Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.26 インターン体験記!(其の五)

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皆さん、いかがお過ごしでしょうか。私の住むピッツバーグはすっかり東京の真冬レベルまで気温が落ち込んでいます(ゼロ度前後をいったりきたり)。数日前に雪が降りました。またピッツの冬が始まります・・・。さて、遅れ気味のペースですみませんが、今回のレポートは7月後半の内容となります。サマーインターンも終盤に差し掛かっています。

■ アサイメント(6) コンシューマープロダクト業界のM&Aプロポーザルとバリュエーション

6つ目のアサイメントはかなり大きいプロジェクトで、数年前に相当具体化したが実現にいたらなかったコンシューマープロダクト業界のM&Aプロポーザルの作成だ。「プロポーザル」とは言っても、「いかがですか?」レベルの話ではなく、ターゲットもプロセスも相当絞ったうえに、各ターゲット候補のキーパーソンから事業部別 のバリュエーションとシナジーの計算まで、かなり詳細な分析を実施して、具体的な交渉プロセスまで検討する。

実際に買収する場合に幾らの「プレミアム」を上乗せするか、買収の相手先は売ってくれそうか、といったことまで、M&Aチームの内部及び海外オフィスの担当者と日夜議論をかわす。数字の詳細さからも、締め切りの厳しさとしても、かなり要求レベルの高い仕事で、大変勉強をさせていただいた。

思い残すは、実際のM&A実施まで会社にいることができなかったことだろうか。また、この仕事では通 常の「アソシエイト」レベルの人間として、海外の担当者とのコミュニケーションから最終アウトプットの構成の作成まで関与する機会が与えられたため、より物事を深く考え、責任を感じながら仕事をすることができた。

■ 投資銀行業務の「価値」について

「投資銀行」という業務が日本でもメジャーになって久しいと思うが、MBAやMBAを通 した就職活動で「投資銀行が生み出す本当の価値とは何か」という問題提起を受けることが意外に多かった。

この問いの根底には、一昔前であればDCF法でも珍しがられていたバリュエーションの方法などがポピュラーになりすぎて陳腐化してきていること、投資銀行業界内で他社と差別 化することが極めて困難になっていることなどが挙げられると思う。

「何が提供できる価値か」という問いに答えられなければ、インベストメントバンカーとしての自分のポジションにも疑問符がつくし、他社との差別 化も何に主眼を置いてやればいいのか分からない。そんな問題意識から、「価値」を問われることが多くなってきているのではないかと思う。

短い期間ながら私が感じた投資銀行の「これからの価値」は、浅はかであることを覚悟して言うなら、次のようなものではないかと思う。

まず、投資銀行がもつ情報。特にカバレッジバンカーと呼ばれる人たちが各業種・企業についてもっているM&Aニーズの情報には相当なものがある。それが外資系の投資銀行になると、各国にそういった人間がいて日夜情報を交換しているから、いかに特定業種のプロであるクライアントに対してであっても、投資銀行が提供できる価値(情報の価値)は今後も極めて高そうである。

次に、投資銀行業務が「ビジネス」と「法務・会計などの専門知識」の接点で行われること。ビジネスのプロは何といってもクライアント本人であるし、法務・会計のプロであれば弁護士や会計士、税理士の方々と言える。

しかし、どちらかだけではM&Aや分割などの業務はなかなか難しく、両者をインテグレートしなければいけない。この両方の視点を持ち合わせることは非常に難しく、かなりの勉強とコミュニケーション能力と、広い視野、マネジメントの視野が必要になると思う。

私が投資銀行各社さんを見ていて思うのは、何かの強みがある人が多いことで、弁護士や会計士なども多くいるし(ちなみに税理士は意外に少ない)、超一流の戦略系コンサルティングのマネジャーレベルであった人間も数多く存在する。メーカーや商社で経験を積んできた人間も多い。全員がファイナンスに完璧に通 じている。

こういった「エッジ」のある人間があつまって、ビジネスとテクニカル・スキルを融合させようとしているところに、投資銀行の価値があり、これはクライアント企業だけでも、会計事務所だけでもなかなかできることではないと思う。

専門知識の面では、最近、日本の法制・税制も連続的に改正をみているし、そのぶんM&Aのストラクチャリングにもかなりの「クリエイティビティ」が生み出せるようになった。この分野には、投資銀行が価値を提供できるエリアがかなり存在するし、今後も増大していくと感じる。

最後に、まだ投資銀行でどれだけ実施されているか分からないのだが、未上場の企業への投資を通 じたコンサルティングとIPOを狙った中・長期的なビジネスがあってもいいような気がする。

投資銀行には、先に述べたように、ファイナンスとビジネスと法務等に通 じたプロが沢山いる。特にビジネスの知識も相当に豊富であるから、未上場の企業に対して自己勘定をつかって投資をして、中長期的にゲインを獲得するようなビジネスをやってみてもいいんではないかと(勝手ながら)感じる。

以前、某戦略系コンサルティングの非常にポジションの高い方とお話しする機会があったときに、その方は「投資銀行の人間のすごいところは、ある企業に入った瞬間に、それがいい会社か悪い会社か瞬間的に区別 できるところだ」と言っていた。

ビジネスを見る目と業界を分析する力に自信があるなら(言い換えるならビジネスの「バリュエーション」に本当に自信があるのなら)、自ら投資をすることも、今後の価値提供の手段として一考の余地があるかもしれない(無論、これには様々な法的な問題も関連するかもしれないので、軽率にはいえないが) 。

なお、断っておくと、DCFをはじめとしたバリュエーションも、投資銀行で実際に行われている分析は極めて精緻であるし、キャッシュフローそのものの予測とその裏にある「ストーリーメーキング」の深度も半端なものではない(これに比べれば、ビジネススクールでやるものなど「お遊び」である) 。

また、ネゴシエーションのための準備とテクニックも、到底簡単に身に付けられるようなものでなく、こういったいわゆる「従来型」の投資銀行業務にも価値があるには違いないと思う。それにさらにプラスするかたちで提供できる価値として、上記のようなものを考えながら、インターンを経験させて頂いた。

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