9月後半のとある金曜日の午後、マッキンゼーがコロンビアの学生のために、ケーススタディのワークショップを行ってくれました。私もお勉強のつもりでそれに参加しました。マッキンゼーのためなのか、そのワークショップは非常に人気度が高く、私も一度だめと言われましたが、補欠でワークショップの前日にぎりぎりで参加することが許されました。
出てみますと、全部で60人ぐらいの学生が集まって改めてコンサル人気の高さが証明されました。 ワークショップの最初はマッキンゼーのコロンビア卒業生が挨拶し、マッキンゼーの採用プロセス及びどのような人材を求めているのかを説明してくれました。
彼によれば、まず、置かれる立場によって、求められるものが異なってくるらしいです。やはり現場レベル、例えばシニアアソシエートとかマネージャークラスの人たちはともかくロジカルシンキングが出来、きちんと分析が出来る人を求めているのに対して、シニアレベル、例えば、パートナーは人間性を非常に重視するそうです。
言われてみたら、確かにそうだと思います。現場レベルの人間から見ると、やはり日々一緒に作業するわけなので、仕事が出来ない人間を採用しても仕方がないと思います。一方、上の人間から見ると、いかに会社に収益をもたらしてくれるのかは非常に大事になってきます。そういった意味で、泥臭い営業などをスマートにこなせる人は重宝されます。
さて、数十分の説明の後、学生が小さいグループに分かれて、それぞれのグループにマッキンゼーのコンサルタント一人が付きます。私のいるグループはざっと10数人ぐらい学生がいます。私はお勉強のつもりで行ったのですが、他の学生は就職活動の一環としてかなり真剣に臨んでいます(私もケーススタディにはかなり真剣ですが)。
多くの学生はビジネススタイルで参加した上、ノート及びペンまで持参しています。それに対して、私はビジネスカジュアルでしかも筆記用具は何も用意していませんでした(まぁ、だからと言って、真剣ではないわけではない)。
さて、私のグループに当てられたケースはとある医療機器メーカの事例です。コンサルタントによれば、それはマッキンゼーが実際にやったケースだそうです。ケースのバックグランドはこうです:
A社はヨーロッパ諸国で顕微鏡のビジネスを展開しており、主に二種類の顕微鏡を生産しています。一つはアナログタイプでもう一つはデジタルタイプです。アナログタイプの顕微鏡は数年前から売り上げが引き続き低下しており、その理由及び対策を立てるために、A社のマネジメントが今度あなたにコンサルの依頼をしました。さて、あなたなら、どうしますか?
これは基本的なケースでシンプルそうに見えますが、コンサルティングの基本が含まれています。ケーススタディの過程においては学生とコンサルとのやり取り及びそこからの発展はありましたが、紙面 の制約で売り上げの減少についてのポイント --- マッキンゼーのコンサルの考え -- だけを伝えます。
(1) まず、何で売り上げが下がっているのかを考えます。値段によるものなのか、それとも量 によるものなのかを考えます。
(2) プライスによるものであれば、新規参入とか、業界内の競争とかないしバイヤーのパワーとかに変化があるかどうかを調べます。
(3) 量によるものであれば、それは製品の品質に問題があるのか、それとも代替品が出回っているせいなのかなどを考えます。
(4) 更に、A社はヨーロッパ諸国でビジネスを展開しているので、値段及び量 以外にも、地域別で見てみないといけません。各地域で恐らくビジネスの展開が異なるからです。
(5) また、A社のみではなく、競合他社の状況、更に業界全体の状況も見なければいけません。横の比較でその売り上げの減少はA社独自の問題かどうかをある程度見て分かります。
(6) おのおのの現象及び理由が見えてきた段階で、原因となるものに対策を立てれば良いだけです。
取りあえず入り口 --- 売り上げ減少の原因の究明 --- の所では、以上のような感じでロジカルに考えます。勿論、対策を立てる際にも同じように考えます。 実際のケーススタディの中で、学生が言うことに対して、コンサルはいろんな角度から突っ込んできます。学生の反応を見るのは一つの理由ですが、学生はどこまでロジカルに物事を考えているのかをもチェックしています。
ケーススタディは約1時間前後で終わりましたが、結構得るものが多く、ロジカルシンキングの重要性を再度気づかせられた。コンサルだけではなく、どこの業界に行ってもやはりこのスキルは生きてくるのではと思います。
次回は私が取っているコースの中から一つ選び、授業風景などについてお話します。