金光隆志のコンサル転職Q&A

[第13回] MBAですがコンサルティングファームか投資銀行か...

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【質問】 
MBAですがコンサルティングファームか投資銀行かで迷っています

あけましておめでとうございます。

皆さんにとってよき年でありますことを心よりお祈り申し上げます。
今年も宜しくお願いします。

さて。コンサルか投資銀行か。迷われる方も多いみたいですね。世間からするととても贅沢な悩みなんだろうけど、ご当人には人生における一つの岐路なわけで、迷われる気持ちもわかります。似たところではベンチャーキャピタルや再生ファンドなどと迷われる方も最近は多いことでしょう。類似性の距離感でいうと、コンサルティングファーム、再生ファンド、ベンチャーキャピタル、投資銀行、の順なのかな。まあどれも大分違うけどね。

で、ご質問のコンサルティングファームか投資銀行か、ですが。。 全然違うから比較が相当難しいです。ま、アソシエイトでもある程度高給だってことくらいかな、似てるのは(笑)。どちらも初年俸は同じくらいなんじゃないかな。MBAを採用するのにマーケットプライスってのは存在しますから、そんなに差はないはずです。

給料で比較すると、初年俸以外は大分違います。投資銀行の場合は採用される部門によって、これまた全然違ってきます。が、総じて言えば入社後生き残っていけば投資銀行の方が全然稼げます。億の単位で給与をもらっている人なんて投資銀行にはウヨウヨいます。一方のコンサルファームはそうでもない。オフィサーの一部です。

ところが、生存率は全く逆です。コンサルファームだってオフィサーにまで残る人は10人に一人か二人くらい。っていうと随分少なく聞こえるけど、五分の一をちょっと切るくらいかなって言えば、まあそんなもんかなとも思うでしょ?数字って不思議だ(笑)。大企業で役員になるのより随分高い確率ですよ。コンサルか投資銀行かで迷うくらいの人材なら大企業にいれば役員は確実、とか思うかも知れないけど。そうでもないのよ(爆)。

会社にもよるだろうけど、例えば大手総合商社。MBAなんてごろごろいらっしゃるわけで。MBAじゃなくとも色んな意味で優秀な方が沢山いらっしゃるわけで。しかもそこで役員になれるかどうかは、運にも相当左右されますし。ぶちゃけコンサルファームに入れるならそこでオフィサーになるほうが、その人が商社で役員になるよりよっぽど確率は高いと思います。

では、投資銀行で億円プレーヤーになれる確率はというと。ある一時期をとってスタティックに人数比だけ見るとコンサルファームにおけるオフィサー比率とそんなに大きく違わないかも知れません。でも、ダイナミックに観察すれば、そこにはたーくさんのドロップしていった人がいることでしょう。確率を詳しく調べたことはないから絶対とは言い切れませんけど、、、投資銀行に入社した100人に一人いるのかなあ。。

そもそも人の育成方針が全然違います。コンサルファームの方が、採用した人を育てようという意識は断然高いです。べつにコンサルファームのほうが良心的だから、とかそんな話をしているのではありません。ビジネスモデルや必要スキルの差異からほとんど合理的に導き出される結論ですから。

コンサルは何年もかけて経験させ、かつ育てないと稼げる人(つまりオフィサー)には絶対なれません。オフィサーまで育ててもその人が稼げるようになるかどうかはまた少し別なのですが、少なくともオフィサーまでは育てないといけません。ほっとくだけじゃ育ちません。コンサルティングスキルをみっちり仕込まれ一人前になった人だけが、営業の資格をもてます。営業というと聞こえがイマイチかもしれないから顧客アカウントを責任もって見れる人、といいかえても構いませんが。

一方の投資銀行はというと、乱暴に言い切ってしまえば、稼げる人が残ればいいのです。営業スキル、もしくはトレードのスキルがある人がいればいい。話を簡単にするためにトレード部門のことを除いて比較しても同じことです。

