#朝、京浜東北線の若者の、行く先と行く末は...
ある春の朝。京浜東北線で。大井町から東京駅に向けた6駅15分のお話しです。
電車は空いていました。少し離れたところに、若いサラリーマンが一人で座っていました。
熟睡、しています。乗り過ごさないか心配です。
彼のポケットでは途中でピーピー、スマホがアラーム音を発しはじめました。
エライ。彼はちゃんと乗り過ごさないように、手を打っていたわけです。
どんどん音は大きくなり、車内の視線が彼に集まります。
でも、彼は熟睡を続け、1分後、アラーム音は止まりました。残念...。
もう2駅進んだところでまた、アラーム音がなり始めました。おお、こっちが本命か!
でも、彼は熟睡を続けます。アラームもじきに止まってしまいました。あ~あ。
さらに2駅進んだところで、私の降りる東京駅に着いてしまいました。「誰も起こさない」というのも可哀想だと思い、私は降り際に、彼に声をかけ、頭を3回、( ´_ゝ`)σ)Д`)ツンツン してあげました。
でも...、反応はありません。「大物だ」。
私はホームに降り立ちました。彼の行く先と、行く末が楽しみだなあ、と思いながら。
#A学院の学生、後輩に大いに語る
今度はお昼、田園都市線でとなりの大学生が、後輩の高校生に語っています。
「おれ、大学入ってから、一回も勉強したことないんだよね」「ま、やる気もないっていうか」
「うちの大学、入るのはまあ、難しいって言われてんだけどさ、英語の授業でやってるの『三単現のSつけろ』とかだし。中1レベルだよね」「他の大学は、英語はもっと厳しいらしいよ。K学院とか」
「でもA学って、『ゆとり(教育)』で、オレにはちょうどいいわ」「基本、やる気ないし」
「明日の英語のテストも準備してない。出席足りなくてどうせ、再履修、決定だし」
A学生、ここで、なぜ出席が足りないのかの説明を、詳しくはじめます。
「いっつも寝坊して1限(の授業に)出られなくてさ、仕方ないから学校に近い友だちの家泊まったのよ」「でも友だちと遊んじゃって、結局、朝起きたら2限の時間で、2限すらでられなかった(笑)」
「まあ、ふだんは学校あんま行かなくって、バイトして、好きなことやってる」
降車駅である渋谷も近くなり、A学生、いよいよ後輩に進路選択の結論を語ります。
「だからさ、そう(いう生活を)したければ、A学はオススメ」「まあ、どこも大しては変わんないと思うけどね」
うなずく後輩クンと、後輩に語って満足げな先輩、でした。あ~、録音して、親に聞かせたかった(笑)
3年後、キミは京浜東北線で爆睡してるのでしょうか、それとも...。
#女子高生の夏休み?
ちょっと派手めな女子高生が2人、話しています。けだるげな感じで。
「夏休みヒマだよねー」
「だけど、遊びに行くのもお金かかるし」「かといって家にいたくないし~」
「お金のかからない遊びないかなぁ」
しばらく、どういう遊びがいいかの議論があり、しかし結論は、「結局、家にいるのが一番お金かかんないんだよね~」となりました。
健全なのか、夢がないのか...。しかし、ここで終わるかと思われた「遊び」の話は突如、飛びます。
「やっぱ、どうせ遊ぶならオールだよねー」
「そうだよね~、その方がお金かかんないしねぇ」
なに!? 女子高生が徹夜遊び?
よく見たら、高校生でなく女子大生でした。ま、それにしても...。夏休みは有意義に、過ごしましょう。
遊びだけが、人生じゃないですよ。遊べるのは今だけ!と思っているのかもしれませんが、逆です。そこで遊びすぎると、あとで遊べなくなるのです。
#高3女子の進路家族会議
私の後に乗り込んできた親子4人が、突如、大声で娘の進路会議をはじめました。
と、いうか、お母さんと娘が、学校での進路相談結果を、お父さんに説明する、の図(*1)です。娘は多分、高校3年生。
なんで電車の中でこんな重要な話しを? お父さんは、そんなに忙しいのか、それとも、「ついで」扱いなのでしょうか。
問題は「しょっかん」か、「しょくせん」(*2)かのよう。
両方、今通っている私立高校からの内部進学で行けるらしいのですが、「しょっかんはマジ授業や演習や試験が大変」と、担任に止められたと、訴えています。「試験で覚えなきゃいけない資料が10cmもあるんだって!」
行きたかったのは「しょっかん」だが、「しょくせん」にしようか...。でも、「しょくせん」だったら簡単すぎる。
その上で、さらに担任に「外部進学は考えないのか?」と投げかけて、娘は悩んでいるのでした。
でもお父さん、特に意見は無い感じです。ふんふん、聞くばかり。
その内、本当の問題が見えてきました。お母さん、です。娘が何か意見や事実を言おうとしても、すかさずそこに自説をかぶせてきます。「そこはこうなのよ」と。
人脈がどうの、就職先がどうの。科目がどうの、入試がどうの。大学のブランドがどうの。
うるさ~い!娘の意見を聞かせろっ!
あ......いやいや、他人の家庭のことでした。
でも、娘の進路に関心を持って、自分も勉強するのはいいですが、娘より詳しくなって、しかもその知識や意見を、娘にも夫にもぶつけまくって、どうするのでしょう? そうやったら「ベストの選択」ができると思っているのでしょうか。
神さまじゃあるまいし、「ベストの選択」なんて誰にもできません。いや逆です。自らが十分調べ、考え抜いた決断は、すべてが「ベストな選択」となるのです。結果、何か辛いことがあったとしても、他人のせいにする余地はありません。それを選ばなかったら自分がどうなっていたかなんて、まったくわからないので、他の選択との比較も無意味です。自ら決定した後、それは自動的に、ベスト(1番)の選択となるのなのです。
ガンバレ、娘。自分の意見を持って、両親を説得しよう。お母さんと一緒に考える、じゃ、ダメですよ。
たったひとつの、あなたの人生。お母さんの人生ではありません。そして「進路」は、あなたの意思決定力の貴重な訓練機会なのです。
A学院のやる気ない学生さん、夏休みもっと遊びたい女子大生のお二人、お母さんにまだ負けている高3のお嬢さん、人生から、逃げず、逸らさず、ぶつかっていきましょう!数年後、「残念」とならないように。
そうそう、京浜東北線の若者は、まずちゃんと前夜、寝ることから。東京では、目覚ましも、人の善意も当てにならないのですから。
(*1)弟はずっと視線をそらせて、他人のふり作戦だった。
(*2)「しょっかん」は管理栄養専攻、「しょくせん」は食物学専攻、か。