三谷宏治の学びの源泉

[第49回] 「正しく決める力」出版記念:第2弾!

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 #300羽のアヒルたち

 1月16日、遂に発売となった新刊だが、この本には「アヒル」がデザイン上、多用されている。
 カバーに、表紙に、章の扉に、小見出しの上に、そして、書く図表にほぼもれなく。また、節のレベルの見出しの上にある逆三角形は、アヒルの足跡だったりする。数えてはいないが、全部で300羽近くになるだろう。
 なぜアヒルかと言われれば、それはずばり175頁の「アヒル曲線」から。資源投入を少しケチれば、成果は激減する、という奴だ。私のオリジナルのカーブだが、この変形S字カーブに名前を付けたくて、考えた。「片側ヒステリシス?」「逆ロングテール?」「ネッシー?(死語)」「ヘビ?」・・・
 言っている内容がシリアスだから、逆にカワイくしたいなあ、と思ううちに辿り着いたのが「アヒル」だった。なので、この図には最初からアヒルが書かれていた。じゃないと、なぜアヒルか分からないものねえ。
 それを見た編集者女史が「これ、いいですね~」
 そして、アヒルたちの増殖が始まった。

 #「アヒル曲線」の真実

 この世の中で、インプット(資源投入)とアウトプット(成果)の関係が直線状であることは、まずない。勉強時間を増やしただけ成績が上がるなら誰も苦労しない。訪問回数を積み上げればモノが売れるなら営業も簡単だ。世の中そう甘くはない。
 大抵、そういったインプットとアウトプットの関係は「S字状」になる。立ち上がりはゆっくりと。そして急激に伸びを見せ、最後は飽和してなかなか上がらなくなる。
 多くの人がそこまでは分かっている。だから最初は我慢しよう、って思う。しばらくは成果が出なくてもしょうがないと、資源投入を続ける(実際には、我慢仕切れないヒトも多いが・・・)。
 でも、もう一つの真実がある。それが詰めの重要さだ。最後の一押しでアウトプットは格段に良くなる。逆に、最後の一押しがなければ、本当の成果は上がらない。
 飲料大手K社でマーケティングの神と言われたMさん、本部長に上がってからは若手を育てようと頑張って(我慢して)いた。でも・・・
 「あいつらさぁ、途中までは良いんだよ」「でも、最後に『ゴミ』にしちゃうんだよなあ(溜息)」
 新商品マーケティングは、細部に神が宿る芸術作品。最後の詰めが甘くなると、どれだけインプット(資源投入)していようがアウトプット(成果)としてはゼロになる。いや、赤字だからむしろマイナスか。そうやって沈んでいった新商品は数限りない。
 古人の言は、けだし正しい。
 「行百里者、半於九十(百里を行く者は、九十里を以て半ばとせよ)」(「戦国策」より)
 最後の十里の厳しさ、険しさを300羽のアヒルたちは表現できていただろうか。

 #最近の読者:書評ブロガーたち

 新刊の上梓は約1年ぶりである。たった1年だが、読者の反応形態がちょっと違う気がする。
 すぐに分かるのは、ブログへの書評のアップスピード、数、そしてその内容だ。
 ダイヤモンド社から出荷されたのが1/16。大手の書店の本店ではその日のうちに店頭に並んだりする。でも、Amazonでは1/17から順次発送なので、読者が手にするのは18日以降が普通だ。
 でも、Amazon上のレビュー1号は19日、mixi上だと17日、ブログだと18日に初出が見られる。みんな、読むの速いねえ。
 ブログでの紹介数も2週間で10あまりを超えた。これも前回、前々回より多い。
 そして、内容。
 感想やコメントと共に、読後の自分の整理として要点をまとめるブログが多い。その例が内田洋平さんのこちら
 自分の枠組みで、内容の再整理を試みている。
 さらに極めつけは遼遠さんのこちら
 本の中で提唱した「重要思考」をそのまま使って、内容をまとめている。これはまさに著者の作業の領域。(つまり私がやるべきだったまとめ?)
 こういったプロシューマー(Producer + Consumer)が、増えている。

 #最強の読者:出版編集者

 でも、もちろん最強の読者は、プロ自身だ。つまり出版社の方々。
 このヒトたちは、他社のモノも含めて年に数百冊を読みこなす。良いネタはないか、面白い執筆者はいないか、次のトレンドは何か。
 「正しく決める力」の発刊後2週間だけで、3社あまりの出版社から連絡があった。挨拶レベルではなく、新しい本の企画の相談、具体的依頼、等々。
 でも既に、次の本「正しく発想する力(仮題)」を夏までに出すことは決まっている。
 これ以上は、書けません。
 絶対ムリ。
 内容が薄くなるのもイヤだし。

 とはいえ、折角いただいた出版のお誘い。断るのは誠に忍びない。
 どうしようか・・・、と悩む新人(?)作家(?)なのであった。

 正しく決め、実行するための3つのワザ、『重要思考』『Q&A力』『喜捨法』
 これを使うと、答えは簡単・・・?

お知らせ
正しく決める力
■ 発売/09年1月16日
■ 発行/ダイヤモンド社
■ 価格/1680円・税込

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プロフィール

三谷 宏治 氏

KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
http://www.mitani3.com

1964年生まれ、三女の父。 87年、東京大学理学部物理学科卒、92年、INSEAD MBA修了。87年から96年までBCG、96年から06年までアクセンチュア戦略グループ。03年から06年は同 統括エグゼクティブ・パートナー を務める。 06年8月からは教育(特に子ども・親・教員向け)に注力し全国で講演・研修・授業を行う。 著書多数。『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』『一瞬で大切なものを決める技術』はビジネス書賞を獲得。近著に『戦略子育て』『新しい経営学』『戦略読書〔増補版〕』など。早稲田大学ビジネススクールおよび女子栄養大学 客員教授。永平寺ふるさと大使。

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