Campus Report 2004

相野 勇雄 to Hitotsubashi University Graduate School of International Corporate Strategy(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.17 ワークショップとワークショップレポート

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このレポートでは、M2のメイン科目(?) でもあり、と同時にMBAコースで唯一の通 年科目であるワークショップ (以下、WS)、及びその成果物として作成することになるワークショップレポート(以下、WSレポート) についてちゃんと取り上げてこなかったので、それについてお話をしておきたいと思います。

M2になると4月から全員が、戦略、組織・人事戦略、産業、会計、財務、金融、マーケティング、イノベーションという8つのグループのいずれかに属することになります。

自分が所属していたのは"財務"というWSでした。ただ、その名称は正確にWSの特徴を表していなくて、実態としては先生の専攻や興味の対象から中身としては「企業価値評価」について取り扱う場ということになっていました。そして、そこに集ったのは自分を含め、社会人2人、新卒2人、留学生一人という計5人という顔ぶれでした。

また、同じ"財務"と冠したWSの下でも、学生の興味の対象にはかなり拡がりがありました。最終的にどのように企業価値に影響するのかということについて測定・分析するのは同じなのですが、分析の出発点となる企業価値に影響を与える事象がコーポレートガバナンス、広告、増資等様々で、かなり広い範囲をカバーする広い集まりだなぁと言うのが自分が持っていた印象です。

また、同じWSに所属しつつも、大きく異なるのが前提となる知識の幅と深さでしょうか。財務関連では、一年生のうちに多くの人が『企業財務』を、そしてM1か、M2の夏学期のうちに『企業価値評価』という授業をとってある程度の基礎知識は持っているはずなのですが、やはり修了に当たっての一大研究をするのにはそれだけで十分とは言えません。

それゆえに、MBAコースの授業以外でどれだけの知識の蓄積ができているのか、または経験を積んでいるかにによって、論文のテーマを決めたり、アプローチ(測定)方法を考えたりするのに必要な時間が大きく異なってくるというのが個人的な印象です。面 白いのが(と言っても自分としては笑えなかったのは)、社会人経験を積んできているからといって、必ずしもそれが有利に働いていた気がしなかった点です。

そのような事態が生じる一番の理由は、社会人でもWSに所属する人がかつて勤めていたときに培った知識や経験をそのまま活かせることをWSでのテーマとするとは限らないということでしょうか? 例えば、自分の場合は財務諸表を見慣れていると言っても、それは作る立場からであって、それを分析するとなるとやはり勝手が違っていました。

そうすると、ただ実務経験が4年あるという自分よりも、学部時代から当該分野についてしっかりと学んだことのある人のほうが最初から前提となる知識や分析手法を習得していたりしてかえってテーマの深いところまで一気に切り込んでいけるような気がしていました(それゆえに自分の場合は、前回のレポートで書いたように金融のWSにも参加して、周辺知識を補っていたのでした。。)。

始まりは、他の科目と同様に四月初めのこと。財務WSでは前提となる知識レベルをそろえる為に、最初のうちはその名の通 り『企業価値評価 (Valuation written by Tom Copeland , Jack Murrin, Tim Koller) 』の輪読を行うことからスタートしました。ただ、皆で学習と言える機会を持ったのはこの輪読を行った1~2ヶ月ほど。後は、基本的には自分の研究テーマに沿った個人戦になりました。

MBAコースでは珍しい長期間に渡っての個人研究ということに対して、WSへのモチベーションを維持するのは、それなりに大変なことでした。確かにWSによっては、毎週の進捗状況の発表の中で、先生から矢嵐のような質問を浴びせられ、自らの仮説や持論を一刀両断されることを覚悟の上で望まなければいけないところもあったようです。そういったWSにおいては、毎回のWSのプレッシャーのために準備が大変な一方で、モチベーションが維持しやすく、着実に研究が進むというメリットもあったように思います。

