Campus Report 2005

小林 大祐 to The Kellogg School of Management, Northwestern University(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.13 バイアウトファンドでのインターン

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ファイナンスの授業では、過去のレポートでも説明したように、現在価値・ポートフォリオ理論・資本コスト推定・負債比率の高さに基づく倒産コストの査定など、できるだけ近代ファイナンス理論に基づいたテクニックを習うのですが、バイアウトファンドは金融業界に属しているにもかかわらず、余りファイナンス理論に基づいたテクニックを使わない、というのが僕の印象でした。

企業価値の査定においては、ほぼEBITDAマルチプル(EBITDA=税・利子・減価償却前利益の何倍かという基準)で行われており、資本コストによる現在価値の割引や、負債比率が高まることによる倒産コストの査定などは行わずにやっています。これは、バウトファンドの投資期間が、だいたい3-6年間と短く、中長期視点での価値査定にあまり意味がないのと、その投資期間で資本構成が大幅に変化するため資本コストの決定が難しいこと、また歴史的に非公開株式投資での査定がEBITDAを元に行われており、EBITDAマルチプルによる相場観が業界に形成されていることなどによるようです。

バイアウトファンドでの企業価値査定では、ファイナンスの知識よりも、むしろ会計の知識を多く要求されるような気がします。それは、バイアウト投資では、買収した会社の負債比率を極限まで高めることで、負債減に伴って投資の価値は上がるというのが儲けの根幹になっているため、投資期間の3-6年間間で、極限まで高まった利子・元本支払いを前提にした上で不渡りを出さないようにモデルを組むというキャッシュフロー計画が最も重要になるからです。従って、キャッシュフロー計算書をきちんと作れるようになっておくこと、また財務諸表の細かい項目が何かを理解していること、日本の会計制度・税制などをある程度理解していることが重要になってきます。授業においても、中上級の会計科目が活きてくるかと思いました。

ただしファイナンスの授業でも、非公開株式投資(ベンチャーキャピタル、バイアウトを含む)に関する授業に関しては、以前のレポートで述べたようにEBITDAマルチプルによる査定や投資プロセスを学ぶことが出来たので、この授業で習ったことは直接活用することが出来ました。

また、会計・ファイナンスの知識に加えて、バイアウトファンドの場合には、買収した会社の収益率の改善の可能性の見通しを立てるスキルが、ある程度求められます。上記したように、負債比率を高めることが儲けの根幹ではあるものの、その仕組みだけでは競合のバイアウトファンドと差別化が出来ない(高い値段をつけて買収できない)ため、対象会社の収益改善がどれだけ可能かという見極めの部分が、各社の差別化(買収価格の差)の源泉となるからです。

最近の大型案件では、収益改善の可能性についてはコンサルティングファームにアウトソースする場合が増えているそうですが、それとてフィーの発生する事ですので、案件をスクリーニングする初期段階では自分である程度見められるだけの経営知識全般や商売感が必要です。コンサルのように、外部からの情報収拾に基づく仮説検証も、必要に応じて自分達でやります。そういう意味では、コンサルで求められるスキルもある程度求められると考えた方が良いでしょう。

投資銀行のM&A部門でインターンを行った友人達から話を聞いて感じたこととしては、投資銀行では企業価値の査定をファイナンス理論に基づいた比較的複雑な手法で行うなどバイアウトファンドより求められるファイナンス知識が多く、一方で収益改善の方法については比較的簡単な推定に留めていることが多いので、バイアウトファンドの方が経営全体に関する知識は求められるとうことです。このあたり、両方の業界を考えている方に参考になれば幸いです。

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