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画像:ベインキャピタル

ベインキャピタル・ジャパン・エグゼクティブ・プログラム特別インタビュー

ベインキャピタル

ベインキャピタルが2023年4月から本格展開してきた経営人材育成プログラム、「ベインキャピタル・ジャパン・エグゼクティブ・プログラム」(以下、BCEP)。
世界に先駆け、日本オフィス独自のプログラムとして開始したBCEPでは、投資先企業への将来的な転籍を前提として人材を採用。ベインキャピタル流のバリューアップ手法を実践的に身につけながら、投資先に派遣する取り組みだ。
今回話を伺ったのは、銀行やコンサルティング会社を経て、BCEPの3号社員としてベインキャピタルに参画した金澤一広氏。2024年6月に投資先へと転籍した金澤氏に、BCEPの魅力や、自身のキャリアにおける位置付けについて語ってもらった。

金澤様のこれまでのご経歴について教えてください。

もともと企業変革や事業再生に興味を持っていたことから、大学卒業後は銀行に入行し、主に不良債権部門で再生案件に多く関わっていました。その後転職したコンサルティング会社では、企業を改革するための戦略を立てたり、売上を上げるにはどうしたらいいかを考えたりといった、基本的なコンサルスキルを学びました。

コンサルティング会社に7年弱在籍した後、自ら事業経営サイドに立って仕事をしたいと思い、居酒屋チェーンなどを展開する上場企業へ転職し、CSO/CFOを務めました。その後、ベインキャピタルのBCEPに参画致しました。

ベインキャピタルに入社されたきっかけと、その理由について教えてください。

BCEPの初期構想の話を聞き、非常に魅力的なプログラムだと感じたことが一番の理由です。ベインキャピタルはグローバル規模でバリューアップのノウハウを持ち、多くの成功事例を積み上げています。BCEPではそれらのノウハウを実践的に学ぶことが出来る上、自分と同じように企業変革の志をもった人材が日本に増える新しい経営人材のプラットフォームにもなり得ると感じました。ある意味自分自身を実験台にして、ノウハウを学び、それを実践していけるのはとても面白そうだと感じて、参画を決めました。

金澤様のご経歴であれば、別の会社にCxOとして転職するといった道も選べたと思うのですが、一度ファンドに入られることを決断されたのには、何か理由がおありだったのでしょうか。

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ベインキャピタルに入社した理由とも重なる部分がありますが、重要視したのは、株主としてステークホルダーの視点を学べるという点です。投資先のプロ経営者として成果を出すには、社員たちに寄り添うだけでなく、株主や社外のステークホルダーとの間に入って複雑な調整をしていくことが求められます。一方、日本ではそのような経営人材が全く足りていないのが現状です。そのため、一度投資家側で働いてみて、投資家なりの視点や、彼らの考えの背景などをしっかり理解しておくことが大事だと考えました。

私もBCEPを通して、株主目線で事業ポートフォーリオのあり方を考えたり、「CxOをどのように配置するべきか」を考えたりと、会社の一歩外側からものを考えることができるようになりました。特に、中長期的に投資先の経営者のキャリアを歩んでいきたい人にとっては、一度投資家側として仕事をする経験はとても有意義で、良いプログラムだなと思っています。

投資先企業により近い立場で1社に深く携わり、
自分のキャリアの可能性も広げるBCEP

BCEPとして入社した後の流れについて具体的に教えてください。

入社後は、投資先企業の担当者として早速実践の場に参画します。私の場合、当時ちょうど投資直後だった企業を担当し、ベインキャピタルが投資後にどのようにバリューアップのプロセスを進めていくのかを一通り経験させてもらいました。その後、2社目として関わったのが、現在在籍しているマッシュホールディングスです。1社目とは業態も違えば、会社のカルチャーも全く違う会社でしたので、ベインキャピタルとしてのアプローチ方法も異なっています。2社経験したことで、複数のバリューアップのパターンを学べたことはとてもプラスになりました。しばらくベインキャピタルのバリューアップ担当としてマッシュホールディングスを担当し、事業や組織について理解を深めていくにつれて、自分が役に立てる部分があると確信し、転籍を決めました。