自分たちのWSも先生からのプレッシャーがないわけではなかったのですが、今となって振り返ると、特に夏学期は他の科目の課題提出などのプレッシャーのほうが強く、〆切日の近い科目のグループワークや、個人課題に時間を使ってしまい、WSに割く時間が毎回の発表に最低限必要な資料を作るだけまで削られてしまうと言うことになりがちでした。

もっともそのようなことを続ければ、当然のようにそのツケが回ってきます。9月にはWSの中間報告会、12月には最終発表会が待っており、1月の中旬にはWSレポートを提出しなければなりません。よって、自分の場合は上記のそれぞれイベントの直前数週間は朝から晩までそれにかかりきりになっていました。

特に最終報告会は、そのときの発表の出来具合によってグリーン、イエロー、レッドの通 知がなされ、レッドだとかなり強い警告の意味を持ち、またWSレポートの〆切はかなり厳格に守られるために、そのタイミングに間に合わなければ即留年となってしまいます。

押し寄せる締め切りへの激しいプレッシャー。自分の場合は、11月から1月の中旬の生活のほとんどはWSレポートの作成に充てられていました。そして、そのピークは最終報告会の直前にやってきました。

自分のテーマは、企業が持つ非決済目的の金融資産の保有が企業価値にどのような影響を与えるのかを、非決済目的の金融資産が総資産に占める割合と企業価値の関係から分析していくというものでした。仮説の実証プロセスではSPSSという個人で購入するには効果 なソフトを学校で使用せざるを得ない状態で、また、学校と自宅との往復の時間がもったいないと切実に感じるような時期もあり、学校に泊り込んでWSレポートの準備に当たるということもありました。

ピークの時期の状況を説明すると、夜も更けてくるといつものように学校に残っている皆で出前をとり、そのまま夜中まで作業を続けて、疲れがどうしようもないレベルに達するとMBAルームと呼ばれる部屋のソファで眠って、朝になって登校してきた学生の物音で目が覚めて、論文作りの一日がまたはじまるというような感じでした。

こうして書いた文字面だけを読んでいると悲壮な雰囲気がしないでもないですが、その渦中にいる時は意外にも充実感に溢れていて、むしろ楽しかったような気すらしていました。「共に外部からの激しいプレッシャーを受けると、その集団の凝集性が上昇する」というのが組織論のセオリーの一つとしてあったと思いますが、一人ひとりの研究のテーマは異なるとは言え、WSレポート言う共通 の課題に向かって学校で日夜取り組んでいる仲間が多くいたことが自分の心理的な支えになっていたのだと思います。

また、こうして一緒に取り組んでくれる仲間がいたことは、心理面だけではなく、論文の作業を進めていく上でも非常に大きな助けになりました。実際に前述のSPSSの使い方を教えてくれたのも、また指導教員との度重なるやりとりで混乱した時にブレインストーミングの相手になってくれたのも、MBAルームと呼ばれるたまり場で一緒にWSに取り組んでいた仲間だったからです。

WSレポート作成のプロセスにおいては、締め切りへの心理的プレッシャーと体力面 で辛い面もあったのは事実です。ですので、「もう一度、書きたいか?」と聞かれると、答えに詰まってしまうというのも正直なところです。ただ、振り返ってみると、自らの知識・スキルを磨くという側面 からも、また学生生活をより充実させるイベントとしても思っていた以上に良い機会であったと言うのもまた事実であったと今は思っています。

こうして、迎えたWSレポートの〆切日、1月16日。15時〆切の3時間前になってから殆どの学生が駆け込んでいました。かく言う自分も、論文の製本を済ませたのが前日、そして同時に提出しなければならない論文の要約が当日の出来上がりだったのでかなりギリギリのタイミングでした。

WSレポートを提出した日の夜は、次の日の朝に始発電車が動き出すまで学生の皆で飲んでいたのですが、その時には自分の胸に同居した気持ち、つまりWSレポートという一大イベントを成し遂げたという充実感と学生生活も事実上終わりを迎えつつあるという寂しさの両方が、心の中に溢れていたのを今でも覚えています。

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