NYUではコアの授業でプロジェクトを一緒に行うためにスタディーグループが設定されている。このグループは学校側がランダムに(担当者の熟考の結果 だと思われる)設定したもので、自分でメンバーを選ぶことは出来ない。よって優秀さの面 であたり外れがあるし、喧嘩しているグループもよく見かける。
私のグループは、グループNo1(クラスごとに1~13まである)、ボストン出身のTracey、カリフォルニア出身のChrisに、テキサスからやってきたDennis、メキシコ人のLuisと私という、他のグループに負けずおとらずバラエティーに富んだ取り合わせであった。
このグループが大当たりで、ほとんどどのクラスのプロジェクトも最高点を取ったし、喧嘩もなく、結束もかなり固かった。 このグループをドライブしていたものは、いかに要領よく、効率よくプロジェクトをこなすか、ということ。皆、スピードとクオリティーに情熱を燃やしていた、というちょっと風変わりなグループであった。
たとえば、プロジェクト締め切り1~2日前、他の多くのグループが夜中までプロジェクトの打ち合わせ、追い込みを行っている中私たちは既に各々のパートを終え、Eメールで意見の交換をおこなっている、という具合である。他のグループが一つのプロジェクトあたり15時間から25時間を集まってのディスカッションや共同作業に費やす中、私たちはどんなに大きなプロジェクトであってもトータル8時間以上集まって議論したことがない。
これはひとえにTraceyの早寝の習性と、無為な時間嫌いのおかげである。 彼女は、すらりとした長身に大きな黒い目のものすごい美人なのだが、はきはきずばずばした早口&辛口トークなので、彼女を良く知らない人は冷たいと思ってしまうようだ。でも本当は5人兄弟の真ん中で人に対してものすごく気を遣うし、ウィットに富んだおしゃべりと、よく動く表情がとってもチャーミングな女の子だ。
この子は、最初のグループ顔合わせで、「私はB狙い」を豪語していた。要は、要領よく適当にプロジェクトをこなしましょう-その結果 がBであっても私は全然構わない、ということである。最初はこの提案に押し切られる形で、でも他のメンバーはみんなAを取りたかったから、スピードとクオリティーの両立をひたすら追い求めることとなったのだ(でも、このTracey実は要領も頭もものすごくよくて、本人の成績はほとんどAである)。
あとのメンバーはみんなAを取りたいメンバーで、しかも取り合わせがとってもよくて、メキシコ人のLuisはファイナンスのスペシャリスト、決算書をちらっと眺めただけでさっさと読み解いてしまうし、その読みも決して外れたことがなかった(私が同じ事をやろうとすると一晩かかるーしかも間違える)。彼なくして企業分析は仕上がらない。その上彼はとてもスイートな男の子で、私が授業のスピードについていけずに悩んでいた頃によくアドバイスをくれた。
コンサル出身のChrisも面倒見のいい人で、私のプレゼンテーションの英語はいつも彼が見てくれた。また、コンサルタントだっただけあり、資料のとりまとめ、プレゼン資料つくり&プレゼンテーションがとても得意であった。ちょっと頑固だったけれど。
最後はDennis。彼はとても大らかな人で、皆のヒートアップする議論をいつもなだめてくれた。また、他の4人がわりとおおざっぱな中、いつも細かいところまでチェックを入れてくれる貴重な存在であった。
コアの授業は一年目で全て終わってしまうので、この4人と一緒に勉強することはもうないのだなぁと思うととても寂しい。でもまた次々と新しいグループが出来て、同じくらい楽しいに違いないのだけれど。