Campus Report 2005

能村 康弘 to Samuel Curtis Johnson Graduate School of Management, Cornell University(全15回)

MBAホルダーへの道

Vol.13 アメリカの航空事情

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1年生の時、Cases in Business Strategyを選択している友達からアメリカの航空会社JetBlueのケースを紹介され、興味深く読んだことがある。このJetBlueは日米間の国際線が無いため日本での知名度は非常に低いが、軒並み価格競争により業績悪化の著しい航空業界において、非常に成長著しい成長を遂げている航空会社である。このJet Blueは、Southwest Airlinesの社員だったDavid Neelemanにより1999年に設立された会社で、まだ8年程度の歴史しかない会社にも関わらず、既に6カ国52都市を就航している。

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アメリカ同時多発テロ以降、ユナイテッド航空、デルタ航空、USエアウェイズなどといった主要な航空会社が破綻、もしくは連邦倒産法第11章を申請し経営再建に勤しむ中で、このJetBlueは順調な経営を続けているのか。そんな問いに対してケースでは成功要因として以下の3つを紹介している。

- 低コスト戦略

●大きなエアラインがひしめきあう第一級の空港を避け、セカンドレベルの空港同士をダイレクトに結ぶため、空港使用料が安くてすむ。

●小さめの、統一された新型ジェット機を購入。そのため、機齢が若く、故障が少ないため定期、不定期整備の時間が少なく、稼働率が非常に高い。

●非常に進んだオンライン予約システムを活用している。大手航空会社が発行するチケットのオンライン予約率が2、3割にとどまる中、ジェットブルーはオンライン予約率70%強を達成しており、組織の簡素化、効率化、労務費の抑制を実現。

- 高品質なサービス

●他社がコストを抑えるため機内サービスを省く中、JetBlueでは、真新しい革張りシートで自由に衛星TV36チャンネルを見ることができる。また、赤ちゃん用紙おむつの提供など決め細やかなサービスもある。

●チケット購入時に全席指定、完全チケットレス、片道ベースかつ低運賃で購入可能。また、オーバーブッキングがない。

●定期便就航率は99.2%(大手平均 88.2%)で米航空業界の第1位。また、手荷物の遅延・紛失等は4.06回/1000人(大手の平均6.24回/1000人)。

●さほど混んでいないセカンドレベル空港を利用しているため、飛行機の遅れ事態が非常に少ない。

- 従業員のモチベーションマネジメント

●JetBlueは経営理念として「社員が顧客にして欲しいように社員を扱う」というスローガンの基、社員を大切にすることを基本にしている。現在までの所、ジェットブルーにはパイロットも含め組合すら存在しない。

●退職金制度として プロフィット・シェアリング(利益分配制)を採用し、税引き前利益の15%が社員の退職金基金に積み立てられるようになっており、会社の利益が社員個人に直接的に分配される。

●ストック・オプションの他に、社員持ち株制度があり、市場の85%の額で株式を購入できる。

1年ほど前にこのケースを読んだとき、JetBlueのビジネスモデルについて一定の理解を示しつつも、正直「ふぅ~ん」程度の印象しかありませんでした。典型的な日本人である私にとっては航空機というと、基本台風や雪にやられない限りはほぼ定刻に飛ぶのは当たり前の話であって、このJetBlueのアメリカでの優位性を認識できなかったからです。

ところが今年の3月、私用でワシントンDCを訪問し、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港から最寄りのシラキュース空港にUSエアウェーズで帰宅する際、なぜこのJetBlueという会社が、たった8年でこれほどビジネスを拡大することができたのか身を持って実感する出来事がありました。本日は、そんな実体験を踏まえたアメリカの航空事情について皆さんにご紹介したいと思います。

ワシントンDCからシラキュースに帰国する日は午後7時の飛行機に乗り、ニューヨーク・ラガーディア空港経由でシラキュース空港に10時到着。その後車を飛ばして11時半にはイサカの家に到着するはずでした。ところが、朝より粉雪がちらついていたため、予定を早めて3時頃のラガーディア便へ変えてもらうつもりで午後2時にロナルド・レーガン・ワシントン空港に行ったところ、1時間に1本あるはずのラガーディア便のほとんどがキャンセルで、私が当初搭乗予定だった飛行機より前の便に振り替えできませんでした。他都市で雪が降り積もり飛行機の離発着ができないため、同じ便を利用するその日のラインが全てキャンセルになった結果です。各カウンターは飛行機の振り替え手続きを行う人で長蛇の列でした。

私は、仕方がないので6時の便を空港で待つことにし、6時半頃に搭乗口に行ったところ私の飛行機は定時発予定とのこと。ところが、私たちが搭乗予定だった飛行機が搭乗開始直前に他の便に振り返られ、他搭乗口に変更、その場で1時間の遅れを告げられました。その後待つこと3時間、3回もの同様の搭乗口変更があった後、午後10時に搭乗開始。ところが搭乗後、空港の混雑を理由に一向に滑走路に向う気配がありません。そして午後10時45分、パイロットの規定勤務時間を超過したとの理由でその飛行機がキャンセルとなってしまいました。

話はまだまだ続きます。他の便への振り替えを行うため、今度はUSエアウェイズのカウンターの長蛇の列に並び、待つこと1時間半、やっとのことでカウンターにたどり着いた時に言われたことは、「明後日まで飛行機はない。明後日の飛行機を押さえるか、自分でラガーディア空港まで行って明日シラキュース空港行きの便に乗ってくれ」。次の日授業がある私は、どうしても午後までイサカに到着したかったため、自費で深夜バスに乗ってラガーディア空港に向う破目に。

ラガーディア空港では、朝7時にチェックインし、9時30分発のプロペラ機に乗り込み、10時半にはシラキュース空港に到着する予定でした。ところが・・・、一度滑走路を走り出した飛行機が突如ブレーキをかけそのまま搭乗口まで戻ってしまいました。エンジントラブルが発生したとのことで結局この便はキャンセル。因みに、アメリカに来て2年、エンジントラブルで一度搭乗口を出発した飛行機がキャンセルになったのはこれで3度目でした。

その後更に新たな便へ振り替えしてもらい結局イサカに戻ってきたのが夜の7時。車を使えばイサカからワシントンDCまで8時間道のりが、飛行機のキャンセルやエンジントラブルに巻き込まれたお陰で丸一日を費やす、そんな経験をしました。

この一件に懲りた私は飛行機のチケットを購入する際は真っ先にJetBlueで空席状況を調べています。今まで3便活用しましたが、一度も遅れやキャンセルは無く非常に快適な空の旅を堪能できるようになりました。
今一度、このレポートを書くためケースを読み返してみて一言、「JetBlueは偉大な航空会社だ」。

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