Campus Report 2004

相野 勇雄 to Hitotsubashi University Graduate School of International Corporate Strategy(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.19 修了後の今から振り返って思うこと(最終回)

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【HMBAでの2年間を振り返って】

卒業してから、早や三ヶ月余り。もともと働いていた会社(違う職種ではありますが...)に戻ったためか、職場の環境にはすぐ慣れました。オフィスで同僚と、たわいもない話に興じている時にはHMBAで過ごした2年間がまるでなかったことのように感じるときすらあります。

ただ同じ場所にいても、仕事をしていると、そこにいる自分自身はかつての自分自身とは確実に違っているとはっきりと感じることができます。例えば、被合併会社の企業価値を下げるためにWACCやマルティプルの調整をしてみたり、新たに進出するインドの映画市場の規模や流通網を調査したり、果てには第三者に売却する子会社の売却価額と付随する非競合契約や販売代理店契約の価値のバランスを考慮に入れてネゴの枠組みを考えてみたり。

いずれも財務諸表をただ作ることしか出来なかった以前の自分のままでは完遂し得なかった要素が多く含む仕事を今は手がけています。そういった観点からすると、「会計+α」のシゴトができるようになるという進学当初の目的は現段階でもある程度は達成できているのではないかと思っています。

今、このタイミングでHMBAでの2年間を振り返ってみて思うことは、やはり「進学してよかった!」ということでしょうか。

まず思うことは、経営のスキルセットを一通り、しっかりと学べる機会があって良かったということです。例えば、自分が働いているような会社、つまり上場していても小さな部類に入る会社では、大会社のように仕事が部署によって細かく分割されるというようなことがありません。

ですから、前述のように事業戦略を立て、市場規模と流通網をチェックして、プロジェクトのファイナンスと税務の側面までカバーするということが一部署(事実上、一人?) の人間に要求されます。今はそれが仕事のやりがいの一つ源であるように感じています。ですが、以前の会計しか知らない自分がそのまま今のシゴトに移っていたら、不完全燃焼のままオロオロしていただろうなぁと思うことが度々あります。そういった面からすると、今の自分にとっては経営について幅広く、且つ体系的に学べる機会があったことは価値があったことのように感じます。

次に思う進学して良かったこととは、(当たり前ではありますが...)勉強をする時間を好きなだけ確保できたことでしょうか。もし仕事を続けていたら、どうしても目の前の仕事に追われて、勉学がおろそかになっていたような気がします。事実、卒業後も専門学校に通っているのですが、シゴトに追われて課題を高いレベルに仕上げるどころか、当日のスクーリングの時間を確保することさえもままならないからです。

HMBAでの2年間を思い出すと、勉強だけでも寝る時間が足りなくて辛いことが何日もあったわけで、仕事をしながらあれだけの勉強量をこなす時間を確保するのは絶対に無理なことでした。そういった意味では、学ぶことだけを考えていればよい時間を十分に持てたことは非常に価値があることだったのだなと働くようになってから改めて感じています。

もう一つ自分にとって良かったと思えることは、20代後半という進学のタイミングでしょうか。正直、学習効果を上げるためにはもう少し遅くても良かったと思う部分もありました。実務での経験が深いほうが学ぶときに「なるほど、あれはそういうことだったのか!」という心の中での引っ掛かり生まれる機会がより多くなると思うからです。

ですから、社費留学で還るべきポジションが保証されていたならば、進学は30代の後半になってからでも、良かったように思います。ただ、自分の場合は、(今は元の会社に戻っているとはいえ)私費での進学だったため、今後の転職の可能性とのバランスを考えるとこのタイミングで丁度良かったのではないかと思います。

最後に遭えて、2年間でもっと得たかったものを挙げるとすれば、やはり英語力でしょうか。独力で英語力を磨いているメンバーもいましたが、コースを漫然とこなしているだけでは、英語に触れる機会は殆どないからです。これは入学前から分かっていたことで、ないものねだりをしているような気もします。ただ、そうは言ってもこの点においては海外MBAとの差を就職活動の機会で感じることが多かったというのもまた事実です。

※...純粋に英語力の観点からは上記のように書きましたが、それでも総合的に言えば(少なくとも自分に関しては)日本語で授業が行われるMBAが適当だったように思います。自分も日本人の平均からすれば、英語もそれなりに理解するほうだとは思っています。

