Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.19 スタンフォードGSBの特徴

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他校のMBAプログラムでもそうであろうと思うが、スタンフォードビジネススクールへは、合格者で進学先を選んでいる方や、これからMBAプログラムへの出願を考えている方が毎月大勢訪れる。我々在校生は「キャンパス・ビジター」と呼んでいる。実際にこっちに来て授業参観、キャンパスツアー、在校生との交流などに触れることによってスタンフォードの校風や環境、MBAカリキュラムの質などを自分の目で確かめ、進学先或いは受験校選定の為の判断材料とする。

私自身は資金的及び時間的余裕が無かった為、キャンパスビジットを経験することなく入学してしまったが、同じ出願プロセスを体験した人間として彼らの置かれている心境はよく分かる。スタンフォードには日本からのビジターの方はインターナショナルの中でも多い方で、ピークの12月から2月等、週によっては4、5人の方が訪れる。

我々日本人はランチを緒に食べながら質問に答えたり、授業参観の手配をしたりするのだが、そこで一番良く聞かれる質問は、「スタンフォードGSBの特徴、及び強み弱みは?」と「それに対する入学前のイメージと実際入学後体験したことの間にギャップはあったか」の二つだ。よく聞かれるのでこのトピックについて最近自分でもよく考える。

自分ではスタンフォードGSBでMBAの教育を受けえることができていろんな意味で非常に良かったと思っているのだが、ではスタンフォードGSBの何がそんなにSpecialなのか。主観的にではあるが自分なりにスタンフォードの特徴を他校のMBAプログラムと比較して捉えてまとめてみると、多分以下の三点が挙げられると思う。

● カリキュラム:General management focus
● 環境:Technology & Entrepreneurship
● 学生のカルチャー:Social and collaborative culture

まず最初のGeneral Managementだが、スタンフォードGSBには他校にあるような専攻やconcentrationと呼ばれる、ファンクション別や業界別にフォーカスを当てたカリキュラムがあまり無い。強いて言えばGlobal Management Programというのがあるが、現時点ではマネジメント系のクラスの半分位がこのCertificate用のrequirementを満たすので、専攻とは呼びがたいものになっている。

勿論選択科目の組み方によって自分の興味分野に沿ったカリキュラムを組むことはできるようにはなっているが、最低でも一年生のコアプログラムでは、exemptできた人を抜かしてだが、どの生徒も同じ8-10科目の必修コア科目を取らなければならない。

このある意味rigidなコアカリキュラムは、マーケティングやファイナンスに特化して学びたいという人には向かないかもしれないが、逆にこれでマネジメントのベーシックスは相当鍛えられると思う。

もう一つ、マネジメント特化という意味でGSBが強いと言われているのにOB(Organizational Behavior)系、日本ではいわゆる「ソフト系」と言われる種類の授業がある。私は、コアで取らされたOrganizational Behavior、Organizational Design、Human Resourcesの三つの他に今学期High Performance Leadershipというクラスを取ったが、このクラスで学んだ事は他のどの授業で学んだ事よりもValuableだと感じた。

来期は更にGSBで一番の名物授業と言われているInterpersonal Dynamicsという授業を取る予定だが、この授業の定評もかなり高く、卒業生が卒業後に一番役立ったと思ったクラスという投票で毎年ナンバーワンを誇るらしい。これ以外にもAdvanced LevelのLeadership系のクラスが何種類かと、Negotiation、Coaching、Organizational Change等、OBの選択科目は豊富である。これはやはりソフトサイドのディベロップメントに重点を置くGeneral Managementフォーカスの表れだと私は思っている。

Specificな業界やスキルについての知識はわざわざ教授に教えて貰わなくても、本で読むか人に聞けば独学でも学べる。逆に学校側がMBAプログラムで身に付けさせたいのは知識では無く、General managementに必要な問題解決能力、学習能力、Interpersonal skill、Leadership skill等。これらをトレーニングすれば知識はそれぞれの生徒が自分の好きな分野で自主的に学ぶであろうから教える必要は無い、というのがGSBのカリキュラムの根底にあるスタンスであると思う。それゆえ逆に言うと実践的な科目が少ないような気もする。

マーケティングやファイナンス系の授業の種類は他校に比べて決して豊富とは言えないし、教授陣も、実務的というよりはどちらかというとセオリーを教えたがる人の方が多い。実際私も就職に必要な知識は授業でというよりは、それぞれの業界から来たクラスメートから手ほどきを受けて学んだ事の方が多い気がする。その分GSBからの教育は、問題の捉え方やコミュニケーションの仕方等、人間としての基本的なcapabilitiesの訓練として捉えているので、個人的にはgeneral management educationに満足しているが、もっと掘り下げて特定した業界の知識やスキルをクラスルームに求める人にとっては逆につかみ所が無く、拍子抜けするところがあるかも知れない。

