今回は私が受講している「Venture Capital & Private Equity」の授業について触れてみたいと思います。Berkeleyがシリコンバレーに近いということもあり、どちらかというとBuyoutよりVenture Capitalに重点を置いた授業となっているのですが、一通りこの業界に関連するプレイヤー(機関投資家、年金ファンド、LBOファンド、ゲートキーパーなど)や業界動向について学びます。先日、ベンチャーキャピタルのファンドに投資を行うFund of funds プレイヤーについての授業があったので、それについてレポートします。
University Technology Ventures
読者の中でUTVをご存知の方は果たして何人ぐらいいるのでしょうか?私もこのケースを読む前は全く知りませんでした。ただ、このVCのGeneral Partnerの名前を聞けば驚く人も多いのではないでしょうか。Tommy Vardell, Mark Harris。。この名前だけで、もし分かったとすれば、相当のNFLファンでしょう。
これに、Brent Jones, Steve Youngの名前をつけ加えれば、更に多くの人が分かるのではないでしょうか。ここで挙げた名前は、当ファンドのGeneral Partnerであり、かつてSan Francisco 49ersで活躍した名選手でもあります。
彼らは選手時代にも、エンジェルインベスターとして投資事業には関わっていたのですが、引退後ファンドを組成したのです。ホームページを見ても分かるとおり、彼らはAccel, Greylock, Matrix, Kleiner Perkins, SequoiaなどのトップティアVCへの投資枠を確保しています。
VCの世界を知っている方はご存知だと思いますが、これらのVCに投資をできる権利を得るのは非常に難しく、ファンドに対しての付加価値を出せることを証明し、VCとのなんらかの関係作りを数年しないと困難だと言われています。彼らがNFLプロ選手であったからという理由にはなく、VCがある程度納得できる付加価値を提供できたからこそ実現できたのです。
UTVのビジネスモデル
Tommy Vardell, Mark Harrisはスタンフォード大学出身であり、彼らはスタンフォードの有能な教授陣そして研究室をネットワーク化し、VCとのパイプ役になることにより、Limited Partnerとしての付加価値を見出しました。そして、彼らのFund of fundsには、教授にアクセスが困難なトップティアVCのファンドへ投資できるようにしたのです。VCにとっては、教授によるアドバイザリー、研究室における最新技術の情報収集、有能なエンジニアリング学生の確保などが挙げられます。
ケーススタディーということで、このVCが今後どのように運営していくべきか、ファンドのfundraising や investment policyについての議論をしました。そして議論を終えたところで、なんと教室に入ってきたのがTommy VardellとMark Harrisでした。彼らはもはや、元プロスポーツ選手ではなく、インベストメントとファイナンスの知識を十分に蓄えたベンチャーキャピタリストとなり、熱弁をふるってファンドの方針や実績を教えてくれたのが印象的でした。