秋学期も終了し、2回目の冬休みが始まりました。3週間と長い冬休みですが、昨年はインターンシップの面接で日本に帰国する必要がありましたが、今年はそれも無く、4ヶ月になる子供もいるため、アメリカで過ごすことにしました。アメリカ国内を旅行し、ハリケーンカトリーナによる被災から復興したばかりのニューオリンズと、ワシントンDCへそれぞれ5日間行ってきました。シカゴのオヘア空港からはどちらも直行便が出ており、2時間程度で行くことが出来るので、子連れの飛行機でもなんとかなりました。赤ちゃん連れで飛行機に乗る家族の多いアメリカでは、機内で子供が多少泣いてもいやな顔をされることもなく、懐の広さを感じることが出来ました。
<赤ちゃん連れに優しいアメリカ>
少子化日本と違い、未だに出生率の高い(2.1)アメリカでは、街中でベビーカーを押して歩くお父さん、お母さんとしょっちゅうすれ違います。このような環境なので、周囲の人も赤ちゃん連れには優しく、店に入るときはドアを開けて待っていてくれたりします。もちろん、こちらも赤ちゃん連れの人が近くにいれば同様に振る舞います。レストランも同様に赤ちゃん連れの家族は多いので、周囲にあまり気兼ねすることなく食事をすることが出来ます。ゼロ歳児の育児は夫婦共に疲れることも多いのですが、このように赤ちゃん連れに優しい環境のおかげで、随分助かっているように思います。
<ケロッグFAQ:グループワークを絡めた授業とはどんな具合?>
さて、冬休みで授業に関するネタは無いのですが、進学して以来、毎週のようにケロッグに来校される日本人キャンパスビジターの方とお話ししてきて、ケロッグについて皆さんが共通に抱かれる疑問点などが見えてきました。今回より、それらの疑問点について少しずつ自分なりの回答を出してみますので、受験生の皆さんに参考にして頂ければと思います。
まず一つめのFAQは、「グループワークを絡めた授業とはどんな具合か?」というものです。ご存じの通り、ケロッグは他校に先駆けてグループワークを積極的に取り入れた事で有名です。ではグループワークは各授業にどのように取り込まれているのでしょうか?
グループワークで取り組む課題にはいくつかのパターンがあり、各授業によってそれぞれの回数とバランスが大きく異なります。グループワークばかりの授業もあれば、希にグループワークが全くない授業もあります。
・ケースライトアップをグループで取り組む
特にストラテジー、マーケティング、コーポレートファイナンスの授業で回数が多いのがケースライトアップです。これは指定のケーススタディーをグループ全員で分析し、それをレポートの形にまとめ上げて提出するものです。そのレポートの提出先がそのケースの企業のCEO、CFOという設定になっており、問題の特定と分析、複数の解決案の吟味、解決案の最終提示という流れでレポートをまとめます。ファイナンスやオペレーションでは緻密な定量的モデリングもする必要があります。
個人でケースを予習するやり方とグループでライトアップするやり方の大きなな違いは、前者はケースを読んでいくつかの疑問点や気の利いた思いつきを準備しておけば授業に臨めるのに対し、ライトアップでは自分達がコンサルタントのような立場で、相手が読むに値する提案書をまとめ上げなければいけないという事です。隙のないロジックを追求すると同時に、それをチームで取り組みより高い次元のアウトプットを出していくプロセスが必要です。ケロッグがコンサルティングファームや投資銀行らリクルーターの評価が高いのは、このように既に学校でプロフェッショナルファームでの働き方に近い実践的練習を多くこなしており、またそういうワークスタイルが好きだからこそケロッグに来ているからだと考えられると思います。
もちろん、授業で取りあげる全てのケーススタディーをグループでやっていてはとても時間が足りないので、一つの科目につきグループでのケースライトアップが求められるのは2,3週間に1回で、それ以外では個人での予習になります。中には以前ご紹介したFinancial Decisionsのように、週1回以上のペースでグループでのライトアップが求められる極端な授業もありますが、それは極めて希です。
・プロジェクトにグループで取り組む
実際の企業からプロジェクトを受注したり、ビジネスプランをゼロから練り上げたりなど、長編のレポートを学期末に提出する授業もいくつかあります。このようなプロジェクトではより実践の度合いが高まり、取り組む期間も数週間から場合によっては一学期を通してになります。特にマーケティング専攻の必須授業であるResearch Methods in Marketingでは、企業からプロジェクトを受注し、市場調査、アンケート調査、インタビュー調査を全て実施し提案にまとめるので、コンサルティングワークそのものです。なおプロジェクトが重い授業は、他の課題のワークロードが軽い傾向にあります。
・練習問題をグループで取り組む
ミクロ経済学、デリバティブ、意志決定論、オペレーションなど特に数学的要素が多い授業については、グループ提出課題が、個人提出課題に混ざって出されます。グループで提出するものは、個人で解くには難しく、グループで知恵をひねり出していく必要があるものが多いです。ケロッグでは伝統的に定量的分析に力を入れており比較的高度な事を学ぶのですが、グループメンバーから教えてもらってやっと理解できたこともあり助かります。
以上、多少参考になりましたでしょうか。グループワークについては他にも色々と質問がありますので次回以降も取りあげたいと思います。