)。
実際、自分達で選んだ商品をフレームワークで分析し、何が問題なのか、自分ならどうするか、その根拠は、と考え抜くことで、ビジネス戦略とマーケティングがどうつながっているのかが見えてきます。ビジネスの方向性が決まった段階でマーケティングのすべきことは決まっているのです。Big Pictureは、マーケティングをStrategyに沿った方向性にすることでいかにシンプル化することができるかを見せてくれます。
Final ExamではNordhielm教授の作成したオンラインシステムで、Big Pictureに則ったマーケティング戦略の効果をシミュレーションし、分析します。このシミュレーション結果 と分析をレポートするのですが、ここでまた受身的に既存の会社を分析することと、自らが会社を動かすこととは違うということを実感しました。現実(シミュレーション)はなかなか理想通 りには動いてくれず、分析には頭をかかえましたが、学んでいる実感とやりがいは充分でした。
マーケティングの授業にはこんなにも興奮した私ですが、Fall A、Fall Bと2タームで合計8科目を経て、授業ごとにやはり教授の当たりはずれというのはあると感じています。ただ、Rossの場合はコア段階より有名教授の授業を履修させてくれる上、ラッキーなことに私は当初から力を入れたかったStrategyとMarketingで最高の教授に恵まれました(反対にStatisticsとManagerial Organizationはハズレでしたが・・・。)。やはりこういう点でも自分のやりたい分野に特化した学校に進学するというのは正しい選択なのだと思います。
さて、今年2006年にはMAPという当校独自のカリキュラムで米国企業での研修をすることができ、その後夏にはインターンシップを予定しています。チャレンジの計画が盛り沢山の2006年、昨年以上の成果 が出せるよう邁進していきたいと思います。