Campus Report 2005

能村 康弘 to Samuel Curtis Johnson Graduate School of Management, Cornell University(全15回)

MBAホルダーへの道

Vol.8 投資銀行でのサマーインターンシップ

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投資銀行でのサマーインターンシップでの忙しさに追われる毎日で更新が滞っていましたが、先日やっと12週間のインターンシッププログラムを終了しました。最初の1週間はNYの本社にて集中トレーニングを、その後は東京において提案書作成、モデル作成、エグゼキューションサポートなどを行い非常に密度の濃い、かつ勉強になるインターンシップ期間を送っていました。

投資銀行業務は、コンサルティングと並んでMBA学生の卒業先の進路として非常に人気が高く、また競争率の高い業務ですが、コンサルティングと投資銀行業務の違いが明確な人は意外に少ないというのが正直なところだと思います。コンサルティングと投資銀行、ともに経営に対するアドバイザリー業務で、実作業はプレゼンテーションを作成しプレゼンテーションを行い、クライアントをマネジして改革の支援をするという点においては非常に似通った業務といえると思いますが、もう一段踏み込んで比較した場合、具体的に何が異なるのかについて明確に捕らえるのはなかなか難しいと思います。

私は今回の投資銀行におけるサマーインターンを通して、投資銀行の業務及びコンサルティングとの違いがある程度見えてきたと思います。そこで本日は、私が感じる、このコンサルティングと投資銀行業務における視点および実務内容の違い、求められる素養の違い、そして、共にハードといわれる業務環境の違いについて皆様に報告していきたいと思います。

業務における視点および具体的な業務内容の違い:

最も大きな違いは、コンサルティングは内科的視点、投資銀行は外科的視点で企業を見ているという点ではないでしょうか。コンサルティングでは、企業の内部活動が円滑に回るための事業施策を立案する、つまり、中長期的な視点で全社戦略・事業戦略立案、業務改善、組織変革、IT導入の支援を行うこと、もう少し単純な言い方をすると、B/SのAssetサイドとCurrent Liabilityの構成要素を見直し、PLにおけるEBIT(営業利益)を中長期的な視点で最大化することが主な業務であると感じています。

一方投資銀行はというと、企業活動を外部的視点で見ているという印象を持ちました。顧客企業に対してどのように資金調達させ、事業を最適化させ、創出されたキャッシュをどのように返済/配当に割り当てていくのか考え、実行支援する、つまりもっと大きな視点で企業をみているのが投資銀行業務であるという印象を受けました。

B/Sを右側から見てDebtとEquityの質及び比率を最適化させ、Assetサイドにおける最適構成について提案(M&AによるAsset購入、Assetの証券化サポート 等)、更にはPLのEBIT以降における利息支払、株主配当といった、外部からの内部への資金インフローと内部から外部へのアウトフローを総合的に考えるのが投資銀行業務だといえるのではないでしょうか。

この視点の違いが実際の業務においてどのように異なるのか、もう一歩踏み込んで考えてみようと思います。コンサルティングプロジェクトでは、たとえば、研究開発の効率化を向上させる、売り上げを上げる、調達コストを下げるなど、あらかじめ契約によって定められた特定命題に対して内科的な視点で解決へ向けたアプローチ方法を検討、提案するのが主な業務となります。したがって、プロジェクトでは、ある程度内部まで深く入り込んでインタビュー・調査を行い、関係ある課題を抽出・構造化し、解決案の優先順位と実施スケジュールを作成していきます。

契約で定められた期間とコストの中で最善の改善案を作成する必要があるため、常に作業スコープの絞込みと、顧客への引き継ぎ方法を意識した作業となります。プロジェクトにおけるコミュニケーション経路は、まず経営層の承認を得てプロジェクトをスタートして後、一気に現場レベルのスタッフまで広げ、現場レベルで問題及び解決策に対する意思統一を図り、最終的に経営層に対して話を通していく、ボトムアップアプローチがコンサルティングのありかただと思います。

一方投資銀行はというと、外部の視点から資金調達方法やAssetの再構成について提案し、その提案が実現できて初めてフィーが発生するため、何をするべきかというアクションの明確化と、アクションにより創出される効果を提示(俗に言われるPitch活動)する事が重要となります。また、提案活動が受け入れられた場合でもフィーは発生せず、提案内容が実現できてはじめて売りが立つため、当初の目的を達成するために顧客、社内関係者、弁護士、会計士などを適切にマネジメントしていく推進力が最も重要な要素といえるのではないでしょうか。

