SCMを取り巻く状況
1.EC化率が進む、B2C、B2B小売の現状
2015年度のB2C市場における国内のEC市場規模は13兆7746億円で、対前年比7.6%の伸び率となりました。
それに対して、B2B市場においては、統計上、EDI(Electronic Data Interchange)などの受発注システムとECが区別されていないという事情を考慮しても、EC市場規模は約290兆円、EC化率は27.3%と、非常に大きな市場を形成しています。
とくにB2C市場のEC化率は10%に届いておらず、潜在的な伸びしろのあるビジネス分野といえるでしょう。
こうした変化を見込んで、すでに国内市場では、ECサービスを提供するプラットフォームを提供する企業やセキュリティ対策を行う企業など、周辺ビジネスも活性化し始めています。
少子高齢化による労働人口の低下への不安と相まって、販売チャネルのEC化がもたらす効率化・合理化への期待は、今後もますます増大することでしょう。
出典:平成 27 年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(平成28年6月:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課)
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160614001/20160614001-2.pdf
2.国内企業によるSCM改革に向けた取り組み
世界市場において、SCM改革の急先鋒に挙げられるアマゾンですが、国内企業の中にも、厳しい競争に勝ち抜くためさまざまな業種、業態の企業がSCM改革に取り組み始めています。
- 大和ハウス工業
- 住宅メーカーとして知られる大和ハウス工業は、法人向けに高速道路のインターチェンジや工業団地、ニュータウンの背後地などに物流拠点を開設する事業を開始。保管と流通加工をかね合わせたディストリビューションセンターや、流通加工センター、トランスファーセンター、プロセスセンターなど、さまざまな要求に応えるべく、立地、土地、建物、施設管理に取り組み始めています。
- ヨドバシカメラ
- 家電量販店のヨドバシカメラは「打倒アマゾン」を旗印に、2015年から自社社員による最短6時間の超高速配送サービス『エクスプレスメール便』を開始。流通センターの拡張とともに、都内に複数の小型物流拠点を整備し、物流の内製化を推進し物流のスピード化を追求しています。
- ファーストリテイリング
- ユニクロを展開するファーストリテイリングは、セブン&アイ・ホールディングスと提携し、傘下のセブン-イレブンの店舗で商品を受け取れるサービスを開始。さらに大和ハウス工業と共同で、全国に物流センターを開設するための新会社の設立にも乗り出しています。またアクセンチュアとは、ビッグデータ解析やITを活用したの新サービスを開発する新会社を設立し、顧客の行動データから精度の高い生産計画や在庫管理を行う構えです。
- ヤマト運輸
- クロネコヤマトで知られるヤマト運輸は、DeNAと共同で自動運転技術を活用した次世代物流サービス『ロボネコヤマト』プロジェクトを開始。顧客が望む時間帯に望む場所で荷物を受け取れる「オンデマンド配送サービス」と、インターネット上の複数店舗で購入した商品を一括配送してもらう「オンデマンド配送サービス」の実験を行うと公表しています。