Campus Report 2004

竹中 重人 to Tuck School of Business at Dartmouth(全20回)

MBAホルダーへの道

Vol.15 戦略論の幅/モアイと氷河

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戦略論の幅

今学期はManagerial Decision Makingという認知心理学的に意志決定を分析する授業、Managerial Application of Game Theoryというゲーム理論の授業、そしてNegotiationという交渉術の授業(ケースを渡されてクラスメートと実際に交渉を行う)を取っている。もともと意識して選んだわけではないのだが、認知心理学的意志決定と経済性による意志決定、それに交渉という認知心理学と経済性の組合わさったロール・プレイをやっているので、殆ど意志決定強化月間と化している。

Managerial Decision Makingの授業は、理論的には多くを行動ファイナンスの研究に則っているが、より意志決定にフォーカスしている。ミンツバーグの「戦略サファリ」という本に紹介されている戦略論の10のカテゴリーのひとつである「コグニティブ・スクール」とほぼ同様の内容を取り扱っており、戦略論の一つとしても捉える事が出来る授業である。

内容的には、例えば人間の脳が持つバイアスやエラーのパターンについて学び、それをどのように有効な意志決定につなげるかといった話だ。甘く見ていたが非常に学びの多い授業である。普段の何気ない自分の心の動きが理論化・体系化されて紹介される。体系化好きな欧米人の考えそうな事だ、と妙に感心してしまう。

少し細かく授業の中身を紹介すると、例えば「一貫性の心理」とは、自分が一度取った行動に一貫性を保ちたいという強い欲求の事である。このような心理状況が組織の中で如何に働き、どのような結果 を生むかについて議論する。また、人は古くからの経済学モデルでは必ずしも説明出来ない行動を取ることがあり、それらをいくつかのコンセプトを使って解説する。

例えば宝くじで10万円当たった人は豪華な食事をしたりするが、月給が1万円上がった人は滅多にそのような行動を取らない(キャッシュフローの現在価値で言うと後者の方が圧倒的に高いと推定されるにも拘わらず)。この話は「メンタル・アカウンティング」というコンセプトで解説されていた。

また、僕は取っていないのだが、別のある授業では軍事戦略論を企業戦略に応用するテーマで講義が行われている。実際の企業行動において、経済学で説明するよりも軍事戦略論的に説明した方が分かり易い例が多数あるそうだ。教授はこの分野で著名なDaVeni。企業からのコンサルティング依頼がひっきりなしという人気教授である。

ある授業ではキューバ危機を例にとって軍事戦略論を解説していたようだが、同級生の話を聞いていると認知心理学の観点からもケネディ大統領の意志決定を説明出来るようだった。このようにして分析の幅が広がっていくのは、今後の仕事をする上でも大変役に立つのではないかと思う。

留学前にあるMBAホルダーの方から「MBAの戦略論の授業なんて、結局ポーターの戦略論の枠組みを出ないよ」という話を聞いていたが、どうやらそれは少なくともTuckにおいては真実では無かったようだ。今更ながら「MBAにも色々あるんだな」という事を実感させられる。もし戦略論を学びたいと思ってMBAに来て、ポーターの戦略論という戦略論の小さな一分野しか学べずに卒業するとしたら、それは相当に勿体ない事のように思う。やはり学校選びというのはとても大事なようだ。

モアイと氷河

随分時間が経ってしまったが、冬休みに旅行したチリのイースター島とパタゴニアについても書きたいと思う(ちなみに全くMBAと関係ありません)。

イースター島

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イースター島にはタヒチとサンチアゴの2カ所からしか飛行機が飛んでいない。しかもそれぞれ週2便程度しかないため、島を訪れる旅行者の数は完全に飛行機のキャパシティで制限されている。最寄りで人の住んでいる島までは数千キロほど離れているそうで、船で訪れる観光客はまずいない。ここに来る観光客は年間わずか2万人ほどだそうだ。

観光客に占める日本人の割合は高く(多分1割~2割くらい?)、日本人へのモアイ人気の高さを伺わせる。ちなみに島に来ている日本人は見事に2種類に分けることが出来た。一方はタヒチ経由でやってきた「綺麗な人たち」。主にはタヒチにハネムーンで来たついでにイースター島に寄った人びとだ。もう一方はチリの首都サンチアゴ経由で来た「ちょっと小汚い人たち」。こちらは殆どが南米をバックパック旅行中に島に来た人だ。僕は経由地も外見も完全に後者。


島の中の道路は未舗装の部分も多く、年間旅行者の少なさからしても、世界遺産にも指定されている有名な場所にしてはものすごく秘境感が楽しめる。チリは南米で最も裕福な国で観光に全く力を入れていないため、イースター島の整備も全く行っていないのが原因だそうだ。日の出とモアイが楽しめる島唯一のスポットに少し早起きして出向いたところ、そこにいた観光客わずか5名・・・イースター島の適度な秘境感がお分かり頂けるかと思う。

人々も時間もモアイもとてもゆったりしていて、この島にのんびりと滞在していたら、忙しい日々の生活が幻であったかのような、そんな錯覚に陥ってしまった。本当にモアイ以外は目立った見所のない島だけど、とても素晴らしい場所だった。

パタゴニア

パタゴニアとは、南米大陸の南の方のエリアの総称で、アルゼンチン・パタゴニアとチリ・パタゴニアがある。あの「母を訪ねて三千里」のマルコが旅していたのも(多分)アルゼンチン・パタゴニアである。

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僕のパタゴニア旅行は南米最南端の町からスタートして、国立公園でトレッキング、氷河ウォーキング、シーカヤックをやって帰ってきた。ちなみにこの南米最南端の町は、以前あるTuckの学生が「南極を裸で走る俺」というムービーを撮ってTuckのTalent Showというイベントに出品しようという狂気の計画を立てた際に、南極旅行のベースとなった由緒正しい町でもある(結局南極にて服を脱げず未遂)。

時折ふく強い風、めまぐるしく変わる天候、手つかずの大自然と、こちらも素晴らしく味わいのある旅行となった。特に巨大な氷河の上を数時間かけて歩いた氷河ウォーキングは忘れられない。

結局冬休みの5週間はチェコ・ポーランドのフィールドスタディで3週間、南米旅行で2週間と、ずっとあちらこちら動き回って過ごした。何もかもが思い出深い体験で、これまでの人生で最も楽しい5週間であったのではないかと思う。

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