ちなみに、投資銀行のコミュニケーションのあり方は、まず経営最上部で承認を得て、順々に関連部門に話を落として行き、現場担当者レベルとともにプロジェクトを進めていくトップダウンアプローチだという印象を受けました。

素養の違い:

次に、求められる素養の違いについて考えていきたいと思います。コンサルティングファームにおけるスタッフレベルの人々は、課題を引き出し、物事を構造化し、最終的な提案書に落とし込むための問題構造化能力とコミュニケーション能力が求められていると思います。とにかくひたすら頭を使い、フワフワしたものをMECEに取りまとめ、各パーツを定性的、定量的に証明していく作業が中心になるかと思います。

今までの話しはプロジェクトを回すという作業ですが、仕事をとってくるという作業については、主にパートナーやシニアマネージャーの仕事となります。確かに、新規開拓により案件を開拓してくる場合も中にはあるものの、大半は長年の関係の中で構築した顧客とのリレーションから新たなプロジェクトを開拓してくる方が圧倒的に多いと思います。パートナーやシニアマネージャーは、顧客の今後の取るべき戦略や方向性に対する大きな視点を持つこと、また、その視点を顧客のキーパーソンと共有し、適宜プロジェクト化していく提案能力が求められるスキルといえるのではないでしょうか。

一方、投資銀行はというと、ジュニアの場合、提案作業では数値的な作業や資料の取りまとめがメインとなり、月に何本かの提案書を作成していく必要があるため、非常に速い速度で正確な数値計算を行い、提案資料を作成していく必要があります。数値のミス、日本語の単純ミスは基本タブーなため、非常にストレスのかかる環境下、短期間で正確な資料を作成するスキルが求められると思います。エグゼキューションの場合も同様、顧客及びシニアバンカーの要望、各種規制に従い適切な成果物の作成および分析作業を進める必要があるため、必要な作業を見極め、迅速に作業を進めていく能力が求められると思います。

シニアバンカーの場合、究極に求められるスキルはオリジネーション能力、つまり仕事を持ってくる力ではないでしょうか。顧客の潜在的なニーズを汲み取り、機敏に且つスマートに動き、かゆいところに手の届くかつ顧客視点に立った提案を如何に迅速にできるか、そして究極の顧客志向を実現できるかが最も重要なスキルであると考感じました。

労働環境の違い:

労働時間については、若干コンサルティングの方が短い気がするものの、それほど大きな差は無いような気がします。コンサルティングのプロジェクトでは、毎週のミーティングへ向けた分析作業、資料作成に非常に莫大な工数を使い、深夜、時には朝まで何度も何度も検討資料を作り直していきます。土日についても基本出勤こそする必要はないものの、分析方法、全体ストーリーなどについて絶えず考えているため、実質的な労働時間は週60~100時間程度になると思います。

ただし、コンサルティングの、中でも特にスタッフレベルの場合、プロジェクトとプロジェクトの合間にバケーションをとることは可能ですし、プロジェクト中であっても週次ミーティングが終了した日は夜のみに行くなど、OnとOffのメリハリがある程度付けやすい仕事だと思います。

一方、投資銀行の場合はというと、一人数件、多い人だと4~5件もの案件を一度に抱え作業を進める必要があるため、メリハリが付けにくい気がします。特にジュニアの場合、多種多様な分析作業や資料集め、パワーポイントの作成作業など、下支え的な業務で自ら手を動かす必要があるとともに、ミスが許されない作業のため非常にフラストレーションの溜まる作業を週に80~100時間行う必要があると思います。

ただし、時期によっては1~2週間程度休みを取っているのも事実で、また、年次が上がるにしたがって顧客との接点及び飲食会なども増えるため、実質的な作業は少なくなり必然と業務時間は短くなる傾向にあると思います。

非常に漠然とした内容になってしまいましたが、今回のサマーインターンを通して感じたコンサルと投資銀行における大きな違いはこんな感じでしょうか。次回は、投資銀行において扱った案件について綴っていきたいと思います。

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