ただ、部屋の書棚を見返していて思うのは、在学中の2年間で読んだ本を全て英語で読んだとして、今、理解しているのと同レベルの理解を得られたかについては自分自身でも疑問に思います。また、グループワークにしても日本語で行ったのと同様の成果を、日本語以外の言語で討論をして得るようなことはできなかったというのも、残念ながら自分にとっては事実であったように思います。

【これから進学を志される皆様へ】
将来的にどのような仕事をしていきたいかがMBAに進学するかどうかを決める上で、重要な要素だと自分は思っています。MBAで得られる知識は、専門的な深い知識というよりは、経営全般に対する幅広い知識。ある程度、経営全般について考える機会が得られるポジション、職種を目指しているのであればMBA進学というのは良い選択だと思います。

逆に自分が既に専門的に手掛けている分野で技を更に磨きたいと思っているのであれば、(H)MBAは必ずしも良い選択肢ではないように自分は感じました。確かに多くの国内MBAではゼミ(HMBAではワークショップと呼ぶ)があり、専門性も追求できるように一定の配慮はされていると思います。ただ、自分を例にとれば「会計」と名の付く授業はあったが、実務で身に付けてきた以上に仕事で役立ちそうな知識・経験を、少なくとも会計関連のコースワークの中からは得られたという気はしていないというのが正直なところです。(もっとも、会計の隣の分野?にあたる企業価値評価・コーポレートファイナンスでは得られものは多くあったとは思いますが...。)

それから、実際に進学に当たって、会社からの補助も受けずに特にフルタイムのMBAを目指される方にとっては、資金面は非常に重要な一面かと思います。(実際に自分も進学前は相当悩みました。) ただ、HMBAに関しては、現時点で貯金がなくてもキャッシュフロー面からは進学は十分に可能かと思います。

2年間の学費は入学金を入れても150万円にも達しません。そういった面では、海外のMBA、また国内のMBAでも私立と比較すれば、かなり資金負担は軽かったと実感しています。一方で、国内の進学であれば、国民金融公庫と日本学生支援機構の奨学金制度をフルに活用して、700万円強の資金を調達できます。その金額があれば、「2年間の学費」+「一人分の生活費」ぐらいは賄えるのというのが自分の感覚です。

それより難しいのが進学によって金銭的にリターンが得られるかどうかという点です。学費が安いとはいえ、2年間の給与所得という機会費用が通常は発生するので、HMBAへの進学が誰しもにとって短期間に十分なリターンをあげられる選択肢であると断言するには無理があるような気がします。

ただ一方では、現状のような転職市場が活況で、転職時に一定度のリスクをとる覚悟が本人にあればですが、5-10年程度のスパンで投資コストを回収するようなポジションを世の中で見つけることも十分に可能だと今回の転職活動を通じて思いました。(もっとも今のような好調な外部環境がどれだけ続くのかは分かりませんが...)

もっとも最近は、MBA進学がそもそも金銭的なリターンを求める「投資」であると考える必要は必ずしもないのではないだろうか? とも思っています。もちろん、結果的にMBA進学という行為が金銭的なリターンを生むような適切な投資になれば好ましいことには違いはありません。ただ、一方ではMBA進学を「消費」として捕らえる考えがあっても悪くはないのではないかと思います。経営という分野で知的好奇心を好きなだけ追求できる時間と環境の中で、グループワーク等の共同作業を通して、多くの友人達と、学ぶという行為を通して自身が成長していくことを感じられるような喜びがあったからです。

それら全てが将来的にお金を生む源になるかどうかは分かりませんが、例えそうならなかったとしても、少なくともそれを得た自分にとっては払った金額には見合うようなものを十分に在学中の2年間から得たような気がしています。(もっとも、金銭的なリターンの追及を止めるつもりも今のところはありませんが・・・。)

卒業後の現時点から振り返って思うことは、進学によって生じるかもしれないと想定していたリスクの中には実際には思い過ごしでしかなかったことが多くあり、一方では期待もしていなかったのに今となっては貴重と思えるものを多く得られたなぁと言うことです。2年間あまりに渡って書いてきたこのレポートを通じて、それらの気持ちや経験をうまく伝え切れていない部分もあるかとは思います。
ただ、今、MBAへ進むことを迷っておられるようでしたら、"思ってるよりも、その選択肢は悪くないよ。"というメッセージを添えつつ、このレポートの終わりとさせていただきたく思います。

2年もの長きにわたり、ご拝読頂き、ありがとうございました。

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