Campus Report 2004

竹中 重人 to Tuck School of Business at Dartmouth(全20回)

MBAホルダーへの道

Vol.20 サンフランシスコより (最終回)

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さて、今回は最終回。勤め始めたコンサルティング会社についての雑感と業務内容について、そしてビジネススクールで得たものについて今の考えを書きたいと思う。

新しい会社の様子

実は、現在サンフランシスコの事務所で勤務している。運の良いことに、入社早々ながらアメリカのオフィスに半年ほどトランスファーをさせてもらうことになったのだ。ビジネススクール時代には、英語の上手でない留学生にとってアメリカでコンサルティングの仕事をするなどかなり敷居が高いものがあったが、あっさり実現してしまった。留学を終えた今でもやっぱり英語は上手ではないので、かなり大変なところもあるけれど、今のところ何とかなっている。一応、成長したということか。

サンフランシスコの事務所は東京よりも随分と大きい。こちらの方が人数が多いのと、一人当たりのオフィススペースが広いため、東京事務所に比べて広大なスペースを占有している。ワークライフバランスについては、やはり東京とは比べ物にならない。週末はしっかり休み、平日も連日深夜まで残業などということは全くない。こちらに来て「給料は大体一緒だけど、実は時給は全然違ったんだ・・・」という事に気付いてしまった。まあ東京オフィスも着々と労働環境の改善を行っているし、差は縮小方向だろう。

この会社に入社して思うのは、予想以上に優秀な人が揃った、そしてとても健全な職場だということ。厚かましくも入社早々に東京事務所の社員旅行に参加させてもらった(正確に言うと社員旅行初日が僕の入社日だった)が、社員同士の仲も非常に良くて、盛り上がり方がどことなくTuckに似ている。キツい感じの人が多いのではないかと思っていたけれど、全くそんなこともない。

なによりこの会社で一番素晴らしいと感じるのが、社員の飽くなき探究心ではないかと思う。経験を積んだ人たちが常により良い物を目指そうという意識で仕事をしているのが本当に素晴らしい。東京オフィスでは若手コンサルタントが定期的に集まって、アウトプットの質を上げるための方法論についての議論なども行っている(これは小さい事務所のメリットかな)。ここでの前向きな議論から、既に多くの事を学んだ。そしてこのような文化の組織で働けることが、何よりも幸せなことであると感じる。

もう一つの特筆事項が、社内に蓄積したデータベースの充実ぶり。HBSのケースなどでも取り上げられた優れものだが、これだけのものがあると新しい仕事を開始する時の能率が全く異なる。こちらはグローバル・ファームのメリットを活かした、本当に価値のあるデータベースとなっている。

コンサルティング会社での業務

業務内容的には、殆どの事について似たような経験をビジネススクール時代にしているので、戸惑いは無い。知識的にもビジネススクールで大半をカバーしており、全く知らない事は多くないので、その面ではかなり楽が出来ている。MBAの経験はこの仕事をする上でとても有用と言えると思う。一方、丸2年という時間と軽く一千万を超える投資を考慮すると、戦略コンサルティングをやるためにMBAに行くというのは(そういう人は結構いるが)、とてもROIは悪いかもしれない。置かれた状況次第だが、もしキャリアとして戦略コンサルティング会社に興味がある人なら、MBAを考える前にまずは直接入社する事を検討するのが良いのではないかと思う。

今のコンサルティング会社の経験で、仮に他の仕事をする事になった場合に非常に有用と思えるものは、これまでのところ2つある。1つは仕事のペース。ここにいる限り、非常に高いレベルで日々のアウトプットの質と量が常に問われ続ける。この厳しい環境で揉まれ続ければ、どこに行ってもそれなりに活躍できるのではないかと思わせるものがある。(ただし、もし仕事の効率の悪さをひたすら長時間労働で補うスタイルに落ち着いてしまった場合、この限りではない)

もう一つは仮説思考。本もたくさん出ているけど、適用範囲の広い超パワフルな思考ツールだ。そして、何かを考える上で徹底して仮説思考であり続けるのはかなり慣れが必要だと思う。社内にはたくさんのツールがあるけれど、多くは仮説思考を支えるための補助ツールのようなものと言えると思う。まずはこの仮説思考というやつを自分のものにすることが、新米コンサルタントとしての当面のタスクではないかと思う。

終わりに

ビジネススクールで得た一番のものは何だろうとここ数日ほど考えていたのだが、案外実は「謙虚な気持ち」ではないかと思う。僕は基本的に謙虚さとは遠めのパーソナリティであるのだが(そして今でも所謂「謙虚な人」ではないのだが)、Tuckでの経験で少し変わってきている面があるように感じる。

一つは自分の能力についての謙虚さ。知性の面では自分より上など腐るほどいるし、自分には能力的に足りないものがたくさんある。実は当たり前の話だが、ビジネススクールに行って痛感した。前職での実績には今でも誇りを持っているが、自分が相当の運に恵まれたおかげでその実績を上げることが出来たという事も、ビジネススクールに行ってから気付いたことだ。大して優秀ではない自分にとって、目の前の課題に一つ一つ一所懸命に取り組むのが成長するための唯一と言って良い方法だ。努力嫌いな自分にとっては、重要な考え方だ。

もう一つは、社会に対する謙虚さ。昔は「社会貢献なんて奇麗事だ」という考え方であったのだが、運良く留学を通じて様々な面白い体験をすることで、少し考えが変わった。どんなにいきがっても結局自分は人間社会の一部であり、この社会がもたらすものを享受して生きている以上、出来れば自分の体験を活かして社会を良くすることに貢献できたほうが良い、というのが現在の考え方だ。

もちろんMBAのカリキュラムを通じて得た知識やスキルなんかだって相当なものだが、今後継続的に且つ安定して自分の人生を豊かにしてくれるものは、実は上に挙げた精神的な側面なのではないかと、今は考えている。

以上で私のキャンパス・レポートは終了です。拙い文章に最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。また、このような場を私に下さったキャリアインキュの皆様には、心より御礼申し上げます。

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