同じような役割は、ベインキャピタルのポートフォリオグループ(※)のメンバーも担っていらっしゃるかと思いますが、BCEPは何が違うのでしょうか。

BCEPと、ポートフォリオグループメンバーとの一番の違いは、BCEPは基本的に1社により深く関わる、という点にあります。ポートフォリオグループでは、担当する投資先の数が複数社になることも多いですが、BCEPは極力担当する投資先を絞り、より投資先企業に近い位置で、投資先企業の人々と日々細かなコミュニケーションなどをしながらバリューアップを実行していくイメージです。

※ポートフォリオグループは、ベインキャピタルにて投資先のバリューアップ・経営改革に特化した専門チームです。

マッシュホールディングスとの関わりはどの段階からスタートしたのでしょうか。また、マッシュホールディングスでの金澤様の役割について教えてください。

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2022年秋頃に投資実行となったのですが、その前から少しずつマッシュホールディングスと関わりを持っていました。マッシュホールディングスはとてもユニークで、デザインやものづくりを大切にしている素晴らしい会社です。投資実行となる前から、マッシュホールディングスを担当したいという希望をベインキャピタルに伝えていました。

2023年3月には、ベインキャピタルと兼業という形で、飲食部門を持つグループ子会社マッシュライフラボの取締役副社長に就き、同年11月にはコスメを扱うマッシュビューティーラボの取締役副社長も兼務するようになりました。この2社は改革が必要なフェーズであり、スピーディーに改革を行うためには、株主の立場だけで関わるよりも、自ら組織の中に入って部下を持ち、直接関わることが重要でした。

その後2024年6月に転籍し、従来のマッシュライフラボ・マッシュビューティーラボの副社長に加えて、マッシュホールディングスの常務執行役員になりました。2社のP/L責任を持ちつつ、グループ全体の改革・バリューアップを担当しています。

BCEPの転籍先はどのように決まるのでしょうか。

ケースバイケースではありますが、転籍先は基本的にBCEP本人の希望を尊重しながら、ベインキャピタルとの合意のもと決定されます。私の場合、ベインキャピタル側も非常に丁寧に要望に応えてくれました。本人の不本意な転籍をすることは、ベインキャピタル・投資先企業・本人全員にとってマイナスでしかありません。しっかりとコミュニケーションしながら納得いく形に決まっていくので、安心していただければと思います。

マッシュホールディングスがExitした後のキャリアについて、想定されていることはありますか。

目下、目指しているのは、まずはマッシュホールディングスのバリューアップと上場です。上場後も、マッシュホールディングスの持続的な成長に貢献できたらと考えています。BCEPの人材は、投資先に残るにせよ、ベインキャピタルに戻るにせよ、それとも別の企業を探すにせよ、「ベインキャピタルの投資先企業で経営を担った」という経験によって、その後のキャリアを大きく拡げられると思います。

BCEPの候補者の中には、BCEPに参画することが、選択肢の幅を狭めてしまうのではないかという懸念をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

転籍先が投資先に限定されることを考えると、自由に転職先を探すことと比較して一見そのように見えるかもしれませんが、実際にBCEPに参画してみて感じるのは、実は自分で転職活動するよりも、色々なチャンスがあるということです。

ベインキャピタルでは年間に約5社ほど新規で投資実行をしているので、継続している案件も含めると数多くの投資先があります。

しかも、一般にオープンになる前のポジションにも出合えますし、そのポジションすら自ら設計できることもあります。また、ベインキャピタルが投資を決定したということは、デューデリジェンスもしっかり行われ、かなり勝率が高い案件であるという安心感もあるでしょう。