めちゃくちゃに乱暴なことを言えば、分析をサポートするアソシエイトなど、替わりはなんぼでもいます。テクニカル部門だってそうです。しかもコーポレートファイナンスにおけるテクニカルスキルが高いことと、顧客アカウントをマネージ出来ることとの間に高い相関はありません。

投資銀行における営業に求められるスキルは、コンサルのオフィサーに求められるスキルと相当違います。投資銀行における営業は顧客のファイナンス部門のニーズを的確に引き出し、それを満たすために必要な社内のテクニカルスキルを見極め・調達し、ニーズとスキルのマッチングをコーディネートする、カッコよく言えばプロデューサー的スキルが必要です。でもテクニカルスキルのプロである必要は全くありません。

コンサルの場合はテクニカルスキルのプロじゃなきゃそもそも顧客ニーズさえ引き出せません。営業先も全然違います。投資銀行の場合、多くは顧客のファイナンス部門。相手が大企業だとCFOやその上のCEOまでかかわる案件はそうそうありません。コンサルの場合、大企業だろうが中堅企業だろうが殆どは社長をはじめとしたトップ層。もちろんトップだけじゃ足りなくてミドルへもアプローチしますが、ミドルへの営業だけで決まることなんて超巨大企業の案件の一部だけです。

どちらが難しいか簡単か。一概には比較できません。個人的な所感だけ申せばコンサルの営業は所謂営業向きな人じゃなくても出来ますが、売るのは相当難しいし経験が要る。投資銀行の営業は所謂営業向きな人じゃないとおそらく務まらないけど、逆に営業向きなら、コンサルほど売るのが難しい商品ではない。ものすごく極論で言ってますが。

給料やら生存率やら人材育成方針など随分外堀りから比較してきた観がありますが、あんまりあからさまに話されることの無い部分なので、あえてその辺から話してみました。

さて、肝心の仕事の内容は、というと。。 私自身が投資銀行のコンサルティングを行った経験や、投資銀行からコンサルファームに移ってきた人の話などから判断して、両者は全くの別物だと思っておいて頂いて間違いありません。比較的近いと思われがちな投資銀行M&A部門とコンサルとを比べてもそうです。

当たり前です。顧客から何でリターンを頂くかが全く違うのですから。 簡単のためにこれも極論でお話ししましょう。コンサルはM&A以前にM&Aすべきかどうか、するならターゲットはどこか、のアドバイスをすることでフィーを頂きます。あるいは、M&Aをしたあとの組織統合をどう行うかのアドバイスやサポートによってフィーを頂きます。投資銀行はすべきかどうか、なんてところでフィーは貰いません。基本的にM&Aの交渉・実行プロセスをサポートし、成功すればサクセスフィーを頂きます。若干のリティナーフィーや例外はあれど、案件を成立させてナンボです。

コンサルファームにはM&A仲介に求められる機能やスキルは備わってないし、逆も真なりです。コンサルファーム側からすれば厳密には財務体質やインセンティブシステム上にも相容れないものがあります。その辺はかなり立ち入った話だし皆さんには殆ど関係ない話なので割愛しますけど、コンサルファームがM&A仲介業務になかなか手を出さない、出しても中途半端なのは、構造的にかなり無理があるからです。

色々違いを説明してきましたがいかがでしょう。ちょっとわかりにくかったかもしれませんね。あるいは何を決め手に選べばよいか、かえって迷いを増幅させただけかもしれませんね。

そういう方のためにものすごい単純化したイメージで比較してしまえば、投資銀行は狩猟型ビジネス、コンサルファームは農耕型ビジネス。投資銀行は一匹狼。コンサルファームは山羊の群れ。投資銀行は血液型B型。コンサルファームはA型。などなど。。。

ちょっと単純化しすぎてますけど、決して外れてはいないです。 ついでに言っておくと、狼をてなづけられる山羊がいれば奇跡に近いが、山羊をてなづけられる狼は存在します。ん?つまり山羊には投資銀行は務まりそうにないけど狼ならコンサルファームもいけるかもよ、ってこと。きわどいこと言ってますが真実です。。

うーん。大分危なくなってきました。今日はこのへんで。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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