Campus Report 2004

竹中 重人 to Tuck School of Business at Dartmouth(全20回)

MBAホルダーへの道

Vol.18 振り返り(1) 留学の損得勘定

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先日、MBAでの全ての授業・試験を終えた。あとは卒業式を待つのみである。最後の授業となったコーポレート・ガバナンスのクラスではグループでプレゼンテーションを行ったが、残念ながら2年間で最悪の満足度だった。色々な事がわかるようになって自分自身に対しての期待値が上がっているのに対して、もう最後だからということで内容的に妥協したのが低い満足度につながった。清々しい気持ちで最後を飾ることが出来なかったのは残念だが、最後に一つ苦い思いをするのも悪く無い。今回の事を教訓として、二度とこのような後味の悪い妥協はしないようにしたい。

さて、もうすぐこのレポートを書くのも終わりとなるので、これから数回にわけてMBA生活の振り返りをしたいと思う。。今回は、自分の留学の損得勘定について。

金銭面の評価は(多分)プラス

まず金銭的な部分では、多分留学した方が得だったと思っている。これは先日宿題を前に現実逃避してエクセルで生涯年収モデルを作成してモンテカルロ・シミュレーションを回してディスカウント・キャッシュフロー法で計算した結果 なので、一応何となくのイメージで言っている話ではない。当然留学期間中の所得に関する機会損失も考慮している。

自分の場合はコンサルティング会社に就職を決めたため当面の年収は増えそうだが、数年後どうなっているかは正直よくわからない。ただ今後数年間は実現しそうな年収増加だけでは学費・機会損失などのロスを埋めることは出来そうもない。結局、殆どの人にとって留学の金銭的価値の計算をする上で最も重要な予測は、ロングレンジでの年収期待値が増えたかどうかの判断だと思われる。自分としては、この点についての自分の留学の影響をポジティブに捉えている。

当然だが長期的な年収増につながらない留学であれば、仮に卒業後数年だけ給料の良いと言われる外資系のコンサルや投資銀行などに勤めても、金銭的なソロバン勘定がマイナスになることもあり得る。そういう好ましくない結果 を可能な限り避けるには、職業人としての本質的な価値を増大させる留学をする必要があるという、至極真っ当な結論になるのではないだろうか。

精神面は大きくプラス

次に精神的な面を言うと、得たものは非常に大きい。やはり外国に来て世界中から集まる優秀なクラスメート達とやり合うという経験から得られるものは多い。優秀な人たちとチームを組むことで、問題解決へのアプローチや共同作業の進め方など、非常に多くを学んだ。また一つの会社の中でしか計れなかった自分の能力が色々な尺度で見られるようになったので、自分の良い部分も悪い部分も前より確信を持ってはっきりわかる。一応少しは自信もついたのでは無いかと思う。

ちなみに精神的な面で自分として最も大きかったのは、自分の日本人的な思考スタイルを認識することが出来た点だ。日本人同士が「なんとなく」でもある程度分かり合う事が出来ると言うことはコミュニケーション上の大きな利点だが、普段からこの利点の恩恵に浴しているが故につい「なんとなく」わかったような気になってしまうリスクも非常に高いと思う。この日本人的曖昧な思考様式が自分の中にも非常に強く存在し、時には考えを深める妨げになっていた事がよくわかった。

留学を通じてこの日本人的曖昧さがかなり排除されるようになったメリットはビジネスパーソンとしては大きいと思う。以前なら見過ごしていたであろう問題に気付ける事が多くなったため、結果 として問題を認識し考えを深めるきっかけをより多く掴めるようになった。最近得た様々な知識と相まって、今では新聞を読んでも本を読んでも突っ込みたい部分がたくさん出てくる。ここら辺は、普通 に日本にいるとなかなか気づけない部分ではないかと思う。ただし日本的曖昧さの利点は損なわないように気をつけたい。

精神面に関しては、全く新しい環境で2年間自分なりに頑張ってきたので、これは大きなプラスとなったのではないかと思う。

知識面もプラス

「MBAの知識だけなら本だけでも何とかなる」という意見を時々聞くし、実際その通 りとも思うが、敢えて2つの面で反論したい。一つは、本で読むのと実際の授業に出るのとでは理解のレベルに雲泥の差があるということだ。Tuckの授業では特に一年目はまず自分で数時間の予習を行い、さらに毎回グループで数時間議論してから授業に出席していた。このプロセスを経て理解した内容と、一人で本を読んで理解した内容には大きな隔たりがあると思う。

もう一つは意志の問題だ。毎日の授業・課題無しに、日々の時間の合間を縫って広範な範囲に渡る勉強を着実に進められる人が一体どれほどいるというのか? 読むべきテキストをみつけるだけで一苦労だし、テキストの中で重要となる概念がどれかも、ある程度知識がないと判別 が付かない事も多いだろう。留学を終えつつある今ならば、逆に今後の勉強は書籍等でも何とかなりそうな気もするが、そうでない状態でどんなに懸命に本を読んでも、自力では到底今の理解レベルまでは到達しなかったと思う。

というわけで、「留学しないで、でも2年間すごく頑張って勉強してた自分」を想定しても、知識面 では留学の方が上だったと思う。ただし2年間実務を離れたことで得る事ができなかった知識というのも当然あり、それがどのようなものであったかを推測するのは非常に難しいのだが・・・。

「人脈」は評価保留

最後に人脈について。確かに卒業後も世界各地に泊まり歩ける友人がいるというのは楽しい事だが、果 たしてそれが留学の一要素として評価するだけの具体的価値を生むのかは、自分としては定かではない。きっと目的意識を高く持って具体的な将来の国際的ビジネス・パートナー候補をたくさん見つけたような人もいるのかも知れないが、自分にはそういう意識は無かったので、残念ながら深くそういう話をした友人はいない。

日本人に限っても、確かに受験勉強を始める前と今とを比べたら格段に今の方がバラエティに富んだ優秀な友人を持っているが、これも留学しなければ得られないものであったかはよくわからない。むしろ最も意味のある人間関係を築く機会が多かったのは、自分の場合は受験期間中であったような気もする。ただしアメリカでの日本人MBA留学生の輪は結構狭い世界で、殆どの日本人留学生と直接の知り合いか、あるいは何名かの共通 の知人を持っていると思う。この小さい集団の中から今後大きく成功する人が何人かは出てくると思うので、今から結構楽しみではある。

まあ、今の時点で「MBAで得られた人脈」について現時点で評価を下すのは難しい気がする。具体的な意味があるものに育つかもしれないし、結局大して意味が無いかもしれない、というのが今の感触だ。

結論としては、現時点では留学をしたこと、留学で得られたことに関しては非常にポジティブに考えている。2年間の留学生活も幸せなものだった。ただし、これらの経験を本当に意味のあるものにするためにも、これからの努力こそが大事だと思っている。

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