Campus Report 2004

熊谷 真理 to UCLA Anderson School of Management(全20回)

MBAホルダーへの道

Vol.16 債券市場の王者

転職のご相談・お問い合わせ

経験豊富な
エージェントに転職相談(無料)してみませんか?

1分で完了無料登録・転職相談

今回はアンダーセンで開催されたファイナンスコンファレンスについてご紹介したいと思います。今回のスピーカーは金融業界に多大な影響を誇る世界最大の債券ファンド創始者ビル・グロスと最近モルガンスタンレーによる買収が取りざたされている全米(おそらく)第三位のLBOファンド、ブラックロックの創始者ラリー・フィンクの対談という豪華な組み合わせ。

06_2_7_1.jpg

ミーハーな私は有名な卒業生のお話を聞くのが好きなのですぐ申し込みをしたのですが、人気の高いイベントであったため20分程度で売り切れ。どうしても行きたかったので、インターンシップ先のボスと一緒に彼の妻の名を借りて参加するという暴挙に出ました。とりあえず参加できて良かったです。このコンファレンスはアンダーセンでの金融投資研究所(Center for Finance and Investment )の設立記念イベントとなるもので,バークレーでの金融研究所と同様に実務との関連を深めながらも、更に専門的な研究を実現させるためのものです。

イベントに先立ち、ロスの金融関係者が集まるレセプション。イベント後には教授陣と同窓生を中心とした重要人物を招待したディナーが行われました。ロスには珍しく、スーツ姿も多く、かなりフォーマルな雰囲気です。

以下、コンファレンスの主なトピック。

金利低下

インフレ率を調整した実質的な金利水準の低下は世界的に起こっている現象。従って割引率の低下は全般的な資産価格(不動産、コモディティなど)の上昇に繋がっている。金融市場は、過剰な資金の行き所としての受け皿として機能し始めている。

金の価格

ドルのヘッジをできる限られた手段のひとつとして、今後新たな投資家として各国の中央銀行からの需要が伸びる可能性がある。またコモディティとしての金の用途の多様化も需要を伸ばしている。金の価格は低下するリスクプレミアムを十分に織り込んでいるとはいえないかもしれない。また相対的な価格上昇率については同様にアルタナティブ投資に区分される不動産よりも今まで控えめであった。従って、既に最高値を更新し続けているにもかかわらず、今後のアップサイドについては前向き。

流動性危機

米国の双子の赤字が日本や中国に代表されるアジア諸国、ペトロ・ドラーで豊かに潤う中東諸国からの投資で補われている世界の資金循環の構図はよく知られているところ。中長期の米国債券の6割以上は海外投資家の購入によるものであり、既に米国のイールドカーブはフラットニングしているため、これ以上の中長期債券需要を市場で受け入れられる余裕はない。各国の投資家との議論から受ける印象としては彼らの投資判断は必ずしも、経済的に合理的な判断に基づいているわけではない。

今後のポイントはこのような海外投資家のドル資産に対するコンフィデンスをどこまで保てるか?このポイントを見極めるためには、金融市場だけではなく、地政学的なリスク、デモグラフィック的なリスクの分析も見逃されがちではあるが重要。

米国に資金が還流しなくなる二つのメインシナリオ
・日本経済の成長に伴い、金利が上昇し、資金の循環が変化する。
・BRIC諸国の成長に伴い、相対的な米国に対する投資妙味が減少することから資金の循環が変化する。

テロリスト

一時的なイベントリスクに過ぎず、既にリスクプレミアムは現在の金利水準に織り込み済み。従って大きなコンサーンにはならない。日次レベルの投資判断に影響を与えるものではない。長期的にはこのようなイベントはすべてネットオフされる。 同様のことは中国の鳥インフルエンザにも言えることでもある。

ヘッジファンド

規制業種ではないため、優秀な人材を他の業種からひきつけることができる可能性は依然として高い。しかし、ロング・ショートストラテジーに代表されるように財務レバレッジに多く依存しているため、イールドカーブのフラットンニングはネガティブ。重ねて、業界が成熟するにつれてリターンが下がっていけば、フィーに対するプレッシャーも高まる。リスク・リターンに見合った構造の見直しがいずれ必要になる。流動性の構造の変化は業界のカタリストを今後変える可能性がある。現在「当然」とされている高い流動性は今後も続く可能性があるわけではない。しかし、大きな流動性の変化がどのタイミングで何のイベントをきっかけとして起こるかは依然として不明。

日頃から問題意識を抱えていると物事の見え方も違ってくるとはよく言われることです。一体、日本のゼロ金利緩和はいつになるのでしょうか。その海外市場に対するインパクトは?恥ずかしいことに、このようなクラスメートの基本的な質問にも私は依然として明確に回答ができません。彼らの深く幅広い考察に現在の市場状況を当てはめて考えてみると「なるほど」とうなずくことも多く、こうした機会に恵まれるMBAというのもやっぱり来て良かったなと思いを新たにしました。更に興味のある方はウェブキャストをご参照下さい。

次回は期末試験などについてご紹介したいと思います。ロスはもう暖かくなってきました。それでは皆さん、来月も宜しくお願い申し上げます。

初めての方へ 私たちキャリアインキュベーションについて

転職のご相談・お問い合わせ 業界の専門分野で10年以上の
経験を持つエージェントに
転職相談(無料)
してみませんか?

あなたのキャリアに関する相談相手として、現在の状況に耳を傾け、これまでのご経験や今後のポテンシャル、
将来の展望を整理し、よりふさわしいキャリアをご提案します。

  • 転職成功者の90%以上が
    対応に「満足」と回答

    キャリアと並走して
    長期的・継続的にサポートする活動に
    多くの方から賛同いただいています。

  • 転職ありきではなく戦略的に
    状況を見極めて案件を紹介

    今後のキャリアの可能性を
    探りたい方にも希望や適性を
    踏まえて本音でアドバイスします。

  • 転職決定者の70%以上が
    年収1,000万円以上を獲得

    圧倒的な求人情報量があり
    ご相談いただく多くの方が転職前よりも
    好待遇で就業されています。

1分で完了 無料登録・転職相談

現在約6000人以上が登録中!
転職活動にすぐに役立つ
メールマガジン(無料)もございます。

メールマガジン登録(無料)