続けてGSBの特徴第二番目は、シリコンバレーから来るテクノロジーとアントレプレナーシップ色が強い環境というのが挙げられる。Cisco、Yahoo!、Googleを輩出したキャンパスとして、またそれらをback up したベンチャーキャピタリストの母校として、テクノロジー・ベンチャー・コミュニティとスタンフォード大学との密接な関係というのは否めない。そういった結びつきは必然的にFacultyや教材にも現れてくる。

まず教授陣には、Googleの現CEOであるEric Schmidt、Ciscoの元CEO&chairmanであるJohn Morgridge、Veritas SoftwareのFounder及び元ChairmanであるMark Leslie、Intel の元ChairmanであるAndy Grove等が名を連ね、ケーススタディやゲスト講師にもそういった系統の人が多い。今学期も、Juniper NetworksのCEOであるScott Kriens、PalmのCEOであるEd Colligan、Benchmark CapitalのFounding PartnerであるBruce Dunlevie 等が講師に来た。

私はBusiness2.0という雑誌を講読しているのだが、変な話この雑誌を読んでいると毎号必ずFacultyかクラスに来たゲスト講師の誰かがどこかの記事に出て来る。ケースを元にクラス・ディスカッションをした後にケースに出てきた経営者本人が登場して当時を振り返り実体験をシェアしてくれるというのはそれだけで授業としてはかなり贅沢だが、企業がベンチャーから大企業へと成長していく過程をマネージした経験したという人であればなおさらラーニングは深くなる。こういった企業家精神を持った経営者へのExposureが他では得がたいものであることは確か。

ただこれはこれで凄いのだが、視点を変えると、シリコンバレー色が濃いということのデメリットもある。生徒の三割が外国人であり、「グローバル・マネジメント」が重視される時代において、扱うケースがテクノロジーやバイオ・ベンチャーに偏りすぎてはいないか、という意見がある。グーグルやヤフーにあこがれてスタンフォードに来る人も沢山いるが、そうで無い人もいるし、ロー・テックな業界のケースをやりたい人だって沢山いる。

ローカル地域の特性といえばそれまでだが、Diversityが問われるMBAプログラムにおいてはやはり特定の業界色が濃いというのはあまり芳しいことではない。2005年の卒業生の50%弱が西海岸に就職するという統計もある。ちなみに学校側もカリキュラムの多様性は認識しているらしく、現在、教授陣のリードの元にカリキュラムの大幅な見直しが進められている。

最後に学生のカルチャーだが、これは私の偏見かもしれないが、スタンフォードの学生は他の学生に比べて、人間臭く「ウェット」な人種が多いような気がする。Social Awarenessが高く、collaborativeな人が多いので、助け合いの精神が旺盛でありまた社会的活動等も盛んだ。例えば翌年入学してくる合格者にお祝いの電話をかける Admit phone-a-thonというものが毎年行われるが、これはAdmission officeの人とは別に在校生主導でやっている活動である。

同じく学生主体の共同サポートプログラムには他に、科目別に出来るクラスメートがstruggleしているクラスメートにアカデミック・サポートを提供するpeer tutoring、クラスメートから募金を募ってノンプロフィットやSocial Sectorでサマー・インターンするクラスメートのFinancial SupportをするStudent Managed Internship Fund等がある。資本主義社会でのビジネスという言葉には競争の原理を想像する人も多いと思うが、私はビジネスでのリレーションシップも個人の損得勘定では無く思いやりと信頼の上で成り立つと思っているので、こういうcollaborationから生まれる価値に重きを置くGSBのカルチャーはかなり好きである。

個人的に勉強、就職、人間関係においてもクラスメートにお世話になる事が多い方だったせいもあるが、GSBでは「Reciprocity」というコンセプトを肌身で感じることができ、卒業後も社会、communityや周りの人間にgive-backしたいという意識が強くなった気がする。

ここまで書いて改めて考えてみたが、やはりスタンフォードGSBの学校と学生はある種独特のカルチャーを持っているような気がする。その分良し悪しもはっきりしており、好き嫌いも分かれるところだが、学校自体に濃いカルチャーが存在するという事自体はMBAの価値と差別性が問われるようになった近年においては貴重な存在なのではないかと思う。

かなりフランクに書いたがこのレポートを読んでスタンフォードGSBに行きたいと思う人が一人でも多く増えると良いと願う。

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