先日、あの「ジャック・ウェルチ」が講義に来ました。アンダーソンは場所柄ゲストスピーカーもコロンビアのような名門校に比べれば少ないので、希望者殺到のため予約者のみ、当日は立ち見、教室外でビデオ放映という異例の形式となりました。
80歳近い高齢にもかかわらず、20年以上のキャリアを誇るカリスマ経営者は依然として顕在で、日本人経営者にはあまり見られないダイナミックなパーソナリティー、ユーモア、エンパワーメントに圧倒されました。彼を語る上で、$130億から$5000億へ市場価値を拡大したGE企業戦略は切り離せませんが、予想に反してトピックはリーダーシップ、マネジメントスキル、コーポレートアメリカ改善論など極めてオーソドックスなものでした。
リーダーシップ
「優れた経営者になるためには優れたリーダーにならなければならない。個人の業績を残せば、経営者への昇進は簡単だけれでも、優秀なリーダーになるためにはチーム単位での能力が問われることになる。個人からリーダーへのトランジションの難しさは甘く見られているのではないか?」
MBAでは経営者とリーダーの違いを頻繁に問われます。経営者とは管理をする能力が問われますが、リーダーではソフトスキルやビジョン、新しい視点を問いかける能力が問われます。役職にこだわらずチームパフォーマンスを最大限発揮させる能力、個人の能力でなくグループの業績を評価していくという議論は当たり前に聞こえますが、日本企業では日々実践されていないことも多いのではないでしょうか。ではリーダーになるために重要な要素とは何か?
「何よりも情熱とエネルギー。物事に前向きなやればできる的性格。」
まさにジャックのような性格です。勉強ができてもあまり意味がない話につながりがちですが、MBAでも企業組織論や交渉能力などを学びますので、進学予定者の皆さん、科学的に対処することは可能です。
評価
「結果を残すことが一番重要。相手の期待を上回るプロダクトを常にデリバーすること。上司からの評価はアサインメントをやり遂げたことではなく、結果が当初の期待を上回ったマージンによるものが大きい。会社における従業員の存在価値は期待を上回った部分の価値に相当する。」
GEでよく言われる「ストレッチ」の概念です。常に自分の能力を上回る目標に向けて努力しなければ惰性に流れてしまい、成功しないということ。期待を上回ることが差別化につながれば、自分の市場価値も高まるというのと近い?
「昇進したければ、アクションの起こっている分野で働くべき。中国市場が活況であれば、中国に行って、働けばよいし、鉄鋼市場が活況であれば、鉄鋼にかかわるように努力するべき。」
人事制度がフレキシブルでない限り、このアドバイスを実践するのは難しいと思いますが、長期的なブームサイクルを取り入れながら自分のキャリアを若いうちからマネージするのは、リスクはありますがやはり重要。自分の管理できる範囲のリスクであれば、新しいフィールドに挑戦するべき?
取締役会
「存在意義、従業員を理解すること。マイクロマネージャーにならないこと。取締役であっても、意義のある仕事を実際に行っているリアルピープル(平社員)に常に触れていなければならない。」
役職階級が多ければ、多いほど、経営効率も低まります。コミュニケーションは大事。
終わってみてGEの経営哲学、企業組織論の本を読み直しました。今日学んだことを着実に実践できるように努力したいと思います。最近かなり暖かくなりました。サンタモニカのビーチで泳ぐ人も増えてきました。次回は日本関連のコアクラスの講義について一部ご紹介できればと思います。
それではまた来月も宜しくお願い申し上げます。