この国で面接のときに一番よく聞かれる質問だ。昨年ビジネススクールの面 接のために模擬練習をしていたときから、私はこの質問が苦手だった。質問の内容が曖昧すぎて、壮大すぎて、いったい何を、どれだけ、どのタイミングで話せばいいのか、トータル何分でまとめればいいのか、いつも迷ってしまうのだ。
ビジネススクールの入試をなんとかくぐり抜け、もうこの質問にお目にかかることもないだろうと思っていた(そこまでは考えていなかったが、すっかり忘れていた)矢先、サマーインターンのための米国企業との面 接で、またしてもこの質問におおいにへっこまされることになった。
私が受けたどの会社でも、どの模擬面接でも、ほぼすべて面接官は開口一番、「Tell me about yourself」なのである。模擬面接を受ければ受けるほど、悩みは深くなる。私が悩んで毎回パニックしている反面 、アメリカ人は非常にこの質問が好きである。彼らいわく、「何でも話していいなんて、こんなに楽なことはない」のだそうだ。「じゃあ、どういうふうに答えればいいのか教えてよ」と頼むと、皆違うことを言う。
ある人は、「高校時代の思い出から始めて、いっきに将来の展望までぶちあげる」と言うし、「現在の自分を肯定しつつ、現実的サクセスストーリーを展開する。過去にはあまりさかのぼらない。」という人もいる。さらには、「受ける会社のカラーにあわせて10近くのバージョンを使い分ける」という、ツワモノまでいるのだ。
ますます悩み苦しむ私をみかねて2年生のMentorは、「独創性を求められているのだから、人の言うことを気にしてはいけない。時間はだいたい3分から4分で、自分のいいたいこと(1)過去から現在までに自分が成功してきたこととその一貫性、(2)将来の具体的な展望と達成へ向けてのステップ、(3)自分のスキルと知識を持ってその展望が必ず実現するという説得を行えばよい。あらかじめストーリーを作って、ひたすら鏡の前で練習すること」とアドバイスしてくれた。
Mentorのアドバイスと鏡の前での練習(?)の甲斐あり、この質問にも、面 接にもようやく慣れて最終面接までこぎつけることが出来てきたと思っていたら、インターン就職戦線は早や、そろそろ終盤である。ファイナンス職種にはあまり興味のない私にとって、インターナショナルをあまり受けいれない米国企業への就職活動は予想通 りに難しいものであった。
もともと全部落ちることを覚悟の上で、日本でサマーを行うことを決めたのち、後学のためと、来年(本番)につなげるためにと臨んだのだが、落とされるのって嫌なものだ。特に最終面 接まで行ってお断り通知(たいてい電話)が来るとがっかりする。受からないと何も残らないなんてことはない、きっと面 接慣れして、交渉も英語も上手になっているはず、と自分を必死に慰めている。
来年の本番には上手になった英語と、春学期の産学協同コンサルティングPJTでの経験および日本でのサマー経験でパワーアップして、頑張るぞ、と心に誓いつつ、それでもちょっぴり落ち込み気味の春学期開始二日前である。