Campus Report 2005

小林 大祐 to The Kellogg School of Management, Northwestern University(全19回)

MBAホルダーへの道

Vol.16 Class Biddingが始まる

転職のご相談・お問い合わせ

経験豊富な
エージェントに転職相談(無料)してみませんか?

1分で完了無料登録・転職相談

多くの他校と同様に、ケロッグでは選択授業を選ぶのに際し、Class Biddingというシステムで行われています。これは各学年の最初に個々人にBiddingポイント(2年生は3000点)が配布され、毎学期オークション形式で選択授業を競り落としていく仕組みです。

人気科目は枠が多く用意されているので希望の科目が取れないことはまず無いのですが、同じ科目でも有名教授の枠を出来るだけ沢山取るためにはBiddingのルールを理解した上である程度の戦略性が求められるので、何日にもわたってウンウン考えたりすることになります。毎学期半ばが過ぎた頃に次学期のBiddingが始まるのですが、その前後1週間ぐらいは「来期は誰の授業取るの?」「その授業何点掛けた?」というのが生徒間のおきまりの会話になっています。

授業と教授を選ぶのに使える情報源としては、クチコミも有効ですが、ケロッグはTCEという、毎学期生徒が授業と教授を採点する制度があり、その点数が公開されていますので、それも便利です。TCEの評価の高い教授には多くの生徒が応募し、Biddingのポイントも高くなりますが、評価の低い教授には生徒がつかなくなり首にかかわってくるので、日本の受験予備校のような自然淘汰の仕組みとしても機能しているのですね。14個の採点基準には、「役立つ内容か」「説明の巧さ」といった基本的なものから「ワークロード」などもあります。ワークロードの高い授業を同じ学期に複数取ってしまうと、かなり大変になります。

では今回は先回に引き続き、2年目の秋学期の残りの授業の内容について書いてみます。

<Financial Reporting and Analysis>

選択の会計科目ですが、他のビジネススクールでは中級アカウンティングとして必修になっている事もあるMBAの定番授業です。外部の財務アナリストの視点に立って、企業が提出する財務諸表の「質」、特に報告されている利益が「正しくビジネスの実態を表しているか?」「今後に渡って持続可能か?」を見抜くという授業です。最近は財務諸表の開示事項も増えていますので、その脚注をきちんと読み込むことで、表面的な数字がどのような前提で作られているのかを明らかにしていきます。

開示事項が増えた背景には、エンロン、ワールドコムを初めとして過去の粉飾決算スキャンダルがあるのですが、そういった有名事例がケースとして沢山紹介されます。日本の会計ルールは米国式を一歩遅れて導入しているケースが多いので、ライブドアでも問題になった投資事業組合の連結基準など最近の日本の粉飾スキャンダルもこの授業で習った内容を元にその仕組みと背景が読めてきます。かつてはこの手の授業が決算のごまかしを助長するということでMBA批判にもつながったそうなのですが、最近では開示条項も増え重大な犯意を持たずして粉飾は難しくなって来ているようですね。

財務諸表をぱっと見渡したときの目の付け所も磨かれるなど、非常にMBAらしい実践的かつ面白い授業です。

<Managerial Accounting>

いわゆる「管理会計」「コスト会計」と呼ばれる会計科目です。こちらは財務諸表の読み込みのような外部視点ではなく、原価計算、ABC会計、間接部門の経費分配、国際移転価格など、会社の内部視点での数字の管理・分析の仕方を学びます。地味なようですが、製品毎の原価がわからなければ効率的なプライシングは不可能ですし、プロセス毎のコストがわからなければ効率化のポイントが見えず、間接部門のコストがわからなければアウトソーシングの価値は計れないなど、戦略・マーケティング・オペレーションにおける意志決定の礎となる情報なので非常に重要です。

