Campus Report 2005

小林 大祐 to The Kellogg School of Management, Northwestern University(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.11 勉強に打ち込んだ春学期

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春学期が終わった今、このレポートを書いています。今学期は前学期、前前学期と違って、勉強ばかりしていたように思います。というのも、今学期は比較的チャレンジングな授業が多い上に、内容が面白くついつい予習復習や教科書の読み込みに時間をかけてしまったからです。エバントンのベストシーズンを充分満喫できなかったのは少しもったいなかったですが、悔いはありません。

さて、今回は春学期の残りの3科目について説明したいと思います。

<Finance II>

必須科目であるFinanceIの続編になります。この授業からは必須ではなく、ファイナンス専攻での選択科目の一つになるのですが、内容としてはファイナンスの定番教科書であるブリーリー&マイヤーズ著の『コーポレート・ファイナンス』の後半ですので、現代コーポレートファイナンス論の基礎を学ぶ意味では必須授業と捉えておいた方が良いと思います。

内容としては、
・負債によるメリット・デメリットの検討
・IPO
を通じて資本調達の方法論を学び、

・負債による節税効果を考慮した上での資本コスト(WACC)の算出
・リアルオプション
を通じて投資判断の方法論を学び、

・配当政策、自社株買いの考え方
を通じて収益分配の方法論を学び、

・オプション、デリバティブ商品の基礎
・コーポレートガバナンス
を通じて財務リスク管理の方法を学ぶ

ということで、ここにきてやっと現実の企業における財務担当者の実務範囲をカバーすることができます。またFinanceIでは、ポートフォリオ理論とCAPM理論に代表される「市場は効率的である」という仮説を逸脱しない範囲に留まっていたのに対し、FinanceIIでは実際に市場は完全には効率的でなく、経営者と投資家の間の「情報の非対称性」や、経営者と投資家の利害が一致しない「エージェント問題」などの存在によって歪んでいる事を前提とした財務判断の方法を学んでいきます。内容的にはかなり広範囲に及び、また、教科書には書いていない新しい考え方(国債にもシステマティックリスクは存在する、など)も学んでいくので、知的に面白く実務への示唆も大きい一方で、だいぶ骨の折る授業でした。

<Venture Capital and Private Equity>

「ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティ投資」という、ファイナンスの選択科目ですが、私が興味を持っている分野の一つとして、早速取ってみました。

・ファンド組成
・ディールソースの発掘
・デューデリジェンス
・バリュエーション
・投資契約を結ぶ上での様々なリスクヘッジ方法
・投資先のモニタリング
・エグジット(IPO、売却など)

という、事業投資ファンドが行っている一連の実務を、レクチャーとケーススタディを元に勉強していきます。この授業の教授はシカゴで自身のベンチャーキャピタルを運営している実践家であり、彼によれば「投資について授業で習えることは、必要な知識と経験の10%にすぎない」と言っていましたが、確かに勉強してみると、例えば投資ファンドが行う財務計算はファイナンスの授業で習うほど厳密ではなく、むしろ単純すぎるぐらいであるものの、一方で提案や経営者の質を見抜く審査眼磨きや、契約内容によるリスク管理の妙など、実務を通じて鍛えられる職人技的な部分がとても多いことが分かりました。

またこの授業ではアメリカの投資ファンドの歴史や現状などの概論も扱います。アメリカには現在数千もの事業投資ファンドが存在しているそうですが、一般 にVCという言葉で想像されるようなベンチャー設立段階(シードレベル)を専門にするファンドは全体の数%にすぎず、IPO直前のレイターステージファンド、苦境にある成熟企業の融資を担うメザニン(中二階)ファンド、破綻企業のバイアウト(買収)ファンドなど、多種多様なファンド形態が存在しています。こういった成熟した米国の投資ファンド業界は、日本のファンド業界の何十年後の姿を映し出しているのかもしれないと、大いに刺激を受けました。

<Operations Management>

「オペレーション管理」は春学期唯一のコア科目になります。この授業のタイトルは一見地味ですが、大学で経営工学などを学んだことのない人や、メーカー出身でない人には、すごくオススメの授業だと思います。

・スループット(時間当たりの生産数)をどう上げるか?
・在庫をどう減らすか?在庫のメリットとデメリットは?
・顧客満足度と利益を両立するための最適なサプライチェーン構造は?
・品質モニタリングと、継続的改善の方法は?

など、言葉にするとやはりイマイチなのですが、ケース問題では生産のボトルネックを発見し解消の方法を考えたり、時には工場をシミュレーションしたゲーム(紙を切って折り紙の家を組み立てるスピードを、チームで競争する)で習ったことを復習したり、またエクセルでのモデリングし統計のテクニックを利用して最適な在庫量を計算したりと、擬似的な問題解決のプロセス体験がなかなか楽しい授業です。

上記は全てグループ単位で行い、ケース問題は毎週レポート提出があるので非常にワークロードの重い授業でもありますが、どうやらこういった発想や作業は日本人向きらしく、自分がチームの中で活躍できる場面 も多かったと思います。

有名なGEのシックス・シグマやトヨタ生産方式も、オペレーション理論の中に位置づけて勉強できることですっきり消化できます。一方で授業で習ったことを自分の勉強や仕事の進め方の改善に利用してみたり、またファーストフードやスーパーで並ばされたときにその店の業務プロセスの問題と改善点の発見を試みたりと、現実世界でのものの見方が変わってくるのも楽しいです。

<ケロッグの様々な講義形態>

今学期のワークロードが重かったもう一つの理由としては、前学期は「ナイトクラス」が2つ合ったのに対して、今学期は一つもない事がありそうです。

ケロッグの昼間の授業は、1科目に付き1.5時間の授業が月木か火金の週2コマが基本ですが、夜間に開講されるナイトクラスというのもあり、そちらは6時30から9時30までの3時間、週1回となっています。どちらも同じように単位認定されるのですが、ナイトクラスはどちらかというと業界やテーマを絞り込んだ特別講義的な内容の授業が多く、また週1回というペースのためか予習復習のワークロードも若干少なめのような気がします。

またケロッグでは、シカゴダウンタウンの高級ショッピングエリアであるマグニフィシェントマイル脇にも校舎があり、そちらでも授業が開かれています。授業自体は社会人MBA向けのものですが我々2年制MBAの学生も受講することが出来ます。エバンストンキャンパスとの間には無料のシャトルバスも走ってますので、社会人学生の人脈を広げたい人や、定期的に大都会の空気を吸いたい人には良いかもしれません。

では、また来月!

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