ケロッグの夏休みは、6月の中旬から9月の中旬までの、約3ヶ月間になります。夏休みといっても、殆どの学生、特に米国での就職を予定している大半の学生は、8週間から10週間にわたる1社での長期インターンシッププログラムに参加しています。米国では、インターンは春学期の間に何回もの面接を通過して絞り込んだ少数の候補生を、事実上「試用」する期間として位置づけられており、まさに社員の一人のように、実際のプロジェクトに長期に取り組んでもらうことで、互いの相性を確認するようです。
このあたり、日本と一部アジアの国では若干事情が違うようです。日本では、いくつかのコンサルティングファームの2週間を最短として、2週間から8週間程度と長さはバラバラになります。このような実態を反映して、学生側も、短めのプログラムであれば、一つの業界で数社、あるいは異なる業界で数社という組み合わせでインターンを行うことができます。プログラムが短くなると、どうしても内容的には浅くなり、実際のプロジェクトのほんの一部しか関われないであるとか、模擬プロジェクトで実際の仕事が出来ないなどの短所も出てくるのですが、一方で、色々な会社の社風を比べて見たり、複数の業界を見ることが出来るのは長所と入れるでしょうか。また、色々なビジネススクールから来る学生達と知り合って仲良くなれるという面白さもあります。
私の場合は、今年の夏は日本において、コンサルティングファームとバイアウトファンドの異なる業界でインターンを行ったので、経験と機会の幅を広げることを目的とした夏休みということになるでしょうか。このレポートでは、実際の会社での経験を具体的に書くことは控えますが、これからMBAに向かう皆さんに向けて、それぞれの業界で自分が勉強してきたことの何が活用できて、何が活用できなかったかなどを書き、進学後の参考にしていただきたいと思います。
まず今月は、コンサルティングファームを取り上げたいと思います。
<コンサルティングファーム>
やや一般論的になりますが、コンサルティングファームがクライアントに対して行うサービスは幅広く、課題発見~解決法の発見~解決法の導入といった異なるステージや、マーケティング戦略~ファイナンス戦略~オペレーション戦略といった異なるテーマや、金融業界からメーカーまで異なる業界を対象にしています。故に、求められるスキルも、特に若手の段階では、各テーマ・業界の専門的知識よりも、どんなテーマ・業界であろうと、素早く状況を把握し、問題を導出し、問題解決の方法を導き出すという、ジェネラルな問題解決スキルが主になるように思いました。
従って、MBA1年目で習った事で何が役に立ったかと言えば、全て役に立ったとも言えるし、直接役になったことはあまり無かったと言うことも出来るかもしれません。ある企業のある特定の課題を与えられたとしても、その課題の本質や課題に対する解への道筋を導き出す上では、オペレーション、ファイナンス、マーケティングまでの企業活動全体の中に課題を位置づけて考えていく必要があるという意味では、MBA1年目で習ったコア科目は非常に活きてきます。
色々なフレームワークやケースを勉強してますから、何か問題を見せられると、「会社の中の~のあたりがあやしいんじゃないか」とか、「業界の構造が~になってきてるんじゃ無いか」とか、確かにセンスというか嗅覚は留学前より鍛えられたかなという気がします。MBAでは個別のワザより足腰が強くなった印象です。
一方、戦略なら戦略、マーケならマーケで、学校で習ったことをワザとして直接活用できるか、というとそうでもなく、問題発見や解決の手法としては、学校でやることよりもシンプルな手続きで行っているような印象を受けました。僕が1年目で比較的こだわって勉強した統計的分析ですが、習ったレベルほどつっこんでやることはなかったです。むしろ、問題を察知するカンであるとか、問題解決のスピードや効率が求められているような気がします。
また、コンサルでの実務については、MBAではやらないこと・習わないことも結構求められるという印象がありました。
第一に、課題発見・課題解決を行うにあたって、ニュース、業界統計、企業の財務諸表など、様々なファクトをデータベースから引っ張ってきたり、あるいは顧客の声を直接足を使って店舗などに言って聞き出したりする必要がある点で、問題解決の材料が教科書・あるいはケースに書いてある学校での勉強とは異なることです。私は留学前の仕事で、戦略企画・新規事業開発などをしていたので、比較的慣れていたタスクではありましたが、コンサルでインターンしてみて、そういえば学校の授業で外部に情報取りに行く事って、MBAの1年目ではマーケティングリサーチのプロジェクトを除いてあんまりしてなかったな、ということに気づきました。
第二には、エクセルやパワーポイントを使う上でのスピードであるとか、プレゼンテーションのデザインセンスや流れ作りなどの部分は、コンサルでは大いに求められるスキルであるにもかかわらず、学校では中途半端にしかやってない気がしました。確かにこのあたりはビジネス上の問題解決能力というよりは、職業的熟達の部分に属するところではあるとは思いますが、もう少し学校で講座を作ってきっちり教えても良いんではないかと思います。
コンサルのインターンに入る方は、「外部への情報探索」「エクセル・パワポ作りのスピードとセンス」は、意識しておくと良いかもしれません。
では、次回はバイアウトファンドでのインターンで気づいたことを書きたいと思います。