Campus Report 2004

藤本 崇 to Stanford University Graduate School of Business(全21回)

MBAホルダーへの道

Vol.6 ケース議論とリクルーティング

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ようやくWinter Quarter(冬学期)が始まった。ここで少し学期のしくみを説明しておくと、スタンフォード大学はSemester制ではなくQuarter制である。Fall(9月-12月)、Winter(1月-3月)、Spring(4月ム6月)、Summer(6月ム9月)と1年を四学期に分けて"Quarter"と呼んでいるのだが、ビジネススクールでは夏期の授業は無いので、基本的に1年間に3Quarterとなっている。

2年間合計6Quarterの間に、受講科目数にして大体25-30科目程の授業が取れることになる。Semester制度の学校に比べてより多くの選択科目が取れることになるので、私は個人的にオイシイと思っている。

さて今学期私の取っている科目はと言えば:
・Finance
・Marketing
・Strategy Management
・Operation
・Intellectual Property

の5科目である。Intellectual Propertyのみ選択科目で、後の4科目は1年生の「コア」カリキュラムにそった科目である。Intellectual Propertyはその名の通り知的財産がビジネスにどう影響を与えるかを学ぶクラスで、Napsterがエンターテイメント業界にもたらしたインパクトを分析したりと、結構面 白い。

他のクラスは面白いというか、やはり大変である。何故かコアと選択科目では、授業での緊迫感が全然違うような気がする。選択科目では二年生が多く、教授も生徒もリラックスした感じで、割とアカデミックで和やかな雰囲気であるのに対して、コアの授業は、「戦場」と言ったら言い過ぎかもしれないが、かなりテンションが高いように思える。

一つのケースを60人で90分間議論するという授業形式がそうさせるのか、秋学期で少し知識を身に付けた生徒がビジネスセンスを披露したくてムキなっているのか、とにかく授業は議論の嵐である。特にストラテジーとマーケティングの授業は、発言に対する気の入れ方が真剣で、緊張感が漂う。

教授からのExpectationも秋学期に比べて一段と厳しくなったような気がする。例えば、秋学期の授業では「分からないことがあったらすぐ質問しなさい、聞かなきゃ損だからね」と優しく言っていた教授が、冬学期では、「発言には責任を持ちなさい。量 より質、中身の薄い発言や既に出た意見の繰り返しは減点するから」という豹変振り。中には生徒の発言のクオリティーを4段階の得点でアシスタントに付けさせる教授までいる。そんなわけで私は秋学期よりはるかに予習に時間を強いられることになった。

私は工学系のバックグラウンドの為、計算問題ならば解くのは慣れており秋学期のEconomicsやAccountingは以外と楽に乗り切れたのだが、ケース読解という文系の学習形態になると、さっぱりだという事が分かった。雑誌の切り抜きみたいな記事を読んで、行間を読み取れなんて言われてもまったくピンとこないのだ。例えばストラテジーのクラスで先週やったBic Penというボールペンメーカーのケースの場合。

まず1回通して読んで、なるほど、ボールペンでこんなに儲かるのかと雑学的に非常に面 白く読めたのだが、宿題の質問を読んでみると、この会社の初期のストラテジーを一文でまとめよ、とある。分からないのでもう一度関連性のある部分をハイライトしながら読む。何個かヒントになる文は見つかったのだが、どれが一番重要なのかで迷ってしまい一言でまとめようにもまとまらない。しかたなく三度目にもう一度注意深く部分的に読み返し、やっとストラテジーをまとめる事ができた。結局30分で終わると思っていた宿題が3時間も掛かってしまった。

しかも次の日に、時間をかけて練った私のストラテジーのステートメントを発表しようと思ったら最初の五分でクラスメートにさらっと言われてしまった。更にその後ディスカッションはもっと深く堀り下げた話へ移って行き、そんな部分まで考えていなかった私は結局手を挙げることなく終わってしまった。

それにしてもスタンフォードGSBの生徒は議論が好きだと思う。教授もなかなか厳しいので、時々真っ向から対抗する時もあるし、生徒が長々と述べた意見を、それはちょっと浅い読みだねと撃ち落とす教授もいる。私も最初は面 食らったが、二週目に入ると慣れきて、スキがあれば手を挙げて議論バトルに参加するようになった。

授業も激しくなってきたが、冬学期になると、活動として一番活発になるのがリクルーティングである。夏のインターンシップへの就職活動は、2月から4月にかけてピークになるが、業界によって時期リクルーティングの仕方も微妙に異なる。

例えば、コンサルティングやインベストメント・バンキング、更に大きめの事業会社といったような、ビジネススクール生の採用が定着している業界は、学校のキャリアマネージメントセンター主催のOn-campus Recruitingに参加するので、学校経由でレジュメを送り、キャンパス内のオフィスで面 接を受けるというステップを踏むが、ハイテクベンチャー系、非営利団体や国際機関、それからメディア、スポーツ関係の仕事等は、企業側がMBAの採用に積極的でない、或は慣れていない為、そういったある意味ニッチな業界で働くには、興味のある企業を自分でリサーチし、個人的に根気よくコンタクトを取るしかない。

こういった業界のインターンシップは企業もインターン制度を毎年設けているわけではないので、春学期終了寸前ぎりぎりになってでないと是非が分からなかったりするので、リスクが高い。ところがスタンフォードGSBでは、昔からこういった業界に就職する人を奨励するような風習があり、例えば、ベンチャーやNon-Profitで無給のインターンをする生徒は、学校が卒業生から寄付金を募って企業の代わりに生徒に月給のお小遣いをあげるという制度等がある。

ちなみにスタンフォードは他のビジネススクールと比べて、コンサルと投資銀行への就職率が低いというのがもっぱらの噂だが、今学期に入って、周りのクラスメートにどういったインターンを探しているのかと聞くと、皆口を揃えてコンサルや銀行はつまらないから何か違う事を探したいというのだ。事業会社から来た私に言わせれば十分面 白そうな仕事に思えるのだが。

私はと言えば、実は10月にボストンキャリアフォーラムで見つけた投資銀行でインターンシップをする事が決まっているので、実は今学期は就職活動にあくせくする必要はあまり無いのだが。

最後にまた食べ物の話で終わろうと思う。ここBay Areaはアメリカでもロスとニューヨークを抜かせば日本食の豊富さは全米一と言っても過言じゃないと思う。車で30分以内に日本食料品店が2つもあるし、普通 のアメリカのスーパーでも豆腐や醤油だったら日本のブランドを置いている。

それでも日本食は高いし、やっぱりなかなか食べられない物がある。例えば生魚。日本食料品店に行けば刺身用の切り身やサクが一応売っているのだが、高いし値段の割に鮮度が気になる。そこで最近妻と編み出したのが、ヅケ丼である。日本食料品店がマグロを大量 に仕入れると、必ず「切り落とし」という安い部分が出るので、これを買って来て醤油と酒と生姜に半日程漬けてから酢飯に乗せる。酢飯も、残りご飯に合わせ酢をかけてレンジで温めるというかなり強引なものだが、これだと安くて手軽にお寿司が食べれる。

ちなみに我が家の食費は1ヶ月200ドル。MBAと言えども貧乏学生生活は楽ではないのである。

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