BCEPへの参画から転籍までを終えられた経験者として、BCEPの特徴、魅力は何だと感じていますか。

第一に、ベインキャピタルと深く関わりを持てたことが大きなプラスになりました。ベインキャピタルには、素晴らしいスキルやノウハウを持ったプロフェッショナルの人材がたくさんおり、今でも毎週のようにミーティングをしています。また、ベインキャピタル社内で行われる合宿には転籍後も参加させてもらい、さまざまなケースを見聞きしてノウハウを学べる、非常に有意義な機会になっています。このネットワークは、今後も続いていく大きな財産です。

そしてもう1つ、BCEPはキャリアを加速させることもできると思います。一般的な転職活動においては、どうしても面接等では人となりを見抜ききれず、これまでの実績や業界経験の有無で判断されがちですが、BCEPではベインキャピタルの一員として共に働きながら、人柄や適性などの要素を加味して転籍先が決まっていくため、P/L責任を持つような重要なポジションに就くチャンス等も多く存在しています。

BCEPに求められるスキルや、適性はありますか。

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基本的なコンサルスキルは必須です。メインの業務として、ロジカルシンキングに基づく戦略的思考ができることはマスト要件だと考えています。

そして、意識的にコミュニケーション能力を磨いておくべきだと思います。投資先企業に近いポジションで働くので、実際に人を動かすコミュニケーションスキルが求められます。人は論理ではなく、感情の生き物であると思ってコミュニケーションを取ることが重要だと感じています。

加えて、特にBCEPに求められるものとしては、「経営者としてのコミットメント」です。理不尽なことや、人間関係のしがらみなど、企業経営に携わっていると苦しい局面もたくさん経験することになります。私も、居酒屋チェーンを黒字化して喜んだ直後にコロナ禍に突入し、本当に苦しい経験をしました。最終的にはその企業に転籍して入っていくことを前提にしているので、一緒に汗をかく覚悟、困難や修羅場であっても積極的に経験しようというマインドセットを持つことが重要です。

今後の中長期でのキャリア展望について教えてください。

具体的なことは決めていませんが、引き続きライフワークである企業変革や事業再生、地方創生というテーマには向き合っていきたいです。特に、企業変革、事業再生に関わる仕事が日本においても1つの職種としてしっかり根付いて広がっていくことを願っています。

海外と比べると、日本ではまだまだそうした人材が足りていません。BCEPのようなプログラムを通して優れた経営人材が増えていくように、自分自身を実験台にしながら、学んだノウハウを還元していけたら幸いです。

最後に、BCEPに関心を持つ候補者に向けて一言メッセージをお願いします。

経営者になりたいという思いを持つ方にとって、BCEPとしてベインキャピタルで過ごす期間は、一見するとキャリア上のアイドルタイムのような印象を受けるかもしれません。しかし、長期的な視点で自身のキャリアを捉えると、非常に大事な数年間になったと実感しています。

ベインキャピタル在籍中は、株主目線を学ぶことができたり、多くの企業投資で培ってきたバリューアップのノウハウを身につけられたりなど、貴重な経験が得られる機会となります。プロ経営者を目指す方々にとって非常に良いプログラムですので、少しでも関心を持っていただけたら、ぜひプログラムの詳しい説明を聞いてみていただきたいと思います。

プロフィール

写真:金澤 一広 氏

金澤 一広 氏
株式会社マッシュホールディングス 常務執行役員 兼
株式会社マッシュビューティーラボ取締役副社長 兼
株式会社マッシュライフラボ取締役副社長

慶應義塾大学卒業後、2005年に三菱UFJ信託銀行株式会社に入社し、事業再生などに関わる。2011年にボストン・コンサルティング・グループに参画し、電機メーカー・金融機関・メディア企業を中心とした企業変革支援に従事。2018年に株式会社エー・ピーホールディングスに入社し、執行役員 経営企画室長 兼 管理本部長(CFO/CSO)等を務めたのち、2021年9月にベインキャピタルにBCEPとして参画。2024年6月にマッシュホールディングスへと転籍し、現職。

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