例えばこの授業のケースで取り上げられていた内容なのですが、ウェンディーズの定番メニューの「チリ」は、前日焼きすぎたハンバーグを冷凍しておいて翌日再利用するために考えられたメニューなのだそうです。ケースでは、そのメニューが出来てから何十年かたち、商品毎の原価を調べてみると一見チリだけが収益性が低かった。では、ウェンディーズはチリの提供を止めるべきか、あるいは価格を変更するべきか、オペレーションの実際や原価計算の仕方の妥当性も踏まえて評価せよ、というような内容でした。

もう一つの例としては、ある会社が帳票管理の部門をアウトソースしようとしているが、アウトソース先から提示されている価格はその部門の現在の予算よりも高い。でも実際はその部門に他の間接部門(コピー部門)が提供しているサービスもあり、アウトソースすればその分もコスト削減が可能かもしれない。ということで社内のコスト配分ルールを精査して、アウトソースの本当の価値を求めよというものです。

このように他分野との関連性も高く、ミドルマネージャーレベルでの事業運営およびコンサルティングワークでは、財務諸表に関する知識よりも実用性は高いでしょう。私は新規事業の立ち上げに際し計数管理をしていた時期もあるので、当時理不尽な間接費分配ルールに憤ったことや原価管理に追われたことなど思い出し考えさせられることも多い授業でした。

<Retailor Behavior and Sales Promotion>

マーケティングの選択授業の一つで、販売のパートナーとなる小売り・流通業者サイドの意志決定のロジックを学び、それを踏まえた上で効率的なパートナーシップを組んだり、セールスプロモーション計画を立てたりする方法を学びます。いくらマーケターが意気込んで販売計画を立てても、小売り・流通とインセンティブが揃っていなければ結局物は流れないわけで、特にコンビニが台頭し小売店もM&Aが進んで流通側の交渉力が増している現在では、重要性が増してきている分野です。

授業の内容としてはPOSのデータに回帰分析を行い、投入すべき店頭プロモーションの量を決定した上で、さらにそれを実施に移してもらうべく小売店へのインセンティブスキームを考えるといった定量的分析から、小売店の視点でストアブランドの商品をナショナルブランドの商品に対してどのようにポジショニングすべきかといった定性的かつ最新トレンドの話、マイレージのようなポイントカードを導入する上で、顧客のライフタイムバリューを踏まえてどのような顧客獲得戦略をとるべきかといった戦略的な話など、充実したトピックでした。

もともとはマーケティングでならしたケロッグらしく、こんなニッチなテーマの理論も実践も知り尽くした名教授の授業で大満足。Wまたal-mart、Home-depotなどはもちろん、イギリス発のTESCOやドイツ発のALDIなどの有名な小売りチェーンや、スーパーの品揃え・プライシングの妙なども勉強でき買い物が楽しくなったのが副産物でした。

初めての方へ 私たちキャリアインキュベーションについて

転職のご相談・お問い合わせ 業界の専門分野で10年以上の
経験を持つエージェントに
転職相談(無料)
してみませんか?

あなたのキャリアに関する相談相手として、現在の状況に耳を傾け、これまでのご経験や今後のポテンシャル、
将来の展望を整理し、よりふさわしいキャリアをご提案します。

  • 転職成功者の90%以上が
    対応に「満足」と回答

    キャリアと並走して
    長期的・継続的にサポートする活動に
    多くの方から賛同いただいています。

  • 転職ありきではなく戦略的に
    状況を見極めて案件を紹介

    今後のキャリアの可能性を
    探りたい方にも希望や適性を
    踏まえて本音でアドバイスします。

  • 転職決定者の70%以上が
    年収1,000万円以上を獲得

    圧倒的な求人情報量があり
    ご相談いただく多くの方が転職前よりも
    好待遇で就業されています。

1分で完了 無料登録・転職相談

現在約6000人以上が登録中!
転職活動にすぐに役立つ
メールマガジン(無料)もございます。

メールマガジン